4年後に花開かせる。パラアイスホッケー日本代表

4年後に花開かせる。パラアイスホッケー日本代表

3月17日(火) 7:00

ミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会のフィナーレを飾る、 パラアイスホッケー 決勝は1万564人の観客が見守る中、アメリカがカナダを下して大会5連覇を達成した。2大会ぶりにパラリンピックの舞台に戻ってきた日本は、予選リーグ全敗。16年ぶりの白星を狙ったものの、初勝利を挙げることはかなわなかった。
猛攻に耐えるも力尽きる
時間を割いて対策した初戦のチェコ戦を2-3で落とした日本は、カナダ戦、スロバキア戦でも敗れ、予選リーグ敗退。プレーオフでは、イタリアに敗れた後、7-8位決定戦で再びスロバキアと対戦した。
photo by AFLO SPORT1勝への思いが強かったのは間違いない。日本代表の初出場選手12人のうち6人がスポーツ庁の選手発掘事業「J-STARプロジェクト」出身。この試合は、選手兼指導者として若手育成に貢献した 𠮷川守 の日本代表ラストゲームであり、試合前の円陣では真ん中に𠮷川が入り、士気を高めた。
序盤、日本は3セットをローテーションしながら守備の包囲網を敷き、ゴールマウスには守護神・ 堀江航 が立ちはだかる。相手が放つ槍のような鋭いシュートを次々と身体で弾き返し、ゴールを死守し続けた。
photo by AFLO SPORTだが、耐える時間は長く、攻撃の糸口は見出せない。絶対的なチャンスであるパワープレーでもネットを揺らすことができず、選手たちの集中力は、時間の経過とともに削り取られていった。
第3ピリオド、スコアは0-0。延長戦突入かとよぎった残り1分31秒、無情にも日本のゴールネットが揺れた。0-1。日本は力尽き、最終順位8位で大会を終えた。
選手それぞれの「足りなかった何か」
タイムアップのブザーが鳴ると、ディフェンスの 石川雄大 は悔しさを露わにした。「(日本のショット数8に対し、スロバキアは19)あんなに打たれても守ってくれたゴールキーパーを最後まで守り切れなかったのは、ディフェンスに責任がある。5試合を行い、さらに上にいくのは簡単ではないと学ばせてもらった。何が足りなかったのかを考えて4年後、この舞台に帰ってきたい」

photo by REUTERS/AFLO同じくディフェンスの 須藤悟 は、「大会を通して国内にはない特殊なリンクサイズに苦戦した。振り向くとすぐ敵がいるため、ハンドリングのスピードを上げないと捌ききれず、攻め込まれる時間が長かった」と振り返った。
最終予選で得点頭になった 鵜飼祥生 は今大会無得点に終わった。「シュートを決めきれる力がまだない、というのが一番かなと思います。パラリンピックは、どのチームも気持ちが入っていた。勝ちたかった」

「悔しいけれど、やり切った」とは、エースの 伊藤樹 。伊藤は大会直前に腸閉そくの手術をしており、決して万全な状態ではなかった。チームが強くなるためには、エース頼みのチームからの脱却が必要。今大会を通じ、日本チームはその必要性を痛感したことだろう。
チーム最年少、16歳の 河原優星 は、プレータイムを伸ばしながらも「期待に応えられなかった」と悔しさをにじませた。また、予選で初出場を果たした唯一の女子選手、 福西朱莉 は、出場時間が限られたため「(仲間に)『点を取って』『守って』と願うことしかできず苦しかった」と吐露。「4年後は絶対に主力として戻ってくる」と決意を語った。
photo by AFLO SPORT 「つなぐパラリンピック」から次への期待

8位という順位こそ、平昌大会と同じだ。それでも、長野大会から6度パラリンピックに出場している 三澤英司 は、平昌大会とは異なる意味を持つと口にした。「若い選手たちにとっては、これが『スタートのパラリンピック』。彼らの成長を見られて『つなぐパラリンピック』になった。そういう意味で平昌とは違う大きな意味を持つ大会になった」

photo by REUTERS/AFLO今大会で勇退する日本代表の中北浩仁監督は、こう総括する。
「パラアイスホッケーだけの選手村という特殊な環境下で、パラリンピック最終予選(2025年11月/ノルウェー)のときのようなのびのびとしたプレーができなかった。ただ、若い選手たちが肌で感じた経験は言葉で語るより大きい。これまでパラリンピックでベテランが築いてきた経験を、初出場した12人の選手たちがどう自分たちのものにし、継続していくかが今後のチーム作りの鍵となる」
photo by REUTERS/AFLO今回の敗戦を無駄にはしない。エースの伊藤は、4年後の飛躍を心に期した。「最後の観客の景色とか、このパラリンピックの景色、この悔しさを、4年間忘れずに、それをガソリンにして頑張っていきたい」

これから大きく化ける可能性を秘めたパラアイスホッケーの“ハイブリッドJAPAN”。メダルを狙う次の4年が始まった。
text by Asuka Senagakey visual by SportsPressJP/AFLO

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