母が亡くなりました。叔母が「口座が凍結されるから少しずつ引き出しておいたほうがいい」と言うのですが、勝手に引き出しても問題ないですか?

母が亡くなりました。叔母が「口座が凍結されるから少しずつ引き出しておいたほうがいい」と言うのですが、勝手に引き出しても問題ないですか?

2月17日(火) 23:00

人が亡くなると、「銀行預金の口座が凍結される」ということを聞いたことがある方は多いでしょう。そのため、「亡くなる前に引き出しておいたほうがいい」などと知人からのアドバイスを受けた方もいるかもしれません。 本記事では、今回の相談者のように、「母が亡くなりました。叔母が『口座が凍結されるから少しずつ引き出しておいたほうがいい』と言うのですが、勝手に引き出しても問題ないでしょうか?」というケースで、どう対応すべきかをお話しします。

銀行口座は個人ごとの財産

当たり前のことですが、まず、個人の銀行口座は本人固有の財産です。もし、本人が認知症になったり、寝たきりになったりして、自分で引き出すことができなくなったりしたときでも、本人以外が勝手に引き出すことができません。
 
どうしても、本人の銀行口座からお金が引き出せなければ、「成年後見の申立て」をして後見人を選ぶ、もしくは寝たきりでも本人の意思表示ができるなら、家族信託をしたり、代理人サービスを利用したりという方法をとらざるを得ません。
 
本人の判断能力がない場合には、成年後見の利用をするしかなくなりますので、本人にかかる生活費は親族が当分の間、立て替えたりするしかありません。
 
昔は妻が夫の口座からお金を引き出したり、代わりに手続きをしたりするということもあったかもしれませんが、今は、本人の口座から本人以外がお金を引き出そうとすると、何らかの法的根拠がなければできないというのが原則です。
 

口座が凍結されたときにどのような影響があるの?

冒頭のように、「母が亡くなる前に、少しでも現金を引き出しておいたほうがいい」という叔母のアドバイスは、口座が凍結されている間、子どもに負担がないようにという、ある意味親切なアドバイスといえるかもしれません。
 
人が亡くなると、葬式の手配から香典返しの費用、初七日などの法事の費用はもちろん、母親の医療費や介護の費用、さらに自宅の水道光熱費の引き落としなど、さまざまな費用が同時にかかります。
 
ただし、人が亡くなった瞬間に自動的に口座が凍結されるわけではありません。負担の問題は大きいですが、もし、人が亡くなったときに急に預金を引き出したことで、親族間に不信感が広がる可能性はあります。
 
そのようなデメリットも想定して、慌てて引き出さず、いったん立ち止まることも選択肢の一つです。
 
ただし、それは“何もせず、そのまま放置しておいてもいい”という意味ではありません。「死亡の連絡をしていないから大丈夫じゃない?」という方もいるかもしれませんが、死亡の連絡が金融機関に直接されなくても、口座が凍結されるという状況は当然あり得ます。
 
もし、通帳などが見られる状態で、それまで口座引き落としされていた携帯電話や水道光熱費などの引き落としがあれば、遺族に迷惑が掛からないよう、引き落としが止まらないように、引き落とし先を変更するための連絡をしましょう。
 

口座が凍結されるとどうしたらいいのか?

もし、口座がすでに凍結されたときにはどうすればいいのかもご説明します。
 
遺言書があればいいですが、すでに「母が亡くなった」ということであれば、相続人全員の話し合いにより作成する「遺産分割協議」が必要です。
 
これは、亡くなった方の財産を「誰に」「いくら(もしくは割合)」相続させるのかを相続人全員で決定し、全員で署名押印(実印)する書類です。
 
相続人全員が同意するというのは意外と時間がかかるものです。遺産分割協議書の作成に時間がかかれば、その分口座の払い戻しは遅れますので、そのときの対応として「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」という制度があります。
 
「家庭裁判所の判断で払い戻しができる制度」と「家庭裁判所の判断を経ずに払い戻しができる制度」の2つがありますが、後者のほうが使い勝手がいいでしょう。
 
各相続人は、相続預金のうち、口座ごと(定期預金の場合は明細ごと)に家庭裁判所の判断を経ずに、一定金額を金融機関から単独で払い戻しを受けることができます。同一の金融機関に預金があるときは、150万円が上限です。一定金額とは、「口座残高 × 1/3 × 法定相続分」 または 「1つの金融機関につき150万円」 の低いほうとなります。
 
人が亡くなったときには、正常な判断がすぐにできないため、年長者から言われたことをそのまま信じてしまうこともあるかもしれませんが、それがベストかどうかはケース・バイ・ケースです。
 
最初に取ってしまった行動で、後々困ることもあります。まずは、その年長者のアドバイスのメリット・デメリットを確認してから行動したほうがいいでしょう。
 

出典

一般社団法人全国銀行協会 ご存じですか? 遺産分割前の相続預金の払戻し制度
 
執筆者 : 當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

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