「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ミッションインポッシブル」シリーズなどで知られるサイモン・ペッグが主演・製作総指揮を務めた英国映画「エンジェルズ・イン・ジ・アサイラム(原題)」が、昨年の撮影中に資金難で頓挫し、スタッフへの給与が未払いのままになっていると、米デッドラインが独占で報じている。頓挫から約1年が経ち、ようやく未払い給与の一部が支払われ始めたが、その原資はプロデューサーのポケットからではなく、英国納税者の国民保険料だった。
同作は2025年2月、1カ月間の撮影予定のさなかに制作が崩壊した。長編映画初監督のロブ・ソレンティ監督がプロデューサーも兼任していたが、見込んでいた資金が実現せず、撮影は途中で打ち切られた。スタッフへの未払い総額は約60万ポンド(約1億3000万円)にのぼる。制作会社は2025年4月に破産手続きに入り、債権者への総債務は約380万ポンド(約8億円)に膨らんでいる。
今回、倒産した企業の従業員に政府が給与を補填する英国の整理解雇手当制度を通じてスタッフへの支払いが始まったが、受け取れるのは本来の約3分の1にすぎない。あるスタッフは怒りをあらわにした。
「まったくふざけた話だ。プロデューサーの失敗の尻拭いを政府がしている。自分が税金を払っているのはこのためじゃない。ペッグや製作総指揮なら、一瞬で全員に払えるはずだ」
ペッグは主演と製作総指揮を務めていたが、財務には関与しておらず、自身のギャラも受け取っていない。制作が崩壊した当時、ペッグは現場のスタッフにこう語りかけていた。
「ここで本当に特別なものを作っている。大事なものだ。これは危機だが、同時にチャンスでもある。必ず撮影を再開する」
しかし、あれから1年が経つが、制作会社の破産管財人が救済投資家と「詳細な」交渉を行っているとの報告はあったものの、夏に撮影を再開するという話について制作側は「現時点ではそのような予定はない」と否定している。ペッグがスタッフに約束した再開は、まだ実現していない。
皮肉なのは、映画の題材そのものだ。「エンジェルズ・イン・ジ・アサイラム(原題)」は実話に基づき、1930年代のサリー州にある精神病院で腸チフスの保菌者と見なされ、不当に強制隔離された女性たちの物語を描く作品だった。不当な扱いを受けた人々の物語を作るために集まったスタッフが、結果として不当な扱いを受けることになった。共演にはキャサリン・ウォーターストン、ミニー・ドライバーらが名を連ねていた。
【作品情報】
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ショーン・オブ・ザ・デッド
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Photo by Laurent KOFFEL/Gamma-Rapho via Getty Images