35歳で35年ローンを組んだため、完済は70歳になります。定年後も支払いが続くのはリスクが高いでしょうか? 繰り上げ返済すべきですか?

35歳で35年ローンを組んだため、完済は70歳になります。定年後も支払いが続くのはリスクが高いでしょうか? 繰り上げ返済すべきですか?

3月26日(木) 9:10

住宅ローンの毎月の返済額は、借入期間が長いほど軽くなるため、多くの方が35年返済で借り入れています。 その結果、退職時点で完済することができず、年金から住宅ローンを返済している方も少なくありません。今回は、住宅ローンの繰り上げ返済について、詳しく解説します。

繰り上げ返済の方法には2種類がある

住宅ローンの繰り上げ返済の方法には、「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。返済期間短縮型は、返済金を一定期間の元金の返済に充当し、毎月の返済額を変えずに返済期間を短縮する方法で、早く完済したい人に向いています。
 
返済額軽減型は、返済金を一定期間の元金の返済に充当しますが、返済期間を変えずに毎月の返済額を減額する方法で、毎月の返済額を減らしたい方に向いています。
 

繰り上げ返済は早いほどお得

例えば、元本3000万円を35年返済の固定金利(年利1.00%)で借り入れ、元利均等返済で返済中の住宅ローンを繰り上げ返済した場合、100万円を繰り上げ返済したときの節約効果は、返済時期により図表1のとおり異なります。なお、初年度は利息軽減効果の算出対象外としています。
 
図表1


返済時期 返済期間短縮型 返済額軽減型
残返済期間 減少する利息 毎月返済額 減少する利息
初年度 35年0ヶ月 8万4685円
15年目 18年10ヶ月 21万3509円 8万69円 10万3309円
20年目 13年11ヶ月 15万4680円 7万8670円 7万6866円
25年目 9年0ヶ月 9万8697円 7万5855円 5万824円
30年目 4年0ヶ月 4万5405円 6万7310円 2万5201円

(※1を基に筆者作成)
 
図表1から、返済期間短縮型のほうが、返済額軽減型より利息の軽減効果が大きくなり、繰り上げ返済する時期が早いほど節約効果が高くなることが分かります。
 

繰り上げ返済の注意点

本章では、住宅ローンを繰り上げ返済する際、注意すべき点について解説します。
 

1. 住宅ローン減税期間中は繰り上げ返済しない

一定の要件を満たす借入期間が10年以上の住宅ローンは、年末の住宅ローン残高に応じて、所得税の特別控除を受けることができます(※2)。
 
適用される期間は10~13年と住宅の区分や居住年によって異なりますが、適用期間中は繰り上げ返済せず、余裕資金は預貯金として蓄えておくことをお勧めします。
 

2. 預貯金残高に応じて返済する

早い時期で繰り上げ返済するほうが節約効果は高いことから、預貯金が少しでもたまったら繰り上げ返済したくなるものですが、預貯金残高に注意して無理のない返済に努めてください。
 
教育資金や万が一に備えた生活費の予備費に充てるための資金を残して、繰り上げ返済するようにしましょう。
 

退職金を利用して繰り上げ返済を

繰り上げ返済は、現役時代から早めに繰り上げ返済することが望ましいのですが、退職時に住宅ローンが残っていた場合は、退職金で全額繰り上げ返済することをお勧めします。
 
退職金で全額繰り上げ返済できない場合は、予備資金を残して繰り上げ返済し、年金生活における返済額を下げることを考えるとよいでしょう。
 

まとめ

退職後、老齢年金のみで生活する時代に住宅ローンの返済が残っていると、家計収支に大きな負担となります。
 
住宅ローンの繰り上げ返済は、返済期間短縮型で早い時期に返済すると節約効果が高くなります。したがって、少なくとも、退職金で全額繰り上げ返済できるように、預貯金残高をチェックしながら、無理のない範囲で早めに繰り上げ返済することをお勧めします。
 

出典

(※1)金融広報中央委員会 知るぽると 繰り上げ返済シミュレーション
(※2)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等
 
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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