待ちわびた吉報に、小園海斗(広島)は胸の昂ぶりを抑えられなかった。大阪府内で自主トレを続けていた1月22日、第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた侍ジャパン選出の連絡を受けた(公式発表は26日)。
「選んでいただき、光栄に思います。WBCという初めての舞台で自分らしい積極的なプレーができるように、しっかり準備して、勝ちにこだわり、世界一に貢献できるように頑張ります。メジャーの選手もたくさん参加しますし、何か吸収して成長したいです。熱いスクワット応援よろしくお願いします」
昨季、首位打者と最高出塁率のタイトルを獲得した小園海斗photo by Sankei Visual
【首位打者と最高出塁の二冠】信じて、待った。昨季終了後から国際球で練習を続けてきた。昨季、広島で主に守ってきた遊撃や三塁だけでなく、二塁でもノックを受けた。
「1球の暴投が命取りになる可能性もある」
世界で戦う覚悟はできていた。
23年10月に侍ジャパンの監督に井端弘和氏が就任し、同年11月の「アジアプロ野球チャンピオンシップ」で初めて選出された。同時期に多くの若手が起用された中でも際立つ存在感を放ち、常連となった。24年11月のWBSCプレミア12では7試合で打率.387、2本塁打、8打点、3盗塁、OPS(出塁率+長打率)1.119の好成績を残し、ベストナインに選出された。
昨季は飛躍の1年となった。チームは後半戦に入ると順位を下げ、2年連続Bクラスが決まったシーズン終盤には大幅に選手を入れ替えた。出場機会が与えられた若手が実力不足を露呈するなか、小園は8月以降、打率.356の高打率で貫禄の違いを見せた。
初めて経験するタイトル争いの重圧を持ち味の積極性ではねのけた。ファーストストライクの打率.361をマークし、首位打者とともに最高出塁率のタイトルを獲得。
「僕みたいなタイプが出塁率のタイトルを獲っていいのかなと思うんですけど、次に向けてやっていく。全然ダメなときもありましたけど、あきらめずに最後までできた。使ってもらったというのがあるので、そこが一番かなと思います」と、素直に喜んだ。
今季、チームでは日本人唯一のレギュラー扱い。それでも、WBCに向けて仕上がりは早い。2月7日のシート打撃では、左腕・高橋昂也と対戦。直球を捉えた打球は、逆風をものともせずに右翼ポールを直撃。早くも"今季1号"を放った。
「(今年1年)あれで終わるかもしれないので、打ててよかったです」
謙遜しながらも、大舞台に向けて例年以上の早いペースで調整を進め、その成果を示した。
【できることを準備してやる】WBC戦士に選んだ井端監督は、「すべての大会で活躍してくれましたし、ポジション的にはショート、サード、セカンドも(守れる)。いてくれると助かる選手かなと思います。ここという時の勝負強さはある」と、これまでの国際大会で勝負強さを発揮した小園に期待を寄せる。
複数ポジションを守れることも小園の武器だ。23年には63試合に出場した遊撃を筆頭に、三塁(29試合)、二塁(16試合)も守った。24年以降は本職とした遊撃よりも三塁での出場が増え、プレーの幅を広げた。侍ジャパン選出後、井端監督から電話で伝えられた「期待している」のひと言に、覚悟を決めた。
「(自分が試合に)出るか出ないかは、もうどうでもいい。勝てばいいので、できることを準備してやろうかなと思います」
侍では遊撃のレギュラー候補ながら、ユーティリティー性を生かし、チームへの献身を誓う。「キャッチャーミット以外は持っていく」と、これまで一度も使用していないファーストミットと外野用グラブも手配済みだ。実際、広島の一次キャンプで行なわれたシート打撃では持参したミットで一塁を守った。世界一のためなら、何でもやる姿勢だ。
2月14日には宮崎市内での侍ジャパン合宿に合流し、初の大舞台に照準を合わせる。今大会は侍ジャパンに歴代最多8人のメジャーリーガーが参加する。
自国だけではない。2017年大会優勝の米国は、ポール・スキーンズ(パイレーツ)とタリック・スクーバル(タイガース)のふたりのサイ・ヤング賞投手が参戦。主将を務めるのは、ア・リーグ2年連続MVPのアーロン・ジャッジ(ヤンキース)だ。
また、2013年大会優勝のドミニカ共和国もブラディミール・ゲレーロJr(ブルージェイズ)やファン・ソト(メッツ)、フリオ・ロドリゲス(マリナーズ)と強打者揃い。将来的なメジャー挑戦に興味を抱く若侍にとって、自身の現在地を知る絶好の機会になる。
「現実を知れると思う。そのためだけに行くわけじゃないので、まずは勝ちにいく。そのなかで自分のレベルや環境が見える、いい機会なのかなと」
昨季二冠の"セ界"のヒットメーカーが、世界に挑む。
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