ヤクルト新監督・池山隆寛「ホームランはやっぱり華やか。豪快な野球を目指す」

チーム再建を託された池山隆寛新監督

ヤクルト新監督・池山隆寛「ホームランはやっぱり華やか。豪快な野球を目指す」

2月19日(木) 7:00

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チーム再建を託された池山隆寛新監督

チーム再建を託された池山隆寛新監督





昨季セ・リーグ最下位と低迷する東京ヤクルトスワローズの再建を託されたのは、現役時代"ブンブン丸"の愛称で親しまれた池山隆寛新監督。かつて"三振かホームランか"の打撃スタイルでファンを魅了した指揮官が目指す野球とは?キャンプ地の沖縄・浦添で独占インタビュー!

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【ケガ対策のため休養日を減らす】 ――新監督として迎える春のキャンプ。心境は?

池山隆寛(以下、池山) 就任が決まった秋から「やってやるぞ」という気持ちだったけど、キャンプインしてユニフォームを着ると、ますます実感が湧いてくるね。

――新監督にして12球団最年長監督。59歳で初めて1軍監督に就任したのは史上2番目の遅さだそうです。

池山 年齢は関係ないんだけども(笑)、ずいぶん遠回りをした中でまた新しい景色が見られるということで、ワクワク感しかありません。

――ずっと監督をやりたかった?

池山 ユニフォームを脱いだときから「いつかは監督に」と目指していました。まぁ、こればかりは、なりたくてもなれない職業だから、もう還暦を過ぎてるけど「ようやくおまえの出番だぞ!」と言ってもらえたと思ってます。

――やっとお鉢が回ってきたと。

池山 そう。両親はふたりとももう亡くなっているけど、親孝行ができたんじゃないかな。日本で12人しかいないですから。僕のキャリア、野球人生のすべてをかけてチームをつくっていきたい。

――その預かったチームは昨年リーグ最下位。その原因はどこにあると?

池山 やっぱり主力にケガ人が多発したっていうのが一番の問題だね。

――何か対策は?



池山 練習方法や習慣をガラッと変える、改革することが大事だと思ってます。このキャンプでいえば、5勤、6勤という休日の少ないスケジュールにしています。その代わりに一日の練習のボリュームを下げる。そうすることで、毎日100%の状態で練習に臨める、その反復をやっていきましょうと。

――昨年のキャンプの休養日は5日間で、今年は3日間となっていますね。

池山 青木(宣親)GMともいろいろと話し合ってこういう日程になりました。メジャーを7球団も渡り歩いて世界の選手を見てきた男ですから、体との向き合い方、調整方法に関して非常に高い経験値を持ったGMだと思ってます。

それでもケガ人はどうしても出てしまう。そのときのために控えや2軍の選手もバックアップとしてしっかり準備をしておく。みんながそう意識を持っておけば、シーズンの踏ん張りどころで振り落とされずに上位争いができると思ってます。

――その2軍も昨季はイースタン・リーグのみに参入しているオイシックス新潟アルビレックス以下の7位。昨年まで2軍の指揮を執っていた池山監督としては頭の痛いシーズンだったのでは。

池山 そうですね。選手の人数が足らずに戦うのがやっとというメンバー構成ではありました。でも、やはり2軍あっての1軍なので、上でケガ人が出たときにチャンスをつかめるように2軍の選手も準備していてほしい。

――そんな池山ヤクルトのキーマンとなる選手は?

池山 主砲の村上(宗隆)が抜けたので、チームを解体して新しくパズルを組み直さなきゃいけない。だからダイヤモンドは白紙状態です。

ミスタートリプルスリー・山田哲人も近年の成績は右肩下がり。背番号1の先輩で、プロ1年目から打撃コーチとして指導してもらった池山監督の助言で返り咲けるか

ミスタートリプルスリー・山田哲人も近年の成績は右肩下がり。背番号1の先輩で、プロ1年目から打撃コーチとして指導してもらった池山監督の助言で返り咲けるか





――山田哲人選手もレギュラー確約ではない?

池山 もちろん。彼には今、サードの練習をしてもらってるけど、ルーキーの松下(歩叶[あゆと])君もサードがメインなので、ポジション争いも含めて試行中です。

――その山田選手は近年、思うような成績を残せていません。

池山 3度のトリプルスリーを達成していた頃と比べたら、どうしても体のキレは落ちていて、それは仕方がないこと。数字が落ちれば焦りや力みも生まれてくる。だからもう一度、彼の体の仕組みやメンタル面について、(ミスタースワローズが背負う)背番号1の先輩として助言できたらと思います。

――昨年はすべて外野手で出場した内山壮真選手にも内野に挑戦させていますね。



池山 やはり内山の能力は内野で生かすべき。それに彼に内野手用のグラブを持たせたら表情が変わったんですよ。まだどこを守らせるかはわからないけど、今年は内野手一本です。

池山ヤクルトのキーマンとされるのが長岡秀樹(左)と内山壮真(右)の「そまひでコンビ」。長岡は定位置のショート、内山は今季からセカンドなど内野に挑戦しており、二遊間を組む可能性も

池山ヤクルトのキーマンとされるのが長岡秀樹(左)と内山壮真(右)の「そまひでコンビ」。長岡は定位置のショート、内山は今季からセカンドなど内野に挑戦しており、二遊間を組む可能性も





――では、キーマンは内山選手?

