「この仕事、本当に自分に向いているのだろうか」
そう感じながらも、「今は踏ん張る時期だ」「逃げてはいけない」と自分に言い聞かせ、気づけば長く同じ場所に留まってませんか。
そんなときに使われがちなのが、「置かれた場所で咲きなさい」という言葉です。前向きに聞こえる一方で、この言葉に縛られ、本当は合っていない環境で無理を重ねている人も少なくありません。大手企業に勤めながら資産形成を行い、43歳でFIREを選んだ村野博基氏は、「多くの人が、自身に貼ったレッテルに固執しすぎて、気づかないうちに“縛りプレイ”に陥っている」と指摘します。近著『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』(扶桑社刊)を上梓した村野氏が語る、縛りプレイから離れて、もっと身軽になるための考え方とは。
縛りプレイに身を捧げていないか
「置かれた場所で咲きなさい」という言葉は「Bloom where God has planted you(神が植えたところで咲きなさい)」を訳したものだそうです。「今置かれた場所こそが、今のあなたの居場所です」という意味合いだそうですが、この言葉に囚われてなのか、つい”縛りプレイ”を自らに課している方が多いように感じる今日この頃です。
例えば、会社員として頑張ることもそう。辞めたり転職したりする自由があなたにはあるはず。今ココにいるのが「ベスト」と自身で考えたのであれば、それでも良いでしょう。しかし、いくらでも自ら居場所を変えられるのにも関わらず、頑張って頑張って頑張ってその場所に留まり、「成果が出ずにボロボロになっている方も少なくないのでは?」と思います。
営業職なのに口下手な知人は、「成果を出すために」と頑張ってコミュニケーション術や交渉術を学ぼうとしていました。苦手なことを克服しようと努力するのは素晴らしいことですし、安易に投げ出さないことは成長に繋がるかもしれません。
ただ、自分自身で「やりたい」と思うならば、その試みは続くのでいつか成果も出るでしょうが、「やりたくない」のであれば話は別です。「自分に与えられた役割だから全うしなければ……」と無理に頑張る必要はないと私は確信しています。「やりたくない」気持ちを押し殺して無理しても、続かないですし壊れるだけです。なかには病んでもなお頑張る人もいて、そんな人を世間は称賛する雰囲気もあります。
個人的には痛そうにしている人、苦しそうにしている人を見て喜んだり面白がったりするのは悪趣味としか思えません。同様に病んでもなお頑張る人を称賛することにも違和感しか覚えないのです。他人が苦しんでいる状態を称賛するなんて酷くないでしょうか?もちろん、本人が苦しんでいることを楽しんでいたり、喜んでいるなら話は別ですが。
発想の転換こそが必要では?
では口下手な知人はどうしたらよいのでしょう?それは「営業職はコミュニケーションや交渉が重要」という発想を、転換することから始めたらどうかと私は考えています。そもそも営業とは「モノやサービスを売る」のが仕事ですから、単純に”売れさえ”すればいいのです。
例えば「千三つ」という言葉、元の意味は「千回のうち3回ぐらいしか本当のことを言わない嘘つき」という意味です。転じて、「1000件の内、商談がまとまるのが3つくらいしかない」不動産事業者を指したり、商品開発で1000件中3件しか当たらない確実性が低いビジネス用語として使われたりします。あまり良い意味の言葉ではありません。
しかしこの「千三つ」は、逆に言えば1000件アタックすれば3件くらいは上手くいくということです。つまり、苦手なコミュニケーション能力や交渉術を鍛えるよりも、「1000件により素早くアタックする仕組みを構築」したり、「1000件アタックしても心が折れないようにするにはどうしたらいいか」などを考えて実行したほうが、よほど成果は出るかもしれません。「売る」という点に立ち返って考えれば、他にも方法があるはずです。その方法を考えて試しているほうが、無理して苦手なコミュニケーション能力や交渉術を鍛えるより、よほど楽しいのではないでしょうか。
稼げるなら分野はこだわらない
そしてこれは別にモノを売るのに限った話ではありません。投資も同様に「置かれた場所で咲く」ことにこだわる必要はないのです。私の場合には今現在、不動産がポートフォリオの大部分を占めているので、どうしても不動産投資に関してよくフォーカスが当たります。書籍を出版する際にも「不動産投資の分野に強みがある人」として、それに特化したタイトルが付けられました。
しかし、私自身は内心「それは違うんだけどなぁ……」と思っています。なぜなら、私は「不動産投資の縛りプレイ」をしているつもりは全くありません。なので、「不動産投資分野の人」ではないのです。最初は債券、次に株式投資、FXといろいろやってみて、あくまでも私が知っていて実践できる手法の中で、最も効率良く資産が増やせるので、不動産投資をしているに過ぎません。今後ほかにもっとリターンが良い投資方法を見つけることができれば、あっさりとそちらに軸を移すでしょう。
その身軽さは、ある意味で節操のなさにも繋がるので非難されがちですが……。この節操のなさ“こそ”が投資家の強みでもあります。素人である自分は、専門家やスペシャリストと称される「スゴイ人たち」には勝てそうもないですし、そもそも競えるとは思っていないので、彼らがその強みである「専門の分野」で縛りプレイをしている間に、別の「誰でも負けない市場」に節操なく移行し続けることを心がけています。
ですから私は「不動産投資家」というレッテルは貼られたくないと常々アピールはしているのですが、残念ながらなかなか受け入れてもらえません。せめてものささやかな抵抗の証として、自身の名刺の肩書は不動産投資家ではなく「投資家」としています。誰も気にしてくれませんが、本人としては名刺をお渡しする都度「言ってやったぞ」という気分になり満足しています。
実は何かに囚われていて、自分自身に縛りプレイを課していないか。ゲームや投資ならまだしも、実生活で縛りプレイをしているのは本当にもったいないと思います。是非一度、縛りから解放されて思いっきり自分なりの幸せを追い求めてみてはいかがでしょう。きっと日々が楽しくなること請け合いです。
<構成/上野智(まてい社)>
【村野博基】
1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち19区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』(扶桑社)、『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵"不動産投資法』(アーク出版)
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