3月18日(水) 8:40
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則として65歳から受け取ります。ただし、希望すれば60歳から65歳までの間に繰上げ受給ができます。これは自分で選んで早くもらう方法です。
一方で、特別支給の老齢厚生年金は、昔の制度改正の経過措置として残っている仕組みです。
日本年金機構では、男性は昭和36年4月1日以前生まれ、女性は昭和41年4月1日以前生まれで、厚生年金に1年以上加入していたなどの要件を満たす場合に対象になると案内しています。つまり、60代前半で受け取れるからといって、全員が自由に選べるわけではありません。
繰上げ受給の最大の注意点は、年金額が減ることです。昭和37年4月2日以降生まれの人では、減額率は1ヶ月あたり0.4%で、60歳から受け取ると最大24%の減額になります。しかも、この減額は一生続きます。
たとえば、「今すぐお金が必要だから」とあわてて繰上げると、その後ずっと少ない年金額で暮らすことになります。あとで取り戻したくなっても、繰上げ請求の取消しはできません。受け取る時期を早める判断は、数年先ではなく、その後何十年にも影響する判断だと考える必要があります。
繰上げ受給で注意したいのは、単に金額が減るだけではないことです。日本年金機構では、繰上げ請求をすると国民年金の任意加入や保険料の追納ができなくなること、遺族年金など他の年金との関係で選択が必要になること、事後重症による障害年金を請求できなくなることなどを案内しています。
また、原則として老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰上げ請求する必要があります。自分に都合のよい部分だけ先にもらう、という考え方は基本的にできません。制度の仕組みを十分に理解しないまま決めると、後から「思っていたのと違った」となりやすいので注意が必要です。
60代前半でも年金を受け取れるケースはあります。ただし、それが自分で選ぶ繰上げ受給なのか、条件に当てはまる特別支給の老齢厚生年金なのかで意味は大きく違います。特に繰上げ受給は、早くもらえる代わりに年金額の減額が一生続き、取り消すこともできません。
「65歳まで待つのが不安」という気持ちは自然ですが、目先の安心だけで決めるのは危険です。まずは自分が特別支給の対象かどうかを確認し、そのうえで繰上げの影響を考えることが大切です。迷うときは、受け取りを急ぐより、年金事務所などで見込み額を確認してから判断したほうが、あとで後悔しにくいでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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