江戸時代のはじめ、寛永3年(1626年)9月6日に行われた「寛永行幸」をご存知だろうか。戦国の世を乗り越えた日本各地の大名が京都に集まり、徳川幕府が5日間かけて後水尾天皇(ごみずのおてんのう)をもてなした一大行事だ。
【写真】寛永行幸の舞台となった二条城
江戸時代を通じて最大級とも言われる寛永行幸から、2026年で400年が経つ。この節目を記念し、行政・経済界・文化芸術団体などによるオール京都の組織「文化庁連携プラットフォーム」のプロジェクトの一環として、「寛永行幸四百年祭」が開催。一年を通して、さまざまなイベントが行われる。
本記事では、華々しい寛永文化と「寛永行幸四百年祭」の見どころについて解説。今年の京都観光の参考にしてみよう。
■「寛永行幸」とは?総勢9000人による“平和の祭典”
まず、「寛永文化」という言葉を聞いたことがある人はどれくらいいるだろうか。(記憶では…)学生時代の教科書では見かけなかった言葉だ。
寛永文化は、16世紀の「桃山文化」と17世紀後半の「元禄文化」の間にあったもので、学問・書跡・絵画・工芸などさまざまなジャンルの作品が生まれた時代。本阿弥光悦や俵屋宗達、野々村仁清、池坊専好(二代)、近衛信尋、松花堂昭乗といった名高い芸術家が誕生している。
また、寛永行幸は「二条城行幸」とも呼ばれている。「行幸」とはいわば“天皇のおでかけ”であり、特に寛永行幸は“平和の祭典”と位置付けられるようだ。
実際の寛永行幸では、後水尾天皇、中宮で徳川秀忠の息女・和子、公家衆ら朝廷方、3代将軍・徳川家光と全国の大名ら幕府方の総勢9000人で、御所から二条城に向けて盛大な行列で進行し、京都の街を熱狂させた。
■歴史好き必見!「寛永行幸四百年祭」の見どころ
「寛永行幸四百年祭」では、京都の各地で寛永文化にまつわるイベントや展覧会が開催。江戸時代初期の伝統文化に触れたい人は要注目だ。
行幸行列再現イベント
「寛永行幸四百年祭」の目玉となるのが、2026年12月6日(日)に実施される「行幸行列再現イベント」。御所から二条城東大手門の約3キロにかけて、当時の行幸行列の主要シーンを数百人規模で再現するというものだ。
ただ歩いたり見たりするだけでなく、時代装束をレンタルしての参加が可能で、当日は特別観覧席も設置される。楽人による雅楽演奏も再現され、当時の華やかなパレードをとことん体験できるのが魅力だ。3月31日(火)まで先行エントリー受付中なので、興味がある人は「寛永行幸四百年祭」公式サイトをチェックしよう。
また、二条城では、春期、夏期、秋期、冬期の4期にかけて、寛永行幸の際に使用された国宝・二の丸御殿の部屋の障壁画を公開。現存する障壁画3600面のうち1016面が美術工芸品(絵画)として1982年に重要文化財に指定されている。
ほかにも二条城では、二の丸御殿を夜間貸切で行う「寛永茶会~菊と葵~」や、「二条城公式ガイドツアー」など、寛永文化を堪能できる企画が満載だ。
寛永行幸四百年祭開催記念 特別展「寛永 太平がはぐくむ美」
9月19日(土)~11月15日(日)には、烏丸御池にある「京都文化博物館」で「寛永行幸四百年祭開催記念 特別展『寛永 太平がはぐくむ美』」が開催。寛永文化と寛永行幸を軸に、江戸時代前半を彩った京都文化の粋を紹介する。
寛永行幸四百年記念特別展「寛永行幸と花の都の文化びと」
9月5日(土)~10月18日(日)には、左京区にある「泉屋博古館」にて「寛永行幸四百年記念特別展『寛永行幸と花の都の文化びと』」が開催。行幸初日の行列を描いた「二条城行幸図屏風」の公開や、身分を越えて活躍した当時の文化人の紹介を行う。特に、徳川秀忠の娘で後水尾天皇の后となった中宮和子(東福門院)に注目する。
これらのコンテンツの詳細は、それぞれの公式サイトを要確認。
■寛永文化の形跡が点在する京都府
二条城以外にも、京都府内には寛永文化に深い関わりのあるスポットが盛りだくさん。
たとえば、左京区にある「霊鑑寺」には「狩野派作」と伝わる襖絵が保管され、春の特別拝観では後水尾天皇が愛したツバキなどが見られる。
同じく左京区にある「南禅寺 金地院」にも注目。方丈(本堂、客殿、住職居室を兼ねるもの)にある狩野派の襖絵や、枯山水庭園「鶴亀の庭(特別名勝)」、長谷川等伯が描いた襖絵、江戸時代建築の「茶室 八窓席」などを有している。
また、八幡市で“やわたのはちまんさん”と親しまれる「石清水八幡宮」は、「八幡造り」の本殿とそれを取り巻く美しい欄間彫刻が特徴だ。寛永の時代を象徴する華やかな造形に目を奪われること間違いなし。
寛永年間に書画や茶の湯に秀でた文化人として活躍した、松花堂昭乗ゆかりの施設「八幡市立松花堂庭園・美術館」も必見。内園に佇む文化財、草庵「松花堂」と「泉坊書院」の周辺は国の史跡・名勝にも指定されている(現在は特別公開日以外非公開)。美術館では寛永に関する展覧会を開催予定。
宇治市にある「興聖寺」は、江戸時代初期に、淀城主の永井尚政公が萬安英種禅師を中興開山に請じて宇治に再興。『源氏物語』宇治十帖の手習にちなんだ「手習観音」や法堂の「血天井」、鶯張りの廊下など、見どころが満載だ。
興聖寺に行ったあとは、初代陶作が宇治川傍の朝日山に窯を開いたことから始まったとされる「朝日焼」が楽しめる「朝日焼shop&gallery」への立ち寄りがおすすめ。大名茶人・小堀遠州が指導し、その好みの茶具を焼いたと言われる七つの窯「遠州七窯」のひとつに数えられる。作品の展示・販売に加え、絵付け体験や陶芸体験も行っている。
寛永行幸から400年。今こそ京都に訪れて、その煌びやかな文化に触れてみてはいかがだろうか。
取材・文=ウォーカープラス編集部
写真提供=JR東海ツアーズ
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