2月22日は「猫の日」。愛猫家にとって特別なこの日、ふと日常の「ある悩み」が頭をよぎる飼い主も多いのではないだろうか。
【図解】最新科学でわかった、猫の「食べムラ」の理由と「愛のサイン5つ」
「昨日まであんなに喜んで食べていたのに、今日は見向きもしない…」
奮発した高級缶詰をプイッと無視される。お気に入りだったはずのカリカリに、まるで砂をかけるような仕草をされる。「やっぱり猫は気まぐれだから」「飽きっぽい性格だから仕方ない」——そう諦めてはいないだろうか。だが、その「食べムラ」(※その日の気分や好みで食べる量や時間を変えてしまう現象)の正体は、単なるワガママではないかもしれない。
実は、その謎を解く鍵は、猫が遥か昔から受け継いできた「DNA」にあるという。今回は、猫の生態研究に基づいたフード開発を行う株式会社uniam(以下、ユニアム)代表取締役であり、獣医師の杉本亜衣さんに、最新科学でわかった猫の真実を聞いた。
■猫の食べムラは、ワガママじゃなかった
杉本さんは、飼い主が悩む「突然の食べ飽き」について、単なる性格ではなく生存本能に基づいた行動だと語る。
「猫には新しいものを警戒する『ネオフォビア』と、興味を持つ『ネオフィリア』という相反する特性があります。野生下では同じ獲物ばかりだと栄養が偏るため、本能的に『あえて違うものを食べよう』とするスイッチが入るのです」(杉本さん、以下同じ)
これを飼い主は「飽きたのかも...」と捉えるかもしれないが、実は生きるための賢い戦略だという。「栄養バランスを保つために、必要な栄養を探している証拠なんですよ」と杉本さん。(※1)
また、意外と知られていないのが「水」と「ご飯」の距離感だ。よかれと思って横に並べがちだが、杉本さんは「野生の本能に反する」と話す。
「野生の猫は、獲物の血などで汚染している水を避けるため、食事場所と水飲み場を分けます。もし水をあまり飲まないなら、ご飯から少し離してみてください。それだけでストレスが減り、驚くほど飲むようになることもあります」(※2)
加えて、杉本さんは、「フードローテーション」の重要性も説く。「お腹を壊すから」と一生同じフードを与える飼い主も多いが、腸内環境(腸内フローラ)の観点からは逆効果だそう。
「さまざまなタンパク源を摂取するほうが腸内フローラが多様化し、病気に強い体になります。同じものばかりだと特定の菌しか育たず、抵抗力が弱まってしまう(※3)。もちろん毎日の変更は負担になりますが、1カ月程度で新しい味に慣れさせながらローテーションさせることは、健康維持の観点からも理に叶っているのです」
■最新科学で判明、「猫は飼い主を愛していない」は大きな誤解
食事の悩みと並んで、飼い主の心に刺さるのが「猫は犬と違って、飼い主を愛していないのでは?」という説だ。「呼んでも来ない」「自分を自動給餌器だと思っているのでは…」と自虐的に語る飼い主も少なくないかもしれない。
「その不安は、科学的に『間違い』だと証明されました。2019年の研究で、猫は飼い主を単なるご飯係ではなく、『安全基地(心の拠り所)』として認識していることが判明しました(※4)」
実験は、猫を知らない部屋(不安な場所)に連れて行き、飼い主が戻ってきたときにどう反応するかを見るもの。その結果、約64%の猫が真っ先に飼い主に近寄り、安心感を得ようとしたという。
「驚くべきは、この数値が犬や人間の子どもとほぼ同じだという点。猫も子どもと同じくらい、あなたを頼りにしているのですよ」と杉本さん。
さらに2025年の最新研究では、もっとうれしい事実が明らかになった。
「幸せホルモンと呼ばれる『オキシトシン』の研究です。猫が自分から近寄ってきたときに撫でてあげると、猫の唾液中のオキシトシン濃度が劇的に上がることがわかったのです。重要なのは『猫から近づいてきたとき』という条件。人間側から無理に構うと、逆にストレスホルモンが出てしまいます(笑)(※5)」
つまり、彼らがゴロゴロと甘えてくるときは、間違いなくあなたとの時間に幸せを感じている。それが科学的にも証明されたわけだ。
■実はあなたを愛しています。猫が見せるサイン
では、言葉を話さない猫は、どうやって私たちに「愛」を伝えているのだろうか。杉本さんによると、私たちが「気まぐれ」や「ただの癖」だと思っている何気ない仕草の中に、実は熱烈なラブコールが隠されているという。
まず注目したいのが、猫が飼い主を母猫のように慕っているサインだ。例えば、愛猫が口だけ動かして声を出さない「サイレント・ニャー」を見せたことはないだろうか。
「あれは本来、子猫が母猫だけに甘えるときに使う究極の愛情表現です。甘えるときに喉をゴロゴロ鳴らすのも同じで、あなたを母猫のような『絶対的な信頼を寄せる相手』だと認識している証拠なのです」
また、身体的な接触にも深い意味がある。足元や手に頭をスリスリとこすりつける仕草。これは単なる挨拶ではない。
