3月18日(水) 5:00
高校の授業料については、高等学校等就学支援金制度によって国が一定額を支援しています。公立高校はもちろん、私立高校についても支援の対象です。
私立高校の授業料無償化でポイントとなるのが、所得制限の存在です。2024年度までは、年収約910万円以上の世帯は、私立高校について補助の対象外でした。
つまり、同じ私立高校に通わせていても、年収910万円を超えている世帯は、授業料を全額自己負担していたのです。
高等学校等就学支援金制度は段階的に見直されています。
2025年度からは、年収約910万円以上の世帯も国公私立共通の基準額である年間11万8800円までを上限に支援を受けられるようになりました。それまでまったく補助がなかった層に対し、初めて公的支援が及ぶ形となりました。
さらに2026年度からは、私立高校についても所得制限が撤廃され、ほかの収入区分と同様に、私立高校の全国平均授業料水準である45万7200円を上限に支援が受けられる見通しです。これにより、年収にかかわらず私立高校の授業料が上限額の範囲内で実質無償化の対象となる予定です。
この変化は、特にこれまで補助対象外だった世帯にとっては大きな制度転換といえるでしょう。
それでは、なぜ「数年前まで補助がなかった」と話すと「羨ましい」と言われたのでしょうか。その理由は、前述したとおり、2024年度まで私立高校の補助を受けられなかったのは、年収910万円以上だったからです。
「数年前まで補助がなかった」と聞けば、「それは年収が高かったからでは?」と受け取られてしまう可能性があります。制度の仕組みを知っている人ほど、「補助がなかった=高所得世帯」という図式を思い浮かべやすいのです。
そのため、無償化を喜ぶ発言が、「これまで高収入だった人」というイメージと結びついたと考えられます。
ちなみに、私立高校無償化といっても、全ての費用がゼロになるわけではありません。支援金額には上限がありますし、支援の対象となるのは授業料部分のみです。
私立高校では、入学金や施設費、教材費、修学旅行費、部活動費など、授業料以外の負担も少なくありません。ときには公立高校の負担を大きく超えるような場合もあるでしょう。したがって、制度が拡充されたとしても、私立高校進学に伴う家計負担が完全になくなるわけではありません。
無償化は大きな支援ではありますが、「私立はお金がかからない」という意味ではない点は押さえておく必要があります。
「給料高くて羨ましい」と言われる背景には、2024年度まで年収約910万円以上の世帯が私立高校の補助対象外だったという制度の歴史があります。補助がなかった=高所得世帯という認識が残っているため、そのような反応が生まれたのかもしれません。
一方で、無償化は授業料部分に限られ、私立高校では授業料以外にもさまざまな費用がかかります。制度の変化を正しく理解し、冷静に家計全体で考えることが大切だといえるでしょう。
文部科学省 高校生等への修学支援
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
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