『ウマ娘』では下町育ちの江戸っ子強豪ライバルと激闘を演じて年間GI3勝を挙げた地方競馬出身の英傑イナリワン

photo by web Sportiva

『ウマ娘』では下町育ちの江戸っ子強豪ライバルと激闘を演じて年間GI3勝を挙げた地方競馬出身の英傑イナリワン

3月15日(日) 17:30

提供:
蘇る名馬の真髄

連載第38回:イナリワン

かつて日本の競馬界を席巻した競走馬をモチーフとした育成シミュレーションゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)。2021年のリリースと前後して、アニメ化や漫画連載もされるなど爆発的な人気を誇っている。ここでは、そんな『ウマ娘』によって再び脚光を浴びている、往年の名馬たちをピックアップ。その活躍ぶりをあらためて紹介していきたい。第38回は、オグリキャップやスーパークリークといったライバルと激闘を繰り広げ、GⅠ3勝を挙げたイナリワンの軌跡を振り返る。

強豪ライバルたちを蹴散らして1989年の有馬記念を制したイナリワン(ピンク帽)photo by Sankei Visual

強豪ライバルたちを蹴散らして1989年の有馬記念を制したイナリワン(ピンク帽)photo by Sankei Visual



東京の下町育ちで、曲がったことが大嫌い。豪快な"べらんめえ口調"を発し、粋な走りを見せる――。『ウマ娘』のイナリワンは、こうした"江戸っ子"気質の持ち主だ。

このキャラクターのモチーフとなったのは、1986年~1990年に現役生活を送った競走馬のイナリワンである。同馬は、地方競馬の大井競馬でデビュー。その後、中央競馬に移籍してGⅠ馬までのし上がり、年度代表馬(1989年)にも輝いた地方競馬出身のヒーローだ。そういったストーリーを踏まえて、「下町育ちの江戸っ子気質」というウマ娘の設定が作られたのだろう。

1986年、3歳(現2歳。※2001年度から国際化の一環として、数え年から満年齢に変更。以下同)でデビューしたイナリワンは、それから2年にわたり大井競馬所属としてレースを重ねた。5歳時の1988年12月には、大井競馬における年末の大一番、東京大賞典(ダート3000m)を制覇。この一戦をもって、同馬は中央競馬に移籍する。

1989年、6歳にして新天地に移ったイナリワンだが、いきなり躍動。オープン特別のすばるS(4着。京都・芝2000m)、GⅡ阪神大賞典(5着。阪神・芝3000m)と善戦すると、4月のGⅠ天皇賞・春(京都・芝3200m)で5馬身差の圧勝劇を披露した。さらに、続くGⅠ宝塚記念(阪神・2200m)も勝利。瞬く間に、古馬の中・長距離路線における主役となった。

その後、夏の休養を挟んで挑んだ秋初戦、GⅡ毎日王冠(東京・芝1800m)では、オグリキャップと初激突。最終的にはオグリキャップにハナ差及ばなかったものの、写真判定となる激闘に多くのファンが魅了された。

だが、イナリワンはここからスランプに陥る。毎日王冠のあと、GⅠ天皇賞・秋(東京・芝2000m)は6着。続くGⅠジャパンカップ(東京・芝2400m)では11着と惨敗を喫してしまったのである。

栄光の春から一転、苦渋を舐めることになった秋。崖っぷちに立たされたイナリワンは、年末の「グランプリ」GⅠ有馬記念(中山・芝2500m)で名誉挽回を期すことになる。そして、見事にこのレースを勝って輝きを取り戻したのだった。

1980年代"最後"の有馬記念。驚異のレコード(当時)決着となったジャパンカップで2着入線を果たしたオグリキャップが1番人気に推され、天皇賞・秋でGⅠ2勝目を挙げたスーパークリークが2番人気で続いた。

そんな両雄の"2強ムード"のなか、イナリワンは4番人気。直近2走の内容を考えれば仕方のない評価と言えるだろう。

ゲートが開くと、オグリキャップは2番手、スーパークリークは3番手につけた。両雄が積極的に運ぶ一方で、イナリワンは16頭立ての12番手と後方からレースを進めた。

雨の影響で霞がかるコース上、オグリキャップが早くも先頭に並びかけていく。それを見て、スーパークリークも進出。直線入口では、早くも2強が前に出る展開となった。

このままマッチレースになるのか。そう思われた矢先、いつの間にか両雄の後ろに迫ってきた馬がいた。イナリワンだ。3コーナーから一気にポジションを上げ、直線手前では2強をその視界にしっかりと捉えていたのだ。

迎えた直線、粘るオグリキャップを振りきってスーパークリークが先頭に立つ。完全に勝ちパターンに入ったと思われたが、オグリキャップに代わってイナリワンが猛追。急坂をものともせずに駆け上がり、スーパークリークに一完歩ずつ詰め寄っていく。

2頭の馬体がぴったり並ぶと、そこがゴールだった。写真判定の末、勝ったのはイナリワン。ハナ差で差しきり、勝ちタイムはレコード(当時)だった。

この勝利が最後のGⅠタイトルとなったイナリワン。地方競馬出身のスターホースというと、ハイセイコーやオグリキャップの名が挙がることが多いが、イナリワンも間違いなく歴史に残る地方出身の英雄である。

【関連記事】
◆『ウマ娘』では研究者肌という特異なキャラクター「幻の三冠馬」アグネスタキオンが見せつけた次元の違う強さ
◆【競馬予想】大激戦の「3歳牡馬ランキング」クラシック出走権争いが大詰めのなか、有望視されているのは?
◆『ウマ娘』でも描かれるダービー制覇への執念ベテラン騎手の懸命な思いに応えたウイニングチケットの激走
◆【競馬予想】「3歳牝馬ランキング」大詰めのクラシック戦線で注視すべき馬はいるか?
◆『ウマ娘』でも持ち味として描かれる「逃げ」のスタイルで、記録と記憶に残るダービー制覇を遂げたアイネスフウジン
Sportiva

新着ニュース

合わせて読みたい記事

編集部のおすすめ記事

エンタメ アクセスランキング

急上昇ランキング

注目トピックス

Ameba News

注目の芸能人ブログ