「自分のフェロモンをこすりつけることで、『あなたは私のもの(所有物)』と主張しているのです。いわば『大事な家族』という認定証のようなものですね」
さらに、野生では急所となるお腹を無防備に晒す「ヘソ天」も、「ここなら絶対に襲われない」という安心感があってこその行動だという。
そして意外なのが、「観察とまね」だ。ドアを開けようとしたり、飼い主と生活リズムが似てきたりするのは、猫が視覚・聴覚・嗅覚を総動員して、大好きな飼い主を常に見つめているからこそ起きる行動だ。素っ気なく見えても、彼らはあなたのことを片時も目を離さずに見守っている。それこそが、猫なりの「愛」の形だったのである。
■愛猫が毎日幸せに過ごせるご飯の与え方
なぜ猫は、これほどまでに飼い主を信頼し、愛のサインを送るのだろうか。その根底には、犬とは違う「猫ならではの愛の形」がある。群れを作らず単独で生きてきた猫には、誰かに従うという遺伝子が備わっていない。だからこそ、彼らが飼い主のそばにいるのは義務でも命令でもないのだとか。
「彼らは『自分の意思で、あなたと一緒にいたいから』あえてその場所を選んでいるのです。それ、すごく尊い愛だと思いませんか?」
そんな自立したパートナーである愛猫に対して、私たちが返せる愛情とは何だろうか。撫でてあげること、遊んであげること。そして何より、彼らの命をつくる「毎日の食事」に気を使ってあげることだ。
「猫は人間以上に食へのこだわりが強く、酸化したフードや質の悪いタンパク質には敏感です。だからこそ、私たちユニアムは科学的なエビデンスに基づいて、猫本来の身体特性に合った、新鮮で食いつきのよいフード作りにこだわっています」
冒頭で触れた「食べない」という行動も、ワガママではなく、彼らなりのメッセージだと杉本さんは語る。
「その声に耳を傾け、猫たちが『おいしい』と感じられる、そして健康を守れる食事を選んであげること。それが、言葉を持たない彼らへの一番のラブレターになるはずです」
2026年の猫の日は、愛猫の隣で「いつも選んでくれてありがとう」と伝えてみてはいかがだろうか。そのとき、もし愛猫が喉をゴロゴロ鳴らしてくれたら——。それは間違いなく、あなたへの愛の返事なのである。
【本記事で引用した研究論文・ガイドライン】
※1(猫の栄養素選択に関する研究)
Hewson-Hughes, A. K., et al. (2011). Geometric analysis of macronutrient selection in the adult domestic cat (Felis catus). Journal of Comparative Physiology B.
※2(猫の飼育環境に関するガイドライン)
AAFP and ISFM (2013). Feline Environmental Needs Guidelines.
※3(猫の消化器の進化と腸内環境に関する研究)
Jackson, M. I., & Jewell, D. E. (2019). Evolution of the cat digestive system and the gut microbiome. Journal of Animal Science.
※4(猫と人の愛着形成に関する研究)
Vitale, K. R., et al. (2019). Attachment bonds between domestic cats and humans. Current Biology.
※5(飼い主とのふれあい時における猫のオキシトシン反応に関する研究)
Roth, L. S. V., & Wredengren, V. (2025). Individual variation in the oxytocin response of domestic cats during interaction with their owners. Applied Animal Behaviour Science, 106518.
■プロフィール・杉本亜衣
獣医師/株式会社uniam 代表取締役。「猫の寿命を伸ばせるのは獣医師ではなく、日々のケアを担う飼い主である」という信念のもと、猫の生態と最新の栄養学を融合させたキャットフード事業「uniam(ユニアム)」を創業。「猫は小さな犬ではなく、全く異なる生態を持つ生き物」という科学的視点に立ち、腸内フローラの多様性を高める「フードローテーション」や、猫本来の食性に合わせた食事管理を提唱。 猫を単なる愛玩動物ではなく「自立したパートナー」として尊重するライフスタイルを推奨し、健康意識の高い飼い主やビジネスパーソンから厚い支持を集めている。
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※本記事内のイメージ画像(図解)は、生成AIによって作成しています。
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