【漫画】本編を読む
ゆき蔵(@yuki_zo_08)さんは、アパレル業界での約10年の経験をもとに、接客業の闇や女社会の裏側を描く漫画家だ。本作『戦慄のクレーマー〜歪んだ正義感〜』は、フォロワーの体験談をベースに再構成された物語である。そこには、単なる怒号よりもおそろしい、独自の正義感を振りかざすクレーマーの姿が描かれている。
■歪んだ正義感を振りかざす客
ある日、アパレル店員が目撃したのは、隣の店舗で1時間以上も平謝りを続ける店長の姿だった。クレーマーの主張は「婦人服売り場で子ども服を売るなんて無神経」というもの。ファミリー展開が一般的な昨今、なぜそれがクレームになるのか。客は冷静に「不妊に悩む夫婦は5、6組に1組の割合。デパート内にはすでに悩んでいる人がいる」と統計を持ち出し、店員をこんこんと詰め寄っていた。
自分にとっての善意を忠告として押しつけるこの行為は、まさに歪んだ正義感といえる。感情的に怒鳴るタイプとは違い、冷静なまま終わりが見えない説教を続ける様子は、働く側にとって血の気が引くほどつらいものだ。本作のラストで判明するこの女性の正体には、誰もが戦慄することだろう。
■百貨店の裏側に潜む闇
作者のゆき蔵さんは、百貨店での勤務経験から「百貨店だと冷静なクレームが多い印象でした。ただ感情的ではないのですが、おおごとになることが多かった」と振り返る。自身も過去には「有効期限切れの割引券を使わせろ」と脅された理不尽な経験があるが、毅然とした対応で通したという。
こうした実体験や寄せられた声を反映した作品は、すべて事実をベースにしており、凄まじいリアリティを放っている。笑顔の裏に隠された女社会の闇や、不条理な客との攻防は、ときとして怪異よりもおそろしい。きらびやかな百貨店の裏側で起きているリアルな人間模様を、ぜひその目で確かめてほしい。
取材協力:ゆき蔵(@yuki_zo_08)
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