2月17日(火) 4:40
かつて年収110万円は、税金も社会保険料も抑えつつ働ける安心ラインといわれていました。所得税や住民税の負担が出にくく、配偶者の扶養にも入りやすい収入幅として、家計を守りたいパート勤務の人に支持されてきました。
しかし、2025~2026年の制度改正により、これまでのいわゆる「106万円の壁」は単純な収入基準ではなくなりつつあります。改正後は労働契約の条件や年間見込み収入の判定が重視され、106万円ラインそのものが一律適用されないケースが増えています。
その結果、年収110万円は依然として税金や保険のバランスをとりやすい目安ですが、106万円の壁だけにとらわれず、契約内容や控除の仕組みも踏まえて総合的に考える必要があります。
年収130万円を超えると社会保険の扶養(第3号被保険者)から外れるため、自分で健康保険料や年金保険料を負担しなければならなくなります。その結果、収入が増えても保険料負担が増えて手取りがあまり変わらない、いわゆる働き損と感じる原因になります。
2026年4月からの改定では、従来の「今後1年間の収入見込み」ではなく、労働契約段階で見込まれる収入を基準に判断されます。つまり、一定の条件や契約に基づいて収入が見込まれる場合は、年間収入が一時的に130万円を超えたとしても、扶養認定を維持できる可能性が高まります。
改定により、一時的または季節的な収入増加で扶養を外れてしまうリスクが抑えられ、従来ほど働き損を感じにくくなるでしょう。とは言っても、労働契約段階で年収130万円を超える場合は保険料負担がかかるため、注意が必要です。
2025~2026年にかけて、年収と税・保険の壁は、複数意識されるようになっています。特に税務・社会保険・控除の影響を総合的に考えると、年収160万円付近まで働いたほうがトータルの手取りが多くなるというケースが増えているのが最新の状況です。
まず押さえておきたいのは、扶養から外れて健康保険料・年金保険料を自分で支払う場合の負担です。年収が130万円を超えると、配偶者の扶養(第3号被保険者)から外れてしまい、自分で保険料を負担する必要が出てきます。これが働き損と言われる大きな要因でした。
しかし、年収が160万円以上になると、次のようなメリットも見えてきます。
・所得税、住民税の負担は発生するが、累進課税なので一気に跳ね上がるわけではない
・社会保険料負担は増えるが、手取りの伸びが保険料負担分を上回るケースが多い
・扶養控除がなくなった分をカバーできるだけの収入増が期待できる
実際のモデルケースでは、年収160万円で働いた場合は手取りが約130万円前後になり、年収100万~130万円のラインと比べても25~30万円以上の差が出ます。つまり、社会保険料を負担したとしても、160万円まで稼ぐと手残りが一番多くなる可能性が高いです。
税金・保険料の支出だけを見れば確かに負担は増えますが、収入そのものが伸びると総合的な手取り額が増えます。
特に2025年以降は、税制面でも配偶者控除・配偶者特別控除の見直しが進み、「一律に130万円で抑える」という考え方が必ずしも最適とは限らなくなりました。年収160万円を目指し、労働時間に見合った手取りを確保するのも現実的となっています。
ただし、160万円を狙う際には以下の点を意識しましょう。
・社会保険料や税金が差し引かれるため、手取り額は総支給額よりだいぶ下がる
・所得要件の基準が扶養とは別基準であることを理解する(税と保険で対象が異なる)
・労働時間や勤務先の制度(社会保険加入要件)に注意する
これらを踏まえたうえで、160万円付近の収入を目指すとメリットを得やすいというのが、今後の新しい考え方と言えるでしょう。
年収の壁で迷ったときは、「どこまで働けるか」と「手取りでいくら残るか」を基準に考えることが大切です。110万円、130万円は注意ゾーン、扶養を外れるなら160万円以上を目指すのが現実的といえるでしょう。
周囲の話に振り回されず、自分の生活スタイルや将来設計に合った年収ラインを選ぶと、後悔しない働き方につながります。
厚生労働省 「年収の壁」への対応
執筆者 : 仲千佳
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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