3月19日(木) 0:00
若い世代の転職に対して「まだ早い」「もう少し辛抱すべきだ」と感じる親は少なくありません。その根底には、「長く勤めることが正しい」という価値観があります。ここからは、「3年は働くべき」とされてきた背景について見ていきます。
日本では長い間、ひとつの会社にできるだけ長く勤めることが、安定した働き方とされてきました。終身雇用や年功序列を前提とした雇用慣行のもとで、長く働けば昇進や昇給の機会が得られ、会社が生活を支えてくれるという信頼感が根づいていました。
「3年は働いてみないと分からない」という考え方には、経験を積むことで得られる気づきがあるという前提があります。1年目は慣れることで精一杯であり、2年目は少しずつ自分の役割が見えてきます。そして3年目になると、仕事全体の流れが理解できたり、責任ある業務を任されたりと、仕事に対する視野が広がってくる時期となるためです。
早期の転職を考える際、気になるのは収入への影響です。とくに20代前半では、スキルや実績がまだ十分でないことも多く、経済面の不安を感じる人も少なくありません。
ここでは、短期的・長期的な視点から、年収への影響について整理してみます。
厚生労働省「転職入職者の状況」によると、令和6年1年間の20~24歳の転職入職者のうち、前の職場より「賃金が増えた」と回答した人の割合は50.5%でした。このうち、1割以上増加した人は38.5%にのぼります。
一方で、「賃金が減った」と回答した人は16.8%、「変わらなかった」と答えた人は31.5%でした。つまり、20代前半の転職では約半数が収入アップを実現しており、「若いうちの転職は損」とは一概にいえない状況です。
一方で、同じ調査において、すべての年齢層をあわせた転職入職者全体でも、賃金が増加した人は40.5%、減少した人は29.4%となっています。目先の収入だけでなく、将来の成長や働き方も含めて、慎重に選択していくことが大切です。
子どもが転職を考えているとき、親はどのように関わればよいのか気になるものです。意見を伝えることも大切ですが、それ以上に、子どもの立場や時代背景を理解しようとする姿勢が求められます。
ここからは、親としてできる関わり方について考えていきます。
まず大切なのは、働き方や価値観が大きく変わってきていることを理解することです。今の若い世代は、「ひとつの会社に長く勤めること」よりも、「自分に合った環境で成長すること」を重視する傾向があります。
そのうえで、親として心配な点がある場合は、一方的に否定するのではなく、なぜ気になるのか、どんなことを懸念しているのかを、丁寧に共有することが大切です。
転職活動中は、収入が不安定になったり、生活に不安を抱えたりすることもあります。そんなときに、「困ったら相談していい」と感じられる環境があることは、子どもにとって大きな支えになります。
「3年は我慢」という考え方には、一定の合理性があります。ただし、それは一律に当てはまるものではありません。若いうちの転職にはリスクもありますが、それ以上に、自分に合った環境を見つけて成長していける可能性も含まれています。親はその決断を否定するのではなく、冷静に見守り、必要に応じて支える姿勢が大切です。
厚生労働省令和6年雇用動向調査結果の概要
厚生労働省転職入職者の状況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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