シルパトは“非効率な快楽”。並んで空振りしても、35歳女性がボンボンドロップシールにハマる理由

お気に入りのシールを貼ったバインダー、交換用バインダーなど毎日2~3冊のシール帳を持ち歩いている

シルパトは“非効率な快楽”。並んで空振りしても、35歳女性がボンボンドロップシールにハマる理由

3月5日(木) 15:53

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ぷっくり、うるうる、ちゅるりん……透明感ある「ボンボンドロップシール」(ボンドロ)をはじめ、ぷっくりとした質感がかわいい立体シールやシール帳が大ブームを巻き起こしている。その勢いは女児だけにとどまらず、大人をも虜にするほどだ。

しかし、ブームが喧伝されると同時に「そこまでして欲しいの?」と、シールをめぐる熱狂は、ときに冷ややかな目線を向けられる。SPA!編集部員の筆者(35歳の“平成女児”)も、それを実感する一人だ。仕事の合間に店を回り、再販情報を追い、ときには一日中歩き回る。冷静に考えればかなり非効率的な行動であるが、それでも実際に“シルパト”を続ける当事者として、その理由を振り返ってみたい。

冷ややかな目で見られるシールブーム

端から見れば、ブームに翻弄されているだけに見えるかもしれない。

今や人気のキャラクターシールは、定価500円のところ1枚3000円程度で取引されるものもあり、転売ヤーが参戦。窃盗事件や、偽物を販売する者が逮捕される事件まで発生した。

一部のモラルなきシール蒐集家が開店時にダッシュしたり、店員に詰め寄る、店内で品出しを地蔵のように待機するといった迷惑行為の数々も、年明け以降に各地で散見されるようになった。

筆者が1月に山手線沿線のとある雑貨店で“シールが1枚買えるかもしれない”「抽選販売」に参加した際は、15分間の待機列形成の間に1000人近くが集まり大混戦。シール購入権利が当選したのは150人程度のようだった。

500円程度のシールのために人員を割き、クレームに対応し……。自身も列の一員となりながらも、対応する店員さんには頭が下がる思いしかない。

正直、そこまでしてほしいのか、と言われても仕方がない状況ではある。

でもやるんだよ!理屈を超えたシール愛

筆者は、休日や仕事の合間にシールが売っている店をパトロールする「シルパト民」だ。特にサンリオが大好きで、韓国限定のサンリオのシールのために、日帰りでソウルの問屋にパトりに行くほど夢中なのだが、基本的には渋谷や新宿などのターミナル駅周辺の量販店や雑貨屋をウロウロして、ボンドロの出現があれば競歩で向かう。

出現情報は、シルパト民が集うオープンチャットやXなどをチェックしている。

「池袋の〇〇にディズニーのボンボンあり」「一人一種3枚までです」「もう枯れました」といった現場の情報がリアルタイムで共有されるのを参考にし、時には「和柄が出てます」などと投稿することもある。

日々、ランチや休憩を取る間も惜しんで、一店舗でも多く周り、ときたまシールに出会えるのがやりがいだ。

まず、現在のシール販売は「いつ・どこで」売られるかわからないことが多い。先述した対面での抽選販売や、告知の上での販売は長蛇の列になるため、大手量販店ではオンラインでの抽選販売、家電量販店や雑貨店ではゲリラ販売を行うケースが多い。

・そもそも入荷しているかわからない
・いつ品出しされるかわからない
・欲しい絵柄がある/残っているとは限らない
・抽選は外れる可能性がかなり高い

……と、常日頃慣れ親しんだオンラインショッピングとは真逆の、超非効率な購買体験だ。

それでもシルパトに繰り出すのはなぜか。

きっかけは、年明けにボンドロの「たまごっち」が再販されたことだった。すでに市場からは完売しており、フリマアプリで4枚1万円ほどに高騰していたたまごっち。懐かしの“まめっち”や“くちぱっち”のぷっくりしたシールは、たまごっち初期世代の筆者には「何がなんでもほしい」と思わせるパワーがあった。

絶望からの武者震い……たまごっちゲットまでの一部始終

店頭に並び始めると思しき日、筆者は9時前には渋谷に到着し、 ①大手量販店に並んだ 。もちろんその時点では、シール自体の入荷は不明だ。それでも、100人近くが並んでいた。「出遅れた」と感じるも、いったん並ぶ。

②別の大手量販店で整理券配布がある との情報を得て、列から抜ける。しかし、配布は終了していた。 の列に戻ることもできない。絶望。

③大手雑貨店でたまごっちが販売 されていると聞きつけ、急いで向かうも、売り切れ。

もう今日は無理か……と諦めかけるも、普段はなかなか入荷しない、各地の雑貨店でたまごっちが続々と出現しているという。

もしやと思い急いで電車に乗り、数駅先のそこまで人が多くなさそうな店舗に向かうと、そこには輝くたまごっちシールがあったのだ。見つけた瞬間にサウナよりも発汗し、背中を伝う。レジに持っていく道中も、初めて見るシールに武者震いが止まらなかった。

ようやくカフェに入って一息つき、たまごサンドを食べ、インスタストーリーに「たまごっちゲット」と自慢の投稿。何度もシールを見返す。微笑むまめっち。かわいいみみっち。

こんなにも嬉しい買い物体験は久しぶりだった。

“おすそわけ”“交換”で幸せに浸れる

人にプレゼントして喜んでもらえることも、シルパトを後押ししている。

上司から「娘がシールが手に入らないと嘆いている」と相談されれば、シール帳に貼り終えた余りのボンドロを数種類組み合わせて“おすそわけシート”を作る。親戚の子どもの誕生日には、100円ショップで売っているミニミニシール帳にボンドロをたくさん貼り、お気に入りのキャラだというクロミのキーホルダーをつけてプレゼントした。

彼女たちからは「ちょううれしいです」と大歓喜の手紙が届き、何度も読み返して嬉しい気持ちになった。

お金さえ払えば翌日にはほしいものが届く現代の子どもたちが、こんなにも歓喜するモノはなかなかないかもしれない。

筆者自身も、シールの希少性はもとより、ぷっくり感と輝き、儚いラメ感が唯一無二のかわいさで、ハイクオリティなシールだと重々理解しているからこそ、苦労して手に入れてよかった、あげてよかったと心から思えるのだ。

苦労→脳汁→幸せ→また探すーー幸せの循環

シールを手に入れる興奮&脳汁の理由は下記の要素が絡み合っている。

・関心度の高いIP(ノスタルジックなたまごっち、大好きなサンリオなど)
・希少性(フリマアプリでは、たまごっちの再販前は4枚1万円程度。ディズニーの人気キャラは1枚3000円ほどのものも。販売があるとしても、在庫量は不明)
・SNSでの接触(リールやストーリーでかわいく貼られたシール帳を見るとほしい欲が爆上がり。自身も投稿して自慢することも)
・定価の安さ(同世代が数十万円のエルメスやジュエリーをパトロールしているのに比べ、破格!)
・おすそわけや交換でのコミュニケーション(小学生女児にあげて心から喜んでくれるのが嬉しい)

仕事では、すぐに結果がでるものや、無駄のない選択を求められる。いっぽうシルパトは、一日数時間歩きっぱなし休憩なしで歩きまわれど手に入らないこともしばしばだ。並び、空振り、汗をかくのはしんどい。コスパやタイパはあまりにも悪い。だからこそ、手に入った瞬間の興奮&脳汁が半端ないご褒美になっている。

筆者は今日も、「もしかしたら、あと一軒行けばあるかも」とあがく。



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