大阪梅田に初出店した老舗書店・有隣堂、その勝算は?

大阪初出店となる有隣堂

大阪梅田に初出店した老舗書店・有隣堂、その勝算は?

3月8日(日) 19:00

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神奈川県横浜市に本社を持つ老舗書店・有隣堂の個性的な経営が好調だ。2024年9月から2025年8月の決算では、売上高544億9300万円、前年比4.6%増となっており、2年連続の増収増益を記録した。そんな有隣堂だが、実は2024年9月に、大阪初となる店舗をオープンしている。場所はうめきたのグラングリーン大阪北館。近隣にはすでに紀伊国屋書店、蔦屋書店があるにもかかわらず、梅田の一等地に乗り込んできたのだ。果たして勝算はあるのだろうか?関西在住の筆者が現地を取材した。
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大阪初出店となる有隣堂


■人気Youtubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」
まず、有隣堂の「個性的な経営」についてもう少し詳しく紹介したい。1つはYoutubeアカウントを持っていることが挙げられる。チャンネル名は「有隣堂しか知らない世界」で、登録者数は2026年2月末の時点で50万人超。ミミズクのぬいぐるみR.B.ブッコローをMCに、毎回異なるゲストを招いて、書籍や関連グッズをテーマにトークを繰り広げる。ゲストは有隣堂スタッフの場合もあれば、お笑い芸人で芥川賞作家・又吉直樹さん、漫画『闇金ウシジマくん』の作者・真鍋昌平さんなど、大物が出演することもある。つい先日も、Youtube生配信中に4000冊の図鑑を完売させるなど、チャンネルは盛況ぶりを見せている。

■じわじわ人気のZINEを特集
もう1つの特徴は、大手書店が扱わないZINEの販売に力を入れていることだ。ZINEというのは、個人やグループが制作する少部数の自主出版物。一般の書店に流通している本とは違い、自由度が高く、作り手の熱がよりダイレクトに伝わるという強みがあり、新たな表現手段として徐々に人気を獲得している。

有隣堂では昨年11月1日から12月31日の期間限定で、ZINEに焦点を当てた「YURINDO SELECT ZINE・リトルプレスフェア」を8店舗で展開した。さらに、それとは別の2店舗ではZINEを扱うコーナーが常設されている。そのうちのひとつがグラングリーン大阪店なのだ。
グラングリーン大阪


■有隣堂グラングリーン大阪店の小さいけれど「編集された売場」
このような事前情報をもとに、私は興味津々で有隣堂グラングリーン大阪店を訪れた。詩集、文芸、美術などのジャンルに分けられ、小さい売場面積ながら、こだわりを感じる書籍が棚に並べられている。そしてZINEの常設コーナーでは、透明のアクリルスタンドが設置され、いろいろなZINEの表紙が見えやすいように斜め向きに配置されている。有隣堂公式サイトの発表によると、書籍のほか、ZINEや雑貨なども含めた「編集された売場」をつくることで、ふらっと立ち寄った人が“何かに出会える”体験を提案するのがコンセプトだ。
ZINEが所狭しと並んでいる


ただ、店長の松永さんに話を聞いてみると、近隣で働く会社員がふらっと立ち寄るというよりは、ZINEやマニアックな書籍を目当てに有隣堂を訪れるお客さんが多いとのこと。また「有隣堂愛」が強い常連客も多く、横浜から関西に転勤してきて、慣れ親しんだ有隣堂がグラングリーンにオープンしてくれてうれしいと告げられたこともあるらしい。このように、一般の大手書店との差別化が明確に図れている。

松永さんにおすすめの本も教えてもらった。現在、平積みで大きく展開している『ふつうに働けないからさ、好きなことして生きています。』だ。著者の平城さやかさんは、もともと心身の不調から仕事を辞めてZINE制作に打ち込み始めた。本作はひとり出版社・百万年書房から初めての商業出版物として刊行されたばかり。自分の好きなZINEやイラスト雑貨を制作して、いかに生計を立てていくかをつづった「起業本」であり、まさに昨今のZINE人気を象徴するような一冊だ。
おすすめ本を平積みで展開中


にわかにZINEの人気が出はじめたのは、デジタル依存への反動なのかもしれない。テンプレートやAIがつくった文章が氾濫するSNSに疲れた人たちが、より熱のある言葉を求めて手作り感のあふれるZINEを手に取るということも考えられる。有隣堂はそんな動きを敏感にキャッチして、ZINEと読者をつなぐ個性的な売場を提供している。

■施設情報
有隣堂グラングリーン大阪店
住所:大阪府大阪市北区大深町6-38 グラングリーン大阪 ショップ&レストラン 北館2階
アクセス:【電車】JR大阪駅から徒歩約5分、阪急大阪梅田駅から徒歩約5分、Osaka Metro御堂筋線梅田駅から徒歩約5分
駐車場:231台(グラングリーン北館66台、南館165台) 8時~24時 600円/60分、以降300円/30分
営業時間:11時〜21時
定休日:不定休




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取材・文=レックス二宮大輔


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