妊娠中、初めて年末年始に夫の実家へ帰省したときのことです。義母が「伝統のご馳走よ」と満面の笑みで出してくれた大皿料理を見て、私は思わず言葉を失ってしまいました。
義実家で出された驚きの料理
夕食の時間になり、義母が「毎年うちの定番なのよ」とうれしそうに大皿を運んできました。中を見て、私は思わず固まってしまいました。
大皿いっぱいに盛られた「鉢の子(蜂の子)」だったのです。
義実家の地域ではお正月のご馳走として振る舞われる伝統料理らしく、義父や親戚たちは当たり前のように箸を伸ばしていました。しかし、馴染みのない私には見た目のインパクトがあまりに強く、状況を飲み込むのに時間がかかりました。
つわりが落ち着いたばかりで匂いや見た目に敏感だったこともあり、やんわりと事情を伝えて断ろうとしました。
しかし、義母からは「栄養たっぷりだから妊娠中のあなたにぴったりよ」「昔の人はみんな食べて元気だったの」と熱心に勧められ、断りづらい雰囲気に。悪気がないのは痛いほどわかるのですが、どうしても受け入れられず、内心では冷や汗が止まりませんでした。
「どうしよう」と焦っていると、見かねた夫が間に入ってくれました。
「〇〇(私)には慣れない見た目だし、別のものがいいよ」
そう言ってくれたおかげで、別の煮物を用意してもらえましたが、目の前に残る大皿の存在感がすごく、結局その日はほとんど食事が喉を通りませんでした。
それ以来、義実家へ帰省する際は、事前に食べられるものを伝えたり、軽く食事を済ませてから行ったりして、無理なく過ごせる工夫をするようにしています。
後日、夫が義母に改めて話をしてくれました。「鉢の子はこの辺じゃ当たり前のご馳走だけど、外から来た人には馴染みがないし、見た目もかなりインパクトがあるんだよ」と。
すると義母は、「あらやだ、そうなの!? 栄養たっぷりだし、みんな喜んで食べるものだと思ってたわ。他の地域では食べないものなの?」と、心底驚いていたそうです。
悪気があって勧めていたわけではないとわかり、私もホッとしました。それからは、義母も「これは大丈夫そう?」と事前にメニューを相談してくれるようになり、翌年からは安心して食卓を囲めるようになりました。
「無理に周りに合わせなければ」と一人で抱え込むのではなく、できないことは正直に伝え、お互いの背景を理解し合うことが大切なのだと実感しました。夫が橋渡し役になってくれたおかげで、今では義実家での時間も自分らしく、穏やかに過ごせています。
著者:櫻井瞳/30代女性/2人の子どもを育てるママ。趣味はお菓子作り
イラスト:はたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)
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