ハリウッドではAI技術に対する警戒感が根強いが、そのなかで異例のプロジェクトが動き出していると、米バラエティが独占で報じている。2025年に喉頭がんで死去した俳優バル・キルマーさんが、生成AIによって新作映画「アズ・ディープ・アズ・ザ・グレイブ(原題)」に出演する。実現の鍵となったのは、キルマーさんの遺族による全面的な支持だった。
キルマーさんは他界する5年前に同作にキャスティングされていたが、喉頭がんとの闘病中で撮影に参加できなかった。脚本・監督のコーテ・ブーアヒーズ監督は「この役を演じてほしかったのは彼だけだった。撮影の準備は整っていたが、実現できなかった」と振り返る。
ブーアヒーズ監督は最先端の生成AI技術を使い、キルマーの出演を実現させた。家族から提供された若い頃の画像と晩年の映像を組み合わせ、声もAIで再現している。
制作陣がAIの使用に踏み切れたのは、遺族の後押しがあったからだ。娘のメルセデス・キルマーは声明でこう述べている。
「父は深い精神性を持った人間で、自宅のあるニューメキシコを舞台にした発見と啓示の物語に共鳴していました。父は常に、新しい技術を物語の可能性を広げるツールとして楽観的に捉えていました。この映画でその精神を受け継いでいます」
制作側はAIの倫理面にも配慮している。全米映画俳優組合のガイドラインに準拠し、キルマーさんの遺産管理団体に出演料を支払った。ブーアヒーズ監督は「批判を受けるかもしれないが、これはバル自身が望んだことだ」と強調している。
キルマーさんとAI技術の関わりには前例がある。2022年の「トップガン マーヴェリック」では、AI音声技術を手がけるソナンティック社と提携し、喉頭がんで失われた声をAIで再現してアイスマン役に復帰した。当時キルマーさんは「人間にとってコミュニケーション能力は存在の核だ。喉頭がんの影響で相手に言葉が伝わりにくくなっていた自分にとって、自分らしい声で物語を語れることは特別な贈り物だ」と感謝を述べていた。
「アズ・ディープ・アズ・ザ・グレイブ(原題)」はアメリカ南西部を舞台にした考古学者夫妻の実話を描くインディペンデント映画で、「ハリー・ポッター」シリーズのトム・フェルトンやアビゲイル・ブレスリンらが共演する。「ドアーズ」「バットマン フォーエヴァー」「トップガン マーヴェリック」で知られた名優の新たな姿が、スクリーンでどう受け止められるのか注目される。
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トップガンマーヴェリック
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