【F1】ハース小松礼雄代表を「旧知の仲」白幡勝広が直撃「大きなレギュレーション変更にも立ち向かえる」

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【F1】ハース小松礼雄代表を「旧知の仲」白幡勝広が直撃「大きなレギュレーション変更にも立ち向かえる」

2月27日(金) 7:05

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F1ハース代表・小松礼雄インタビュー

with白幡勝広(元ウイリアムズ・メカニック)前編

2016年にエンジニアとしてハースに加入した小松礼雄が、シーズン開幕を前にチーム代表に就任したのが2024年。70年を超えるF1の歴史において、日本資本ではないF1チームの代表を日本人が務めるは初の出来事だった。

当初は驚きの人事に注目が集まったが、いざシーズンを終えてみれば采配初年度は前年のコンストラクターズ最下位から7位へ大きくジャンプアップ。2年目の2025シーズンもコンスタントにポイントを積み重ねて8位に食い込んだ。

チーム代表として3年目のシーズンを迎える2026年。小松代表の今の心境を聞き出すべく、2006年から2022年までウイリアムズのメカニックとして活躍した白幡勝広氏がバーレーンで直撃した。

昨年8月の富士スピードウェイで行なわれたTPC(旧型車テスト)にもヘルプ要員として参加するなど、小松代表とは「旧知の仲」である白幡氏。そんなふたりだからこそのリラックスした雰囲気で、新時代を迎える2026年のF1とハースの現状を小松代表が語ってくれた。

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大いに盛り上がった白幡勝広(左)と小松礼雄(右)の対談photo by F1LIFE

大いに盛り上がった白幡勝広(左)と小松礼雄(右)の対談photo by F1LIFE



──チーム代表として3年目のシーズンを迎えます。これまでと何か違ったところはありますか?

「カッツさん(白幡勝広氏)に褒めてもらえるようにがんばります(笑)」

──僕は小松くんに会った時から、ずっと褒めてますよ(笑)。

「お世辞じゃなく、本気で褒めてもらえるようにならないと(笑)。チーム代表になって1年目の2024年に解決しなきゃいけなかった問題は、『ウチはシーズン中の開発がダメで、速いクルマを作れない』ということでした。でも、僕はこのメンバーだったら絶対にできると思っていたので、1年目はそこに集中しました。

そして2年目、シルバーストン(第12戦/2025年7月)のアップデートで『できる』ということが証明でき、最終的に5番目の速さを持ったマシンでシーズンを終えることができました。過去2年間の結果で、チームのみんなに自信を持ってもらえたと思います。

じゃあ、次は何が必要か──。といえば、彼らにもっといい環境を与えること。それは人材だったり、ハードウェアであったり、ソフトウェアであったりさまざまですけど、そうすればチーム一丸となれば今年の大きなレギュレーション変更にも立ち向かえるだろうと思っていました」

【初期の遅れを取り戻すのは難しい】──完全刷新の2026年シーズンに臨むにあたって、不安はありませんでしたか?

「この新しいレギュレーションに合わせてクルマを持ってきて走らせるだけでも、ものすごく大変なことなんです。ウチはF1界で一番小さいチームなので、それが本当に大変でした。

それでも(フェラーリ所有のテストコースがある)フィオラノで事前シェイクダウンを済ませて、その2日後のバルセロナの初日から154周も走ることができました。そういうマイルストーンをひとつひとつきちんとクリアしてこられたというのは、ものすごく大きなことだと思っています。

開幕前テストではアストンマーティンが苦労していますけど、ウチらだってああいう状況になることは有り得たわけです。だから、そういうことが起きた時に備えて、『自分たちはやれるんだ』という自信が持てるよう準備していました。今はそのメンタリティを維持しながら、自分たちよりも規模の大きなチームとの開発競争に勝つことを目指していきたいと思っています」

──僕の経験から言うと、F1チームの『予定』というのはどうしても想定外のことが起きて、スケジュールに遅れが生じるものだと思うんだけど、それに対してハースではどう対策を講じていました?

「遅れる時点でダメだと思います。たとえば、バルセロナの初日の朝9時から走るというのは『予定』なわけで、それは遅れてはいけないんです。それをトラブルなくやるためには、事前にシェイクダウンをしておかなければいけない。

じゃあ、そのシェイクダウンはいつ、どこでやるのか──。そうやって熟考を重ねて、絶対にクリアしなければいけないマイルストーンを組み立てていくんです。『予定』はあくまで予定とはいえ、必ずクリアしなければいけない通過地点というのはあるわけですよ。それをクリアしているからこそ、基本が固められるし、その上に積み重ねていける。

ひとつ崩れると、どんどん崩れていって、積み重ねられるものも積み重ねられなくなる。それでどんどん時間がキツくなってきて、時間だとかスタッフの疲労だとか、いろんなことを考えなければならなくなって、思いどおりのプログラムをこなせなくなる。だから、初期の遅れって取り戻すのが本当に難しいんですよ」

【この人のためにもっとがんばろう】──小松くんのレースに対する姿勢というのがチームに浸透しているように感じられるし、僕がかつて一緒に戦ってきたフランク・ウイリアムズ(故人・ウィリアムズF1チームの創設者で元代表)と相通ずる部分をすごく感じるんですよね。

「そんなすごい人と比べないでくださいよ(笑)」

──フランクは常にファクトリーを動き回って、スタッフみんなに声をかけて回って、常にみんなに感謝の気持ちを伝えてくれていた。冗談を言ったり悪態をついたり、気さくでオチャメな人でね。でも、夜遅くに仕事をしている時にフランクがやって来て、『カッツみたいなヤツが俺のために働いてくれて、俺は本当に幸せな人間だ』なんて言われたら、この人のためにもっとがんばろうって思うじゃない?

「そうだったんですか、僕も似たようなことをやっていますよ、ファクトリーを歩き回って家族の話をしたりね。まぁ、僕は『また怒りの塊(かたまり)が来たぞ』くらいに思われているだろうから、ウチのチームの人が僕のためにがんばろうなんて思わないだろうけど(苦笑)」

◆「小松礼雄×白幡勝広」後編>>トップ4を食う方法「チャンスは『基本』にある」



【profile】

小松礼雄(こまつ・あやお)

1976年1月28日生まれ、東京都出身。高校卒業後にイギリスに渡ってラフバラー大学で自動車工学を専攻する。大学院時代にF3チームのメカニックとなり、2003年にタイヤエンジニアとしてB・A・Rに加入。2006年からルノーF1(のちのロータスF1)でレースエンジニアやトラックエンジニアを務め、2016年に創設されたハースへ移籍。レース現場の技術責任者、技術部長を経て2024年よりチーム代表に就任。

白幡勝広(しらはた・かつひろ)

1973年1月28日生まれ、東京都出身。東京工科専門学校の教師として学生を指導していたが、ヨーロッパのチームでメカニックになる夢を追いかけて2004年に渡英。ベルギーのF3チームを経て、2006年にウイリアムズのテストチームのメカニックとして採用される。2008年よりトップチームに昇格し、中嶋一貴、ニコ・ヒュルケンベルグ、ブルーノ・セナ、バルテリ・ボッタスなどの担当メカニックを歴任。現在はフジテレビNEXTのF1解説などで活躍中。



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