映画「未来」の完成披露上映会が3月18日に都内劇場で開催され、黒島結菜、山﨑七海、坂東龍汰、近藤華、松坂桃李、北川景子、瀬々敬久監督、そして、原作者の湊かなえ氏が揃って舞台挨拶に登壇した。
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「告白」、「贖罪」などで知られる湊氏がデビュー10周年に発表した傑作ミステリーを瀬々監督が映画化。複雑な家庭環境で育ちながらも夢を叶え、教師になった真唯子(黒島)、彼女の教え子で、同じく過酷な家庭環境の中で暮らす章子(山﨑)ら、理不尽で残酷な現実の中でもがきながらも生きる者たちの姿を描き出す。
章子に救いの手を差し出す真唯子を演じた黒島は「難しいところの多い作品でした」とふり返りつつ、劇中で章子らが直面する過酷な現実について「そこに気づける人がいて、手を差し伸べることができる人がどれだけいるんだろう? というところは私自身、たくさん考えましたし、助けてあげられる、手を差し伸べられる人間になりたいとすごく思いました。映画はフィクションですが、どこかにもしかしたら、こういう思いをしている子どもたち、家族がいるんじゃないかと感じながら、自分自身もこれから生活をして、挨拶からでも声をかけてあげられる人間になりたいと思いました」と語る。
山﨑が演じる章子は、残酷な現実の中で「20年後のわたし」を名乗る差出人からの手紙を受け取り、半信半疑ながらも返事を書くことで孤独や哀しみに耐えて生きていく。山﨑は「手紙に書いてあった『希望に満ちた未来』ということを、何度か信じたくなくなる瞬間もあるんですが、それでも心の中には絶対にある――信じたくなくても信じてしまう、『信じたい』と思う章子がいるというのを心がけました」と述懐。特に印象深いシーンとして黒島との終盤でのシーンに触れ「どう演じたらいいのか? とひとりですごく悩んでいたんですが、黒島さんの体温を感じて、その時に章子から出てくる感情が見えてくればいいなと思ってやったら、監督から『とてもと良かった』と言ってもらえました」と笑顔を見せる。黒島も、セリフのないこのシーンについて「扉から入ってきた章子を見た時、心から『守りたい』という気持ちがわいてきました。お芝居をしていて、そういう感情があふれてくることに出会うことはないので、すごく良いシーンになったと思います」とうなずく。
章子の母・文乃(あやの)を演じた北川は、湊氏の小説が好きで「未来」も以前に読んでいたという。「(原作の文乃についての描写で)『ビー玉のような目をした』という表現があって、すごく印象に残っていました」と語り、それを実写で表現することの難しさを感じつつ「表情のつくり方を考えるというより、過去に本当につらい、叫び出したいほどつらい思いをしているんだけど、蓋をして生きてきたんだという気持ちで現場にいようと思いました」と明かす。
松坂は章子の父を演じたが、文乃や章子を残したまま亡くなってしまう役どころということで「残していく側としては、どれだけ幸せな瞬間を与えることができるか?残したものに対して、どれだけ救いを与えることができるか? を念頭に置きながら演じさせていただきました」と述懐。妻役の北川から「この先、つらいシーンがまだまだあるので、家族で写真を撮りませんか?」と提案があったことを明かし、「その時は本当に『頑張ってください!』という思いでした」と役柄とも重なる複雑な胸の内を明かした。
そんな実力派の俳優陣の熱演を原作者の湊氏は絶賛。「自分も書く時に映像を思い浮かべるんですけど、それぞれの方々の演技を見て、『このセリフをこんなふうに言うのか!』と。嫌いな相手にきつい言葉を投げかけるのは簡単だけど、(相手を)守りたくてきつい言葉を投げかける時、言葉と気持ちが真逆になるところで、『こういう表情で言うんだ!』と教えていただいて、原作の“向こう側の世界”を見せていただきました。素晴らしい演技をありがとうございました」と最大限の賛辞を贈った。
さらに劇中の「20年後のわたし」からの手紙にちなんで、登壇陣は20年後、もしくは20年前のわたしに手紙を書くなら? というテーマでトークを展開。黒島は20年後の自身へ伝えたい言葉を問われ「50歳くらいですね…。全然想像がつかないので、いまの自分の気持ちとか、『いま、こういうことをしてるよ』ということを書き留めて送りたいです。それがきっと20年後、いまを思い出して50歳の自分につながるのかなと思います」と語った。
松坂は、20年前の自分にどんな言葉をかけたいか? という問いに「手紙を出したことで、いま現在が変わってしまうことが怖いので(笑)、シンプルに『そのままでいい』と。あとは『挨拶をしっかり』とか、その二言くらいでいいです。そっとしておきたいですね」と控えめに語る。
北川は、自身の20年前について「私の中では結構、暗黒期で(苦笑)、オーディションとか頑張っているけど、なかなか役がいただけない時期だったので『この仕事で食べていけるのかな?』、『就職活動したほうがいいのかな?』と一番悩んでいた時期」と明かし「『大丈夫だよ!』『そのままでいいよ』と書きたいです」と笑顔で語った。
湊氏にとって、20年前の2006年はちょうど、のちにベストセラーとなり映画化もされる「告白」の第一章となる「聖職者」を書いた年。湊は「あなたがこれから書く作品は、書いている途中でつらくて鼻血が出たり、『もう書くのをやめようか』と思ってしまうような作品だけど、頑張って最後まで書いて応募してねと伝えたいです」と20年前の自分にエールを贈っていた。
「未来」は、5月8日より全国公開。
【作品情報】
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