2月17日(火) 4:30
まず、男性が信じていた「20万円以下なら申告不要」というルールについて確認しましょう。これは決して間違いではありませんが、あくまで「国(税務署)」の話です。
国税庁は、高齢者の事務負担を減らすため、以下の2つの条件を満たす場合、所得税の確定申告をしなくてよいという特例を設けています。
・公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であること
・公的年金等以外の所得金額(給与所得や雑所得など)が20万円以下であること
今回の男性の場合、バイト代(給与所得)は年間15万円ですので、2番目の条件「20万円以下」をクリアしています。年金収入も400万円以下であれば、確かに「税務署への確定申告」は不要です。
問題はここからです。所得税(国税)の申告が不要でも、住民税(地方税)の申告は免除されません。
住民税には、所得税のような「20万円以下なら申告不要」というルールが存在しません。原則として、所得が1円でもあれば、市区町村に申告する必要があります。
所得税の確定申告をした場合、そのデータは税務署から市区町村に送られるため、自動的に住民税の申告も完了します。しかし、確定申告をしなかった場合、市区町村は男性のバイト代(15万円)の存在を知りません。
本来であれば、給与を支払った勤務先から役所へ「給与支払報告書」が送られているはずですが、役所側で確認が取れない場合や、より正確な情報を確認するために、「収入があるようですが、申告されていません」といった通知(お尋ね)を送ることがあるのです。
「たかが15万円だし、住民税なんてかからない(非課税)だろうから、放置してもいいのでは?」 そう考えるのは危険です。たとえ住民税の支払額がゼロ円だったとしても、「申告しないこと」自体が以下のデメリットを引き起こします。
国民健康保険料や介護保険料は、前年の所得をもとに計算されます。また、所得が一定以下の場合、保険料の「均等割」が7割・5割・2割軽減される制度があります。
申告をしていないと、役所はあなたの正しい所得を把握できません。その結果、本来受けられるはずの「保険料の軽減措置」が適用されず、高い保険料を請求される可能性があります。
さまざまな行政サービス(高額療養費制度の負担区分判定や、給付金の申請など)において、「住民税非課税世帯」であることが条件になるケースがあります。 しかし、住民税の申告をしていないと、役所は「所得がない(非課税)」のか「未申告なだけ」なのか判断できず、非課税証明書を発行できない場合があります。
住宅ローンの借り換えや、公営住宅の入居手続きなどで「所得証明書」が必要になった際、未申告の状態では発行されず、手続きがストップしてしまいます。
役所から通知が届いた場合、あるいは通知が来ていなくても副収入がある場合は、速やかに住んでいる市区町村の役所で「住民税の申告」を行いましょう。
手続きは簡単です。
・役所から届いた申告書
・年金の源泉徴収票
・アルバイトの源泉徴収票(年15万円分)
・本人確認書類(マイナンバーカードなど)
これらを持って窓口に行けば、職員が対応してくれます。バイト代が年15万円程度で、年金収入も少なければ、申告をしても住民税は「非課税」のままである可能性が高いでしょう。「税金を取られる」と恐れずに、正しい記録を残すために申告を済ませることが大切です。
「20万円以下なら申告不要」は、あくまで所得税(税務署)だけのルールです。 住民税(役所)にはそのルールは適用されず、少額でも申告が必要です。申告を忘れると、税金だけでなく、保険料や医療費の負担区分で損をする可能性があります。
「そういえば申告していないな」と心当たりがある人は、住んでいる自治体のホームページを確認するか、窓口へ相談に行ってみましょう。
国税庁 公的年金等を受給されている方へ
総務省 個人住民税
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士
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