池山 彼の打撃はチームに必ず必要だと思ってます。同じく若い長岡(秀樹)と共にチームの顔としてやっていってほしい気持ちはあるよ。

――壮真と秀樹で"そまひでコンビ"と、マスコミからはプッシュされてます。

池山 そうですね。彼らには長くヤクルトの中心選手として頑張ってもらわないと。

高校通算54本塁打の長打力が魅力の4年目、西村瑠伊斗。今季は外野手登録されて自慢の打棒に磨きをかける。ファンからも「吉田正尚になる逸材」と期待されている

高校通算54本塁打の長打力が魅力の4年目、西村瑠伊斗。今季は外野手登録されて自慢の打棒に磨きをかける。ファンからも「吉田正尚になる逸材」と期待されている





――2軍監督を6年間務められた池山監督が見る、今年ブレイクしそうな選手は?

池山 昨年、1軍で初ヒットを打った西村瑠伊斗(るいと)なんて打撃でいいものを持っているし、投手でいえば、育成の廣澤優がかなり強いボールを投げる。

1軍の試合でそのパフォーマンスを見せるにはもう一段階レベルアップしなきゃいけないけど、そういった選手たちの活躍もひとつ鍵になってくるんじゃないかな。

【バントは好きな作戦ではない】 ――WBCについて、いいのか悪いのか、ヤクルトから代表に選出されたのは中村悠平捕手のみでした。これは一球団の監督として調整面を考えるとうれしかったり?

池山 たくさん選ばれたら当然、シーズンが苦しくなってくるのは事実(笑)。でも日本代表として戦えることは本当に名誉なこと。今回は中村だけだったけど、選ばれるような選手をたくさん育てていきたいね。

――池山監督の理想の監督像は?

池山 僕の指導者としての原点は野村(克也)さん。僕が選手で野村さんが監督だったときもだけど、野村さんが2006年に楽天の監督になって、その下で打撃コーチとして働いた4年間は本当に勉強させていただいた。その経験が指導者として非常にいい土台になってると思います。

――ということは、"池山ID野球"を目指すと。



池山 今やどこの球団もデータは集めてるからね(笑)。そこにどんな発想や工夫を加えられるか。僕の選手時代は野村さんだけじゃなく、長嶋茂雄監督、星野仙一監督と個性の強い人がたくさんいた。だからそのいいとこ取りみたいな監督になれたらいいね。

一昨年は体調不良で2軍監督を休養することもあったが「選手の代わりに厄をかぶった(笑)。今は健康です」(池山監督)。キャンプでは打撃投手も積極的に務める

一昨年は体調不良で2軍監督を休養することもあったが「選手の代わりに厄をかぶった(笑)。今は健康です」(池山監督)。キャンプでは打撃投手も積極的に務める





――現役時代は"ブンブン丸"と呼ばれた池山監督。監督としてもそんな豪快な野球を目指す?

池山 もちろん豪快さは欲しいですよ。ひと振りで1点入るっていうのはやっぱり華やかじゃないですか。野村さんは常に1-0で勝ちたいと考える監督だったけど、そのあたりは僕は真逆。自分が内野手だったこともあって、打ち勝つ野球が理想だね。

――髙津臣吾前監督はバントが多かったですが。

池山 状況にもよるけど、来年からセ・リーグもDH制が導入されたりと野球がどんどん変わっていく。そういったことも含めて、バントはあまり好きな作戦ではないかな。

――三振かホームランかという選手時代の池山監督のプレースタイル同様、最下位か優勝かというチームもまたある意味でロマンがあります。

池山 もちろん優勝を目指します。去年は6位でもう上がり目しかないですから。ファンの皆さんには新しいスワローズの戦い方を楽しみにしていただきたい。僕自身もどんなチームをつくり上げるのかまだまだ未知数。正直、ファンよりも僕が一番楽しみにしてるんじゃないかな。

――ズバリ優勝する確率は......?

池山 それは6分の1です(笑)。スタートラインは全球団一緒だからなんとか振り落とされないように踏ん張って、いい波のときに勢いがつけられれば、優勝の二文字も見えてくると思います。

――つば九郎も帰ってきますしね!

池山 彼は本当に大きな戦力。そのパフォーマンスにもとっても期待しているよ。

●池山隆寛 Takahiro IKEYAMA

1965年12月17日生まれ、兵庫県尼崎市出身。83年、ドラフト2位でヤクルトに入団。豪快なスイングで88年から5年連続で30本塁打を記録し、90年に遊撃手として初の3割30本を達成。広沢克己との"イケトラコンビ"で人気を博す。2002年の現役引退後は楽天、ヤクルトでの打撃コーチを経て、20年から6年間、ヤクルトの2軍監督を務めた

取材・文/武松佑季撮影/宜野座 貴

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