熟年離婚は、ある日突然起きるわけではない。そこには必ず“兆候”があるという。
夫婦の会話がなくなる、LINEが業務連絡だけになる、妻が資格取得や投資を始めるーー離婚カウンセラーによれば、こうした変化は熟年離婚の前兆である可能性が高いという。さらに近年は、妻だけでなく「DV妻」に耐えかねて離婚を決意する中年男性も増えている。熟年離婚のシグナルを探った。
熟年離婚予備軍にはさまざまな“シグナル”がある
熟年離婚は突然生じるものではない。積もり積もった不満から生じる夫婦の問題だ。そのため、熟年離婚予備軍にはさまざまな“シグナル”が見られるという。離婚カウンセラーの岡野あつこ氏が話す。
「最も多いのは夫婦の会話の喪失。会話がないまま老後30~40年も2人で暮らせるわけがありませんから。逆に言えば、喧嘩する夫婦は離婚リスクが低い。お互いに関心があるからこそ衝突するわけです」
離婚問題に詳しい堀井亜生弁護士も次のように話す。
「LINEのやり取りで、熟年離婚しそうな夫婦は見分けられます。最も多いのは、妻がメッセージを送り続けているのに、夫がほぼ返信しないパターン。無視するのも問題ですが、無視されているのに送り続けていることのほうが問題。改善しようとしていない点で、夫婦関係がすでに破綻しかけている。同様に、一方が命令口調だったり、長文を送りつけるのもパターン。長文を送る人は、すべての内容に対する回答が得られないと怒り出す傾向にあるので、摩擦を生じやすい。一方で、“離婚される女性”に見られがちなのがポエム調のメッセージ。旦那が『老後について話したい』と伝えても、思い出話を唐突に語り始めたり……。要は、話が通じない女性です」
将来的な離婚を決意した妻のシグナル
妻が将来的な離婚を決意した場合にも、多くのシグナルを発する場合がある。
「長く専業主婦として過ごしてきた女性は、なかなか新居を見つけられません。収入が乏しく、滞納リスクがあると判断されるためです。だから、離婚に向けて仕事を始める・増やす、資格取得を目指すという女性が多い。相談者のなかには、介護資格を取得されたうえで、家政婦として働くのに役立つ検定試験も受けられた人がいました。その方は離婚後、在宅介護を希望する富裕層の顧客を獲得して70代で年収800万円弱も稼いでいます」(夫婦問題診断士でFPの寺門美和子氏)
さらに、金融機関から旦那宛ての郵便物を細かくチェックするようになったら、離婚まで秒読みか。どれだけの財産分与が受けられるか調査している可能性があるからだ。
DV妻に耐えられず熟年離婚する男も増加
今回、「妻から熟年離婚する」パターンを念頭に、離婚リスクを見極めるチェックシートを用意したが、近年では「男性から」も増えていることに留意しておきたい。堀井氏が話す。
「妻からモラハラやDVを受けているので離婚したいと相談に来られる中年男性が非常に増えている。問題なのは、男性のほうがギリギリまで我慢してしまう傾向にあることです。なかにはうつ病を患て、初めて相談に来られるという方もいます。世間体を気にしたり、妻を捨てることに罪悪感を覚えて、男性は離婚を先延ばしにするのです。経済的理由で離婚を躊躇する女性より、男性からの熟年離婚は感情的理由で左右される点で深刻な問題だと考えております。男性でもツラければ別居、ないし離婚という選択肢があることをもっと認識してもらいたい」
熟年離婚は中年男性をどん底に叩き落とすこともあれば……救済となることもある!?
男性は要注意!「熟年離婚リスク」チェックシート
0~3つ該当なら熟年離婚リスクは「低」、4~7なら「中」、8~10なら「高」、11以上なら熟年離婚は時間の問題。
※離婚カウンセラー・岡野氏監修の「熟年離婚危険度チェック」や寺門氏、堀井弁護士の意見を基にSPA!作成
妻が発するシグナル
□資格取得に向けて勉強を始めた:
離婚後の生活基盤を整えるため、今のうちに収入UPに繫がる資格取得を目指そうとしている可能性あり
□急に美容意識が高くなった:
離婚後を見据えて新たなパートナーが欲しいと考える女性には急に見られがちな傾向
□単身者用マンションを探している:
別居を念頭に、引っ越し先を探している可能性あり。検索履歴に残っていたら要注意
□投資や副業を始め、パートを増やした:
離婚後の生活費の不安をなくそうと、資産形成に積極的になったり、パート出勤の回数を増やした可能性も
□金融機関からの郵便物を見る:
離婚時にどれだけの財産分与が受けられるかを探るため、勝手に夫宛てのものを開封してチェックしている可能性も
□親戚付き合いを辞退するようになった:
離婚すれば義父母との関係は切れることを念頭に、夫の実家に顔を出さなくなる、親戚付き合いを減らす人も
夫婦関係に見られるシグナル
□夫婦の会話がほとんどない:
すれ違いの夫婦に最も多いパターン。互いに関心もなし?
□LINEはほぼ業務連絡のみ:
家事・育児に関する報告・連絡のみとなりがち
□家事はほぼ妻に任せきりだ:
家政婦同然の扱いのため不満が溜まる傾向に
□休日に2人きりだと居心地が悪い:
子供やペットがいれば場が持つという夫婦は危険
□妻は交友関係が広い:
仕事人間の男性が定年退職すると不満のもとに……
□相手は「子供の母(父)親」という感覚:
子供が独立すると夫婦でいる必要性がなくなる?
□意見が合わなくても喧嘩にはならない:
怒りを通り越して諦めに似た感情に……
□互いに“財布”は別で支出の詳細を知らない:
役職定年などで収入が減ると不明瞭な支出が火種に
□義父母との関係があまりよくない:
介護を押しつけられたくないと考えやすくなる?
【離婚カウンセラー 岡野あつこ氏】
1990年に離婚し、日本初の離婚カウンセラーに。以降、4万件もの相談に対応。『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?』など著書多数
【弁護士 堀井亜生氏】
離婚・家族問題、医療問題に精通。YouTube「弁護士堀井亜生チャンネル」で離婚問題について発信中。著書に『モラハラ夫と食洗機』
【夫婦問題診断士・FP 寺門美和子氏】
3年の調停・裁判を経て48歳で離婚した経験を生かし上級プロ夫婦問題カウンセラー兼FPに。著書に『熟年離婚 女性がお金で損をしない本』
※2026年3月10日号より
取材・文/週刊SPA!編集部
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