都会の暮らしに憧れる人もいれば、その逆もしかり。時代も手伝って田舎暮らしや故郷に戻って生計を立てたいという人も希望を叶えやすくなったが、都会と田舎のどちらにもメリット・デメリットがあるということは肝に銘じておきたいものだ。
田舎での開業を決意して地元へ帰省したが…
都会の飲食店で働いていた大葉達之さん(仮名・30代)も、いつかは地元に戻ってのんびりと商売がしたいと考えていたひとり。リーズナブルなチェーン店から味に定評のある料亭などで修業を積み、結婚を機に地元での飲食店開業を本格的に考えるようになったとか。
「妻A子が『田舎の環境は子育てに良さそう』と賛成してくれたこともあり、開業資金や当面の生活費をある程度ためてから地元へ帰省することになったんです。両親との同居も快く承諾してくれ、円満に帰省することができ、両親も子どもたちの面倒をよく見てくれました」
保育園への送り迎えや夜間・休日の世話を両親がサポートしてくれることになり、めでたく開業。オープン祝いに駆けつけてくれた地元の旧友や親戚、知り合いなどにはキャンペーンとしてドリンクと自慢の一品をサービスすることにしたのだという。
「店に来てくれた人たちからは料理を絶賛され、明るい将来しか見えませんでした。オープンからしばらく経っても友だちや知り合いはよく来てくれまして、順調に進んでいけると思ったんです。ただ…」
“無料目当て”の厚かましい常連客も
なかには「これってサービス?」「今日もドリンク無料?」「何人連れてきたら割引してくれるの?」など、無料や割引サービスを目当てに来ていると感じるような人も多く、戸惑うこともあったようだ。
「子どもの頃にお世話になった人のなかには『昔はよく面倒を見てやっただろ?俺の顔でツケといて』という人や、財布を見てから『お金が足りないから今度でいい?』なんてふざけた人もチラホラいて、腹が立つこともありました。でも、きつく言えなかったんです」
ツケ文化を巡って夫婦ゲンカに発展
妻から「きちんとその場で代金をもらうべき」と幾度となく怒られ、大葉さんが「あまりきつく言うと田舎では商売がやりづらくなるからあまり口を出さないでほしい」と言ってしまったことで、大ゲンカへと発展したこともあったという。
「妻は『そんなことを言うなら、もう店は手伝わない』『店が潰れたらどうするつもり?!』とブチ切れまして……。ただ、どれも正論すぎて、泣く泣く従うしかありませんでした」
サービス廃止で客足が減少したが…
結果的に、お客さん全員が対象となる割引やサービス以外はやめて、ツケにも応じないようにしたところ、大葉さんが心配していたとおり、客足は減少。一時は売り上げも大きく下がって不安な日々を過ごすことになったのだが……。
「割引やサービス、ツケが当たり前になっていた人たちは不満そうで文句を言われることもありました。ただ、その人たちのことは気にせず、料理に力を入れてSNSも頑張ってみたところ、いつの間にか評判が良くなり、きっちり料金を支払ってくれるお客さんたちが増えていったんです」
迷惑客が減ったことによる思わぬ好影響も
飲むと大声で騒いだり一触即発の雰囲気になることが多かったりした店内にも平穏が訪れ、和気あいあいの快適な雰囲気へと変化。さらにお客さんたちがきちんと料金を支払ってくれるようになったことで店もまわるようになり、仕入れなどの支払いもラクになったとか。
「今思うと、最初に割引やサービスをしすぎたんだと思います。私の店に来ていたのと同じタイプの迷惑客に困っている人は、自分の腕を信じて毅然とした態度で商売してみたらいいかもしれません」
店側がやってもいない割引やサービスを求めることは、オーナーの借金問題や夫婦ゲンカなど経営状態にも悪影響を及ぼしかねない。「ちょっとくらい」「得したいから」などと軽い気持ちで割引やサービスを要求しないよう気をつけたいものだ。
<TEXT/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意
【関連記事】
・
「舌打ちをこらえるのに必死」“駅そば店員”が頭を悩ませる迷惑客。券売機に行列をつくるサラリーマンには「後ろ見て」・
「席を交換してくれ!」飛行機内で有料席との交換を要求をしてきた中国人男性…拒否したら修羅場になった結末・
「急いでるんだよ!」空港で列に割り込み、係員の注意に反抗した外国人観光客の末路・
一口も食べないまま電車へ…“駅そば店員”が遭遇した迷惑客。実は「冷やし=早い」は誤解?・
新幹線の指定席を「渡り歩く」50代男性。疑念を抱いた乗客が車掌にチクった結果…