有名な俳優一家ともなれば、三世代にわたってNHKの大河ドラマ出演歴がある。緒形拳(祖父)、緒形直人(父)、緒形敦(孫)……。
毎週火曜よる9時から放送中の福士蒼汰主演ドラマ『東京P.D. 警視庁広報2係』(フジテレビ系、以下、『東京P.D.』)では、緒形直人と緒形敦による地上波連続ドラマ初共演が話題になっている。
正確には直接的な共演ではないのだが、父子で同じ役の過去と現在を演じ重ねることで醸す、再現映像的リアリティがある。“イケメン研究家”加賀谷健が解説する。
逆光ぎみの画面に浮かぶ横顔は……
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『東京P.D.』の主人公・今泉麟太郎(福士蒼汰)の教育係であるベテラン警官・安藤直司(緒形直人)は、元捜査一課の刑事だった。それがスキャンダラスな過去によって、今は警視庁の広報課に所属している。
その過去とは、部下を自殺させてしまったこと。警察内部の不祥事は当然揉み消される形で処理され、安藤は責任をとらされた。そして再び、本作第1話で起きた事件を隠蔽しようとする上層部との間に、安藤の暗い過去が静かに浮かぶ。
警視庁内の人事を司る人事観察課長・橋本信(赤ペン瀧川)を相手に訴えでる白熱の場面。安藤は逆に過去の失態を指摘され、暗い過去の断片がフラッシュバックする。
場所はホテルの一室だった。カーテンがほとんど閉まった状態で薄暗い。そこに駆け込んだ若き日の安藤。逆光ぎみの画面に浮かぶ、その横顔は……。
父子で重ねる再現映像的リアリティ
その横顔を見て、若き日の安藤を演じる俳優が、現在の安藤を演じる緒形直人に不思議と似ていることがわかる。それもそのはず。緒形直人にとっては実の息子である緒形敦が演じているのだ。
本作が一応、緒形直人と緒形敦の地上波連ドラ初共演ということになるのだが、同じ役の過去と現在を演じているため撮影現場で直接共演したわけではない。
明確な共演というにはニアミス。だが、父が演じるキャラクターの重要な過去を息子が担うことで役柄の解像度は俄然、上がっている。不意にフラッシュバックする回想場面というより、そこには父子で重ねる再現映像的リアリティがある。
第2話にもフラッシュバック場面があり、逆光かつローアングルの画面内に緒形敦が陰影豊かに浮かぶ。暗い過去に重きがある分、緒形直人と緒形敦、二人で一体になりながら、過去と現在が裏合わせでこの役は完成するかのようだ。
緒形家三代で更新する大河ドラマ出演
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緒形直人と緒形敦のニアミス共演ということでいえば、2019年配信のドラマ『MAGI -天正遣欧少年使節-』(Prime Video)が記念すべき初共演作ということになるだろう。
日本史上、初の公式ヨーロッパ訪問団である少年使節の一人、千々石ミゲルを緒形敦が演じ、緒形直人は豊臣秀吉を演じた。同作でも直接的な共演場面があったわけではない。
ただ興味深いことに、この作品でも緒形敦は手元の明かりで暗がりを照らすショット内で際立っていた。どうやら緒形敦の演技は、常に暗がりから徐々に輪郭をはっきりさせる傾向にある。さらに父・緒形直人が豊臣秀吉を演じたことから、こんな作品間の連動もある。
今年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合)は、豊臣秀吉とその兄弟たちの共闘を描く。その中で緒形敦が織田信長の甥・織田信澄役を演じることが発表されている。
織田信長は豊臣秀吉を取り立てた人物。1992年の大河ドラマ『信長 KING OF ZIPANGU』で織田信長役を演じたのが、25歳の緒形直人だった。彼の父・緒形拳は『太閤記』(1965年)で豊臣秀吉を演じた(1982年の『峠の群像』でも主演)。緒形家三代で更新する大河ドラマ出演史がダイナミックに流動している。
<文/加賀谷健>
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【加賀谷健】
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。X:@1895cu
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