「高市幕府」から異国はどう見えているのだろうか?江戸時代末期、来航したペリーは多種多様な顔貌で描かれたが......(写真:神奈川県立歴史博物館HPより)
ウクライナ戦争勃発から世界の構図は激変し、真新しい『シン世界地図』が日々、作り変えられている。この連載ではその世界地図を、作家で元外務省主任分析官、同志社大学客員教授の佐藤優氏が、オシント(OSINT Open Source INTelligence:オープンソースインテリジェンス、公開されている情報)を駆使して探索していく!
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――前回までにあったように、これからの日本は高市将軍と側用人を中心に物事が決まっていく「高市幕府」が築かれる、とのことですが、その他の国々はどのような世界となっているのですか?なんでも、キア・スターマー英国首相は、「同盟の時代は終わった」と言っています。米国と米英相互防衛条約のある国ですよ。これからは何の時代になるのでしょうか?
佐藤
重要なのは、トランプ帝国との二国間関係を大切にすることで、イギリスのような弱い国に抱きつかれないことです。イギリスの口車に乗ってはいけません。
――要するに、筋の悪い国?
佐藤
そうです。いわゆる「燻(くすぶ)り」というやつですよ。イギリスは燻っているから付き合わない方がいいんです。一旦、沈み始めた太陽は止まりません。イギリスに再び日が昇る事はないでしょう。
――日の沈まない大英帝国はいまやそんな国に......。第5代将軍・徳川綱吉に仕えて15万石の大名になりながら、家宣(いえのぶ)の代替わりで引退を余儀なくされた柳沢吉保と同じですね。
佐藤
そうです。
――その同盟の終わりと言われた相手国、米国は、インドに関税をぶっかけて、ロシア産原油の輸入を停止させました。米露中三国協商なのに、なぜ米国はロシアに意地悪をするんですか?
佐藤
それは、形だけです。米露はゼレンスキーいじめで手を握っているじゃないですか。
――はい。これをロシアへの攻撃とみるのは間違っていると?
佐藤
はい。人口統計学者のエマニュエル・トッドも言っていますが、重要なのは、米国を含む西側連合がロシアに戦略的敗北を喫したことです。
ウクライナではもう4年間も戦争しています。日本があの大東亜戦争も4年とできなかったことを思い出してください。それでも、ウクライナが持ち堪えているのは、西側連合が支援しているからです。にもかかわらず、ロシアはビクともしていなくて、占領地を拡大しています。
――報道によると、2月までに露軍はウクライナ本土の20%を占領しています。
佐藤
なぜ20%で済んでいるかというと、ロシア側が、人命の損傷を最小限に抑えて、ゆっくりと進撃しているからです。
この流れならば、目標はいずれ達成できます。戦争をずっと継続していけるというロシアの総力戦の敢行能力は相当なものですよ。
――さすがロシア!の世界ですね。
佐藤
アメリカにも西側にも、その力がないんですよ。
――なるほど。
佐藤
だから、これは「戦略的」敗北なんです。ベトナム戦争、朝鮮戦争は「戦術的」な敗北でした。米国が戦略的な敗北をしてその弱さが露呈してしまうと、世界中が逃げて大混乱となります。だから、米国はロシアに泣きを入れて、それを手打ちに見せるようにしているんです。
――壮大なトリックだと。それをインドは理解しているということですか?
佐藤
インドはよくわかっています。もちろん中国もですよ。この状況においては、ベネズエラやコロンビアに対しても、米国はカチッとやらないといけないんです。
――インドはEUとFTAの最終合意して、仲良しです。これは安全保障と経済を分けて考えていて、負けたEU、NATOといま仲良くしておけばいろいろと儲かるぜ、ということですか?
佐藤
そうです。
――インド、すごいじゃないですか!米露に対して従順な良い子を演じつつ、金融関係でEUと手を結んだ、ということですよね?
