一般社団法人 日本映画制作適正化機構(映適)の記者報告会が3月24日、東映の会議室で行われ、島谷能成理事長(日本映画製作者連盟代表理事)、新藤次郎理事(日本映画製作者協会理事)、浜田毅理事(日本映画撮影監督協会代表理事)、大浦俊将事務局長らが登壇した。
映適は2023年4月、映画制作における適正な就業環境や取引環境を実現するために発足。適正な環境で制作された映画を認定する「作品認定制度」と、撮影現場のスタッフの生活と権利の保護及び地位向上を図ることを目的とした「スタッフセンター」の運営を柱とする活動は、まもなく3周年を迎える。正会員は計13、賛助会員は計76(企業63、団体12、教育機関1)。
そこで、これまでの映適の取り組みと、4月より運用開始となる“改訂版”映適取引ガイドライン、及び4月より“定額会費制”を導入するスタッフセンターについて、幅広く周知することを目的とした報告会を開催。映適ガイドライン検証委員会の担当理事・新藤氏とスタッフセンター運営委員会の担当理事・浜田氏、審査本部長、事務局スタッフが、概況、統計データ、改訂ポイント、活動の総括と今後の展望について報告した。
作品認定制度は、映適が発足した初年度23年は申請本数が60、認定本数が16、24年は申請本数が73、認定本数が57、25年は申請本数が101、認定本数が58で、3年間で申請本数の累計が234、認定本数が131となり、着実に増えている。また、スタッフセンターの登録者数は23年が143(内、労災加入者数22)、24年が231(同38)、25年が265(同52)だった。
3年間の運用を経て、長時間撮影の防止、制作環境へ配慮する意識の改善、変化が起きているという。1日の撮影時間が11時間以上の割合が、23年は16%あったが、24年は10%、25年は5%まで減少。それにより撮影時間“11時間以内”の達成度平均は23年が71.7%だったのが、24年は79%、25年は83.4%まで上昇した。
11時間以上の撮影現場が減少する一方、“休日”達成度平均は23年が94.9%、24年が95.6%だったが、25年は90.6%。インターバル達成度平均は23年が87%、24年は82.8%、25年は79.8%と低下傾向にある。
映適の認定制度では、製作費1億円超をA区分、1億円以下をB区分、5000万円以下をC区分としていたが、25年の申請本数は、A区分が75本(24年は60)、B区分が12本(同5)、C区分が14本(同8)となっている。
撮影平均時間は、25年度作品の半数が8~9時間で、11時間超えの作品の比率も減少傾向にあり、達成度も上昇しているので、インターバル達成率は下がったと説明。作品申請本数は増加し、映適作品審査は総合的な判断と改善を指摘、ガイドライン遵守に向けた工夫も見られた。だが、今後の課題として、現場とのさらなるコミュニケーションの必要性からガイドラインを改訂し、審査窓口とのコミュニケーションも強化。現場スタッフとの感覚のギャップも指摘されたことから、スタッフセンターの拡充と、映適申請作品であることのスタッフへの周知徹底が求められている。
「映画制作の持続的な発展に向けた取引ガイドライン」の改訂ポイントは次の9点。
1.すべての映像制作現場の適正化を追求
2.製作費1億円以下の申請任意撤廃、申請対象拡大
3.制作現場のルール策定の背景を記載
4.週単位ルール導入とインターバル遵守
5.「みなし」削除
6.移動ルール新設
7.完全休養日を重視
8.休憩・食事時間45分以上に
9.スタッフへの告知、周知
また、あわせて申請区分と審査料金も改訂。製作費5億円以上をS区分(審査料金30万円)、1.5億円以上をA区分(25万円)、8000万円以上をB区分(15万円)、8000万円以下をC区分(総製作費の0.1%)となる。
そして、スタッフセンターの登録料金は各スタッフのギャランティに合わせて徴収していたが、ギャラの高低によって不公平感があるということで、定額会費制となる。月額900円、年一括1万円。ハラスメント相談窓口の運営や労災保険の仲介など、映画の制作現場をより良くするために活用される。
島谷理事長は「発足から3年間が経ち、着実に前進したが、課題も山積している。撮影現場は生きものであり、クリエイティブな方々、利害関係者など、様々な立場の方々がいるので、前進すればするほど課題が出てくる。ガイドラインの改訂に向けて、20回以上の会合が開かれて作成された。本数も増えていき、対応する映適の人員を増やすことも必要になってくるが、継続していくことが大事。フリーのスタッフが映画界で安心して働ける環境を作っていけるよう、一歩ずつ着実に進んでいきたい」とした。
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