娘が幼稚園年中だったころのこと。同じクラスに、話し方や立ち振る舞いなどがひときわ目立つママがいました。彼女はSNSのトレンドや最新スポットに詳しい情報通。しかし、私にはどうしても彼女の言動で引っかかることがあったのです。
「東京が一番!」都会好きなママに起きた悲劇
私が気になっていたのは、彼女が事あるごとに「東京以外」を見下す発言をすることでした。生まれも育ちも東京で、実家も都心の一等地にあるという彼女は、地方出身のママに対し、
「私ならそんな不便なところ、絶対に住めないな〜」
と平然と言い放ちます。
別のママが帰省の話をすれば、
「大変そう! うちは田舎がなくて本当によかった」
と失礼な発言。本人に悪気がないのがまた厄介で、周囲は「またか……」と聞き流すしかありませんでした。
そんな彼女が年中の途中で、急に園を去ることになりました。周囲が「お引っ越し?」と尋ねても、彼女はどこか歯切れが悪く、視線を泳がせます。
「あー……娘にとって、もっと良い教育環境があるんじゃないかと思って……」
結局、はっきりした理由は語られないまま、彼女と娘さんは転園してしまったのでした。
その後、幼稚園の先生から意外な事実を聞かされました。転園の理由は、旦那さんの急な転勤。しかもその行き先は、彼女があれほど見下していた地方だったのです。「東京以外は無理」と豪語していた彼女にとって、その事実はプライドが許さず、誰にも告げることができなかったのでしょう。
どんな場所であれ、そこには誰かの大切な日常があります。都会にも地方にも、住んだ人にしかわからない豊かな魅力が必ずあるはずです。私自身、東京を出たことがありません。だからこそ「自分の当たり前」を押し付けて誰かを傷つけることがないよう気をつけたいと感じました。それと同時に、子どもたちには東京以外の広い世界をたくさん見せてあげたいなと思っています。
著者:河原りさ/30代女性。2016年生まれと2018年生まれの女の子2人、2024年生まれの男の子のママ。花屋に勤務。都会のおでかけスポットや植物に関心あり。
イラスト:森田家
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)
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