2月16日(月) 4:40
日本の医療費は、医療機関が自由に金額を決めているものではありません。診察や検査、薬の処方といった医療行為ごとに、国が全国共通で定める「診療報酬点数」があり、その合計をもとに医療費が計算されます。
診療報酬点数は1点10円に換算され、そこに患者の自己負担割合を掛けた金額が窓口負担になります。自己負担割合は年齢によって定められており、70歳未満は原則3割、70~74歳は2割または3割、75歳以上は1割または2割です。
年明けだからといって、この割合自体が突然変わるわけではありません。例えば、診療報酬が合計500点であれば医療費の総額は5000円となり、70歳未満の人であれば3割負担の1500円を支払うことになります。
初診料や再診料、検査料などはそれぞれ点数化されており、どの項目が算定されるかによって支払額が変わります。治療の大枠が同じでも、初診か再診か、検査や処方内容が少し変わるだけで、自己負担額に違いが生じるのです。
診療報酬制度では、医療機関の受診は「初診」または「再診」として区分されています。
当該医療機関に初めて受診した場合は「初診」となることはイメージしやすいかもしれませんが、二度目以降であっても、新たな症状等・疾患について受診する場合は「初診」扱いとなります。ほかにも初診扱いとなるケースは複数あり、注意が必要です。
初診料は再診料より高く設定されています。その差は数百円から、検査や処方内容によっては1000円以上になることもあります。年をまたいだから初診になる、というルールはありませんが、受診間隔や診療内容によって扱いが変わる点は知っておく必要があります。
もう1つ押さえておきたいのが、診療報酬は固定されたものではないという点です。診療報酬は原則として2年に1度見直され、医療を取り巻く環境の変化などを踏まえて改定が行われます。
ただし、すべての診療内容が一律に変わるわけではなく、項目ごとに見直しの有無や影響の大きさは異なります。改定の前後では、同じような診療内容でも点数が変わる場合があります。
初診・再診の扱いに加えて、自己負担の体感に大きく影響するのが高額療養費制度です。この制度は、1ヶ月(1日から末日まで)に支払った医療費が自己負担限度額を超えた場合、その超過分が払い戻される仕組みです。月単位で計算されるため、月が変わると限度額の計算は新たに行われます。
そのため、年末に限度額に達していた場合、年明けの受診では再び自己負担が発生し、「急に高くなった」と感じやすくなります。ただし、この点は特別なルールではなく、月が変わるたびに同じ仕組みが適用されます。
年明けの受診で医療費が高く感じられる背景には、同じ治療内容であっても、初診・再診の扱いや検査・処方の違い、診療報酬改定、高額療養費制度の計算方法など、複数の要因が重なって自己負担額が変わることは珍しくないことが関係している可能性があります。
医療費の金額は、医療機関が独自に決めているものではなく、国が定めた制度に基づいて算定されています。窓口負担が気になった場合は、初診・再診の扱いや算定された項目を確認することで、理由が明確になることもあります。
医療費の仕組みを知っておくことで、不要な不安を減らし、納得して医療を受ける判断につながります。
厚生労働省 我が国の医療保険について
執筆者 : 今みなみ
FP2級、秘書検定2級、剣道3段、ビジネス会計検定3級、ビジネス実務法務検定3級
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