佐藤
そういうことです。インドの場合は対外的に拡張しない国ですからね。
――高市幕府も米露中、イスラエル、そしてハンガリーと仲間の国はたくさんあり、孤独にはならないと。
佐藤
......ただ、高市さんの日本でいくならば、おそらく中国と武力衝突が起こると思うんですよね。
――武力衝突?
佐藤
はい。かなり大変な状況になってくると思いますよ。
――そりゃそうですよ。でも、それは日本だけが大変な状況になるんですか?
佐藤
米国は「やめろ」と言って、むしろ中国側に立つはずです。そしてヨーロッパも「日本はカントリーリスクとして、何をしでかすかわからない国」と判断する感じになると思いますよ。
――世界の孤児、日本。
佐藤
そしてその結果、「核共有」「核開発」「原子力潜水艦」などと言い出しかねません。
――なるほど。高市幕府としては発展するけど、日本の国自体がなくなる可能性はあるんですか?
佐藤
なくなりはしませんが、著しく弱体化する可能性はあります。国民生活が弱体化していくわけですから。
――中国が日本にミサイルを多数を撃ち込んできたら、あっという間に日本は終わりであすよ。
佐藤
だから、「高市さんは脳内で何を考えているか」。そこで全部、決まってきます。なので、不確実性が高いわけです。
――高市幕府になっても、決断するシステムは脳内戦艦であることは不変だと。高市幕府と徳川幕府を比較すると、徳川は将軍家に跡継ぎがいない場合、御三家、紀伊・水戸・尾張の三藩から、次の将軍が自動的に出るようにしていました。
佐藤
高市さんの場合は、それはありません。そもそも高市さんはチームがありませんからね。
――すると、高市将軍がもし倒れたら、どこからかさまざまな自薦他薦の将軍が立つと。
佐藤
立てた瞬間に大混乱に陥る可能性もありますけどね。
――日本も世界も大変ですが、世界皇帝のトランプだけが絶好調。なんと今度はワシントンに凱旋門を作るそうであります。
佐藤
これは特に害がないからいいんじゃないですか。作るならばパリの凱旋門や、それより大きい平壌の凱旋門より大きく作らなければなりませんね。
――パリ凱旋門が高さ50m、平壌の凱旋門の高さ60m。すると、トランプ凱旋門は高さ70mにしないと......。
佐藤
そうですね。北の凱旋門の南北の壁には、金日成将軍の歌などが刻まれていますから、トランプの歌も必要になりますね。
――たしかに。
佐藤
それより、いまのアメリカはだんだん北朝鮮化していますよね。
――トランプはプーチン化していてると以前の連載でおっしゃっていましたが、アメリカ国家は北朝鮮化していると。
佐藤
ええ。そのうちアメリカの学校や会社など、すべての場所にトランプの写真が飾られるでしょうね。すると、今度は日本も同じようになっていきます。高市さんの写真が日の丸と共に各家庭、会社などに置かれるようになるでしょうね。段々と世界の雰囲気が良くなってきて、引き締まってきています。
――しかし、世界平和を実現するために最後の頼りとなる国連が、7月までに資金が枯渇して倒産するらしいんですよ。原因は米国の分担金の未払い。国連はなくなり、トランプが協力している平和協議会がさらに大きくなるのですか?
佐藤
そう、これからは平和協議会が台頭すると思いますよ。トランプが議長なので、大統領を退いてもたぶん議長の座はそのままでしょうね。
――トランプは本当によく考えてますね!!
佐藤
第一次大戦後に国際連盟が作られましたが、戦後、国際連合に吸収されました。同じように、そのうち平和協議会に吸収されますよ。そして、天下はおおいに乱れます。
――どうしたらいいんですか?
佐藤
やはり重要なのは運に頼ることです。
――高市将軍がお持ちの幸運でありますか?
佐藤
そう、福運、幸運です。とりあえず、国民が支持していることは強いので、しばらくは幸運に頼ることですね。
次回へ続く。次回の配信は3月20日(金)を予定しています。
取材・文/小峯隆生
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