警察官を装った詐欺に遭い、30万円を失った20代の娘。相手とは連絡が取れない……泣き寝入りするしかないでしょうか?

警察官を装った詐欺に遭い、30万円を失った20代の娘。相手とは連絡が取れない……泣き寝入りするしかないでしょうか?

2月17日(火) 23:10

「警察です。あなた名義の口座が犯罪に使われています」そんな電話がかかってきたら、ドキッとするでしょう。 最近、このような警察官を装った電話でお金を支払ってしまう被害が増えているそうです。こうした場合は、泣き寝入りするしかないのでしょうか。今回の記事では、そのような疑問にお答えします。

現金で渡してしまった場合

警察官を装う詐欺事件では、現金を直接渡させる手口も少なくありません。よくあるケースとしては、以下のようなものがあります。
 

・「捜査のために確認する」と言われ、自宅まで受け取りに来た
・「証拠として必要」と言われ、指定先へレターパックで郵送してしまった
(※レターパックでは現金を送るのは不可です)

 
残念ながら、現金で渡してしまった場合、回収は極めて困難です。現金には履歴が残らず、誰の手に渡ったのかを追跡できないからです。警察が捜査を行っても、「犯人の特定」と「現金の返還」は別問題となり、実際はお金が戻らないケースがほとんどです。
 

銀行振込で渡してしまった場合

一方、銀行振込でお金を渡してしまった場合は、わずかですが希望が残ることがあります。
 
確かに、振り込んでしまった後では「もう無理かもしれない」と思うかもしれません。しかし、気付いたタイミングが早ければ、お金が戻る可能性がある制度があります。
 

・振込先の口座から、まだお金が引き出されていないか
・すぐに警察や銀行へ連絡できたか

 
上記の条件がそろえば、次に紹介する制度の対象になる可能性があります。
 

振り込め詐欺救済法とは

「振り込め詐欺救済法」という制度があり、正式名称は「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」といいます。この法律は、詐欺に使われた銀行口座を凍結し、残っているお金を被害者に返すための制度です。
 
対象となるのは、警察等を装った振り込め詐欺だけではありません。SNS型投資詐欺やロマンス詐欺についても、預金口座等への振り込みにより被害にあった場合は対象となります。
 
返ってくるのは「口座に残っているお金のみ」で、自分が支払ってしまった金額すべてが返ってくるわけではありません。しかし、何もしなければ1円も戻らないのが現実です。詐欺にあってしまったと気付いたら、必ず通報し、支払いの申請を行いましょう。
 

どうやってお金が戻ってくるの?

振り込め詐欺救済法による返還は、次のような流れで進みます。
 

1. 被害に気付いたら、すぐに警察と振り込みをした金融機関へ連絡
2. 金融機関が、犯罪に使われた疑いのある口座を凍結
3. 金融機関が、預金口座の権利を消滅させる手続きを実施
4. 被害者が金融機関に支払いの申請を行う
5. 口座に残っているお金が、被害者に分配される

 
被害総額が口座に残っている金額以下であれば、被害額が全額支払われます。一方で、口座に残っている残高のほうが少ない場合は、その残高の範囲内で支払われます。
 
なお、同じ口座に複数の被害者がいる場合は、被害額に応じた「案分(比例配分)」で分けられます。
 

「詐欺かも」と思ったときはどうすればいい?

このような救済措置もあるため、「おかしい」と感じた時点で、一刻も早く行動することが何より重要です。判断に迷ったときは、次の点を思い出してください。
 
警察が、電話やSNSで一般の人に対して「お金を支払え」「振り込め」「現金を渡せ」と指示することはありません。そのような連絡があった場合、本物の警察官である可能性はありません。詐欺だと気付いたら、まずは次の2つを確実に行いましょう。
 

・警察へ相談
最寄りの警察署、または警察相談専用電話「#9110」を利用する
 
・金融機関へ連絡
「詐欺被害の可能性がある」と伝え、振込先口座の状況を確認する

 
この行動が早いほど、被害回復の可能性は高まります。
 

おわりに

詐欺にあってお金を失うと、悔しくて残念な気持ちになるでしょう。しかし、だまされた側が悪いわけではありません。
 
被害にあったお金の回収は非常に難しいですが、銀行振込であれば、制度を知り、早く動けば可能性が残ることもあります。大切なのは、「もう無理だ」と諦める前に、正しい手続きを行うこと、そしてこの知識を周囲と共有し、次の被害を防ぐことです。
 
詐欺は、事例を知っていれば防げるケースも多い犯罪です。この記事が、同じ不安を抱える方に届き、少しでも被害を防ぐ助けになれば幸いです。
 

出典

金融庁 振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ
 
執筆者 : 富澤佳代子
1級ファイナンシャルプランニング技能士・CFP®認定者/中小企業診断士

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