河内大和、映画「ハムネット」に没入し感涙、シェイクスピアに思い馳せる「とめどなく涙が流れた」

河内大和、映画「ハムネット」に没入し感涙、シェイクスピアに思い馳せる「とめどなく涙が流れた」

3月20日(金) 10:00

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「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督の最新作「ハムネット」の試写会が3月19日あり、昨年公開の「8番出口」の演技で注目され「第49回日本アカデミー賞」新人俳優賞を受賞、長年舞台でシェイクスピア作品を演じてきた河内大和のトークイベントが行われた。

【第98回アカデミー賞】「ハムネット」河内大和のトークイベントの模様

舞台は16世紀イギリスの小さな村。森を愛し、薬草の知識に優れ、不思議な力を宿した妻アグネス・シェイクスピアと、劇作家としてロンドンで活動する夫ウィリアム・シェイクスピア、そしてその3人の子どもたちが描かれる。ロンドンへ単身で出稼ぐ夫を尊重し、父親不在のなかで子どもたちを守り奮闘するアグネスだったが、あるとき⼀家に大きな不幸が降りかかる――。

映画の感想を尋ねられ「途中から最後まですっと泣いていました。僕は『ハムレット』に、形を変えて10回ぐらい出演していて、思い入れも強かった」と、物語の成り立ちをよく知っている立場であるからこそ、感情を揺さぶられたそうで「ここまで明確に描かれると、観ていて居ても立ってもいられなくなってしまって。とめどなく涙が流れてきました。ここまでの体験は初めて」と振り返る。

とりわけ印象深かった場面として「最後に夫婦が何も言わないで、沈黙のまま見つめ合っている瞬間があまりに素敵で愛おしくて」と終盤のシーンを挙げ、「現実と虚構がつながる手のつなぎ方、人間と人間のつながりが、本当に丁寧に描かれていた」と評する。

シェイクスピアの妻、アグネスを演じたジェシー・バックリーは本作で見事アカデミー賞主演女優賞を獲得した。「あまりに凄すぎて、僕が語れるようなものではない」とその演技を称え、「『どうやったらこんな芝居ができるのか』と聞きたいです。シェイクスピアの奥さんがここまでフィーチャーされたことは今までなかったですし、どういう人物かは想像するしかなかった。でも、やはりシェイクスピアはこの奥さんがいたから作品を描くことができたし、あそこまでの言葉を生み出すことができたのでしょう。きっと現実もそうだったんだろうなと思わせてくれる、“生きた人物”を演じていました。しかも、今まで見たことのない人間像」とバックリーの役作りや解釈を絶賛した。

ポール・メスカルが演じたシェイクスピアは、作品以外で残された資料が少なく、謎の多い人物として知られているが、「僕のイメージでは愉快な人だったのではと思っていたんです。あんなに悲劇から喜劇まで何でも書けるなんて、ちょっとお気楽な部分がないとなかなか書けないんじゃないかなと。あとは肖像画のイメージ。ここまでリアルなシェイクスピアを見たのはもちろん初めてで、きっとこういう人だったんだろうと思えました。間違いなく言えるのは、誰よりも愛の強い人だったんだろうなということです」と自身の考えを述べる。

本作は記録に残っている史実を基に、小説家のマギー・オファーレルが肉付けした小説が原作であるが、「驚いたのは、『ハムレット』という作品がどうやって立ち上がったのかを、丁寧かつ明確に描いていたこと。事実かどうかは別として、言葉が生まれる前の、文字にできない、言葉にできない人間同士の間のことを丁寧に描いていました。心の深淵や、人間の中にある宇宙のようなものを描いていて、まさにそれがシェイクスピアの根源なんだとわかった」と、その豊かな解釈に心を動かされた。

そして、映画の中で「ハムレット」が演じられる場面については「舞台は嘘や夢で作られていて、観ているお客さんが現実にいる。その虚と実が繋がる瞬間があり、そして最後に生者と死者が繋がっているんだと感じさせる。過去も現在も未来も、現実も夢も全てが何かで繋がっているという永遠の世界を感じることができる奇跡的な映画」 と述べ、自身も舞台俳優として「生身の人間が生身のお客さんの前で違う人間を演じるというのは、非常に過酷なこと。でも、嘘だから、夢だからこそ、より真実に近づくことができる。一生懸命に役として生き切ることで、皆さんが抱えている思いに少しだけ触れることができたら、こんなにいい仕事はないなと思うんです。役者には責任があって、それをしっかり果たしていかなければならないということを、この映画を観てより強く感じました」と述懐する。

これまで再演含め80以上のシェイクスピア作品に出演しているが、「こんなに突き落とされ、有頂天にさせてくれるような戯曲はない。振れ幅が凄すぎて、何かタガが外れないと演じ切ることができない。終わった後はへとへとで『二度とやりたくない』と思うんです(笑)。でも、少し経つとすぐにやりたくなってしまう。中毒性というか、その謎がやめられない原因」と話す。「理解できてしまったら手を出さなくなるのかもしれませんが……特に『ハムレット」『リア王』『マクベス』などは謎が多く、400年経っても解明できないからこそ、その時代ごとに新しい解釈が生まれ続ける。シェイクスピアの懐の深さ、余白の多さが魅力」と時代を超えて愛される名戯曲の魅力を語る。

次に「ハムレット」のあらすじを紹介し、「短い人生をとんでもないエネルギーで駆け抜けた人」と紹介。「真実を突き止めるために演じることを選び、真相を探っていく。心を汚すという復讐が正しいのか葛藤しながらも、最後はLet it beにたどり着く。役者が死に物狂いで何かわからないものに向き合って格闘している姿が、人の心を打つのでは」と持論を語る。

映画ならではの見どころとしては、「色々な声が聞こえてくるんです。大自然の音もそうですし、喋っていない時の人物たちの心の声がすごく聞こえてくる。こんなに豊かな沈黙はないなと感じました」「絵を見ているようで、画作りも、大自然から始まるところなど天才的」と、音と映像の特徴を挙げる。そして、「絶対に劇場で観たほうがいいです。暗闇の閉ざされた空間で集中して観ると、他の映画にはないいろんな音が聞こえてきます。僕はこれまでにないほど没入して、ふわーっと魂が持っていかれて、終わった後に空っぽの世界にストーンと落とされたような稀有な体験ができました。ぜひ映画館で体験してください」と力を込めて呼びかけた。映画は4月10日公開。

【作品情報】
ハムネット

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