レーニンからゴルバチョフまで 強権を握る指導者たちの「悪党列伝」

レーニンからゴルバチョフまで 強権を握る指導者たちの「悪党列伝」

レーニンからゴルバチョフまで 強権を握る指導者たちの「悪党列伝」

2月21日(土) 6:00

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悪党たちのソ連帝国 『悪党たちのソ連帝国』(新潮社)著者:池田 嘉郎 Amazon | honto | その他の書店
キャッチーなタイトルなので誤解を招きそうだが、第一線のロシア史研究者が堅固な学識に基づき、最新の知見も盛り込んで書いたソ連の通史である。個人の市民が主人公になる西欧の近代国家とは違って、ソ連は強権を握る指導者が法の上に立って「帝国」を統治してきた。本書はそういう史観に立ち、レーニンからスターリン、フルシチョフ、ブレジネフ、アンドロポフ、ゴルバチョフまで「悪党列伝」を繰り広げる。「悪党」というのは、善悪の尺度を超えて大国の運命を動かした存在を指し、道徳的な非難ではない。

興味深いのは、ソ連を共産党中心の巨大な「家族共同体」ととらえる視点である。エマニュエル・トッドの家族構造理論にも通じる発想だが、池田氏はトッドのように大風呂敷を広げず、「悪党」たちに密着して肖像を――人間臭いディテールも見逃さずに――丹念に描いてゆく。

歴史全体を貫く一本の糸のごとく、各章に演出家リュビーモフが顔を出して道案内をしてくれるのも、独創的な仕掛けで驚いた。イデオロギー的な立場からの党派的な議論を超えた、卓抜なソ連論になっている。

【書き手】
沼野 充義
1954年東京生まれ。東京大学卒、ハーバード大学スラヴ語学文学科に学ぶ。2020年7月現在、名古屋外国語大副学長。2002年、『徹夜の塊 亡命文学論』(作品社)でサントリー学芸賞、2004年、『ユートピア文学論』(作品社)で読売文学賞評論・伝記賞を受賞。著書に『屋根の上のバイリンガル』(白水社)、『ユートピアへの手紙』(河出書房新社)、訳書に『賜物』(河出書房新社)、『ナボコフ全短篇』(共訳、作品社)、スタニスワフ・レム『ソラリス』(国書刊行会)、シンボルスカ『終わりと始まり』(未知谷)など。

【初出メディア】
毎日新聞 2026年2月14日

【書誌情報】
悪党たちのソ連帝国 著者:池田 嘉郎
出版社:新潮社
装丁:単行本(ソフトカバー)(288ページ)
発売日:2025-11-27
ISBN-10:4106039389
ISBN-13:978-4106039386 悪党たちのソ連帝国 / 池田 嘉郎
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