3月21日(土) 5:10
まず、現在の支出水準を確認します。
総務省統計局「家計調査(家計収支編)二人以上の世帯 2025年」によれば、二人以上の世帯のうち勤労者世帯で年間収入「1250万円~1500万円」の世帯における1ヶ月の消費支出は46万6906円とされています。
これと比較すると、今回の「月38万円」という水準は平均より8万7000円程度低い水準と整理できます。
つまり、同程度の収入帯の世帯と比べて、現時点の支出は統計上は抑えられている水準にある可能性が高いと考えられます。
もっとも、家計調査の数値はあくまで平均値であり、住宅ローンの有無や子どもの教育費、地域差などによって実態は大きく異なります。このため、単純に平均より低いことのみをもって問題がないとまではいえない点には注意が必要です。
次に、老後の支出水準を確認します。
総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、実収入は25万4395円で、そのうち年金などを含む社会保障給付が22万8614円となっています。
また、消費支出は26万3979円、非消費支出は3万2850円となっており、差し引きでは月4万2434円の赤字とされています。
ここで重要なのは、老後は一般的に教育費や住宅ローンなどの支出が減少する一方で、医療費や介護費などが増える可能性があるという構造変化がある点です。
今回のケースのように現在は月38万円の生活費であっても、老後に同水準を維持するかどうかは別の問題となります。仮に老後も同程度の支出を続けた場合、統計上の平均収入である約25万円との差が拡大し、結果として赤字幅が大きくなる可能性があります。
では、月38万円は使いすぎなのでしょうか。
結論としては、支出額単体では判断できず、収支差と貯蓄余力で判断する必要があります。
例えば、世帯年収1300万円の場合、税金や社会保険料を差し引いた手取りは、世帯構成にもよりますが、年間900万~1000万円程度となるケースが一般的です。これを単純に月額に換算すると75万~83万円程度となります。
この手取り額から生活費38万円を差し引くと、月の貯蓄余力はおおむね37万~45万円程度になると試算できます。もっとも、これはあくまで単純試算であり、実際にはボーナスの比率や支出の内訳などによって変動します。
この水準で継続的に貯蓄ができているのであれば、現時点の支出が直ちに過大とはいえない可能性があります。一方で、教育費のピークがこれから到来する場合や住宅ローンの残高が大きい場合、あるいは貯蓄が十分に積み上がっていない場合には、同じ月38万円の支出であっても評価は異なります。
つまり、「平均より低い支出かどうか」ではなく、将来の必要資金に対してどれだけ準備できているかが判断基準となります。
年収1300万円世帯における月38万円の生活費は、統計上の平均支出である約47万円と比べると低い水準にあり、直ちに使いすぎとまではいえない可能性があります。
もっとも、一般的に老後の収入は年金が中心となり、平均的にも月数万円の赤字が生じる構造とされています。このため、現役期の支出水準がそのまま老後に適用できるとは限りません。
最終的には、現在の支出額そのものではなく、将来の老後資金に対してどの程度の貯蓄が確保できているかを基準に判断することが重要といえます。制度全体の仕組みと自分の家計状況を照らし合わせ、条件を整理した上で見直しの要否を検討することが求められます。
e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 2025年 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号 2-3 年間収入階級別
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2025年(令和7年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2025年-(18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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