ある程度の売上が確約されている人気シリーズの続編や名作のリメイク版を蹴散らして、ほぼ知名度ゼロから、その年の顔となるゲームが毎年のように現れます。今回は、2019年から2025年までの直近7年間の、口コミでのヒット作やブーム化したインディーゲームを振り返っていきましょう。
時代に花開いた一発屋か、それともゲーム界を変えた革命児か。文字数的に限られたラインナップとはなりますが、みなさんはどのタイトルが印象に残っていますか?
●2019年語り継がれるSF青春群像劇
2019年、新規タイトルでブームとなったのがゲームとフィットネスを融合させた『リングフィット アドベンチャー』(Switch/任天堂)。全世界1538万本のセールスとなりました。対照的に口コミでゆっくりと広まったのが、SFアドベンチャー&シミュレーション『十三機兵防衛圏』(PS4、Switch/アトラス)。精緻な2Dグラフィックに定評があるヴァニラウェア開発で、滅びに向かう世界観、考察しがいある青春SF群像劇、斬新なシステムなどが称賛され、今では名作として語り継がれています。
初速の勢いがすごかったのは“ハリポタGO”こと、位置情報ゲーム『ハリー・ポッター:魔法同盟』(iOS、Android/Niantic)。配信7日間で約650万ダウンロードを記録しましたが、なんと2022年にサービス終了。まさかの短命で終わっています。
ガチョウになって平和な村でいたずらしまくるオーストラリア発のインディーゲーム『