困難を乗り越え再生した天才ピアニスト、ブーニン自身の人生哲学、亡命者ショパンへの思い語る

スタニスラフ・ブーニン

困難を乗り越え再生した天才ピアニスト、ブーニン自身の人生哲学、亡命者ショパンへの思い語る

2月20日(金) 16:30

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世界的ピアニスト、スタニスラフ・ブーニンのドキュメンタリー映画「ブーニン天才ピアニストの沈黙と再生」が2月20日公開を迎え、109シネマズプレミアム新宿で行われた初日舞台挨拶にブーニンと中嶋梓監督、小堺正記プロデューサーが登壇した。

【フォトギャラリー】「ブーニン天才ピアニストの沈黙と再生」初日舞台挨拶

1985年、19歳でショパン国際ピアノコンクール優勝。その後世界を股にかけ華々しい活躍を続けるも、2013年突如として表舞台から姿を消したブーニン。病や怪我、左手の麻痺、そして大手術……、ピアニスト生命を脅かす様々な苦悩と葛藤を乗り越えた演奏家の内面を映す。映画では2025年12月サントリーホールの最新演奏を完全収録し、ともに復帰への道を歩んだ妻・榮子との絆、そして彼を敬愛してやまない著名ピアニストたちの証言、ブーニンが音楽監修を務めた20曲を超える名曲の数々が収められている。

上映後、客席からの大きな拍手とともに迎えられたブーニンは「たくさんの方々が私に注目してくださっていることに感謝申し上げます。とても心を動かされております。こんなに大きなスクリーンで自分自身を見るのは人生で初めてのこと」と感謝を述べる。

本作制作のオファーを受けた時の心境を「まず自分のことが大きな映画館で上映される映画になるとは……と最初は驚いて笑ってしまいました」と率直に語るも、「スタッフの皆さんがとても真剣にこのテーマに向き合っていることが伝わってきました。ですから、これは非常に真剣なことなんだ、と自分に言い聞かせました。そして、もちろん私にも日々の仕事があります。そんな中で、皆さんの映画作りという営みに参加しようと決め、撮影されることに耐えようと決めました」と振り返る。

「ブーニンさんの歴史を記録に残したかった」と本作の企画のきっかけを明かす小堺プロデューサー。長年NHKのドキュメンタリー番組制作に携わっているが、今回映画という媒体を選んだ理由について「私はテレビが本業ですが、こういう形で劇場で、テレビよりもとてもいい音響設備で見られれば、皆さんがブーニンさんの真髄を感じられると思った」と語った。

ショパンコンクールでの快挙、また、ソ連から西ドイツに亡命したブーニンにとって、同じく亡命者であるショパンはとりわけ思い入れの深い音楽家であり、映画の中では、“ノクターン第20番 嬰ハ短調《遺作》”をはじめ、自ら選んだ数多くのショパン楽曲の演奏が収められている。

ブーニンにとってショパンはどのような存在か?問われると「私にとってのショパンは、単に生まれ故郷を離れて祖国から亡命したという意味での亡命者ではありません。彼は広い世界へと出ていった、そういう意味で、亡命という道を選んだ人なのです。そして、彼の目的は、世界を高尚なのものにする、その一点にあったと思います。私はそこに連なりたい、その後を追いたいのです。皆さんと一緒に真剣に、この世界をどうしたら高尚なものにできるのか、音楽の美と世界を一体化させられるのか、そんなことを考えて、私はショパンが最高の亡命者であるという風に思っています。ショパンはそれを成し遂げた人で、私もそれに続きたいと思っています」と語る。

本作では音楽監修も務め、映画の始まりと終わりはバッハの楽曲を選択し、その意図をこう説明する。「バッハのプレリュードとフーガというのは、私にとって自分自身の人生を象徴する曲であると捉えています。人生は果てしなく続きますが、様々な瞬間があり、その瞬間を描写するのがバッハの作品だと思っています。そしてまた、この映画の中で取り上げた演奏は、自分の演奏の中でも最高のものだと思える演奏を取り上げていただきました。皆さんにもそのように感じていただけているとしたら、こんなに嬉しいことはありません」

「最後のコラール(主よ、人の望みの喜びよ)は、私のリサイタルの最後に演奏する曲でもあります。私にとって、そして皆様にとっても、喜びの祈りがこもった作品であるということから、この曲を最後に選んでおります。この先の私たちの人生が希望に満ちたものであれという願いのこもった、そんな作品です」

3年にわたり取材を行った中嶋監督は、「ブーニンさんは人生の困難と闘い、絶対に乗り越えようという強さをお持ちの方」と撮影を振り返る。2022年の公演からおそらくほぼすべての公演に足を運んだそうで、「85年のショパンコンクールでブーニンさんが日本で広く知られるようになってから、40年にわたって多くの方々がその音楽を支持していること、これはどういうことなんだろうと考え続けた3年間でした。私たちに様々なものをもたらすブーニンさんの音楽の力を受け取っていただけたら」「この映画とブーニンさんの生き方を通して、1番皆様に伝えたかったことは、自分自身の人生を生き切るということはどういうことなのかということ」と作品に込めたメッセージを伝えた。

最後にブーニンは「この映画はドラマチックに仕上がっています。もしこの作品に意義があるとすれば、人生においてどんなことがあっても、自分自身の道を見失わないことではないでしょうか。それが大事なことです」と、波乱万丈を乗り越え、再生を遂げた自身のピアニスト人生をしみじみと振り返った。

【作品情報】
ブーニン天才ピアニストの沈黙と再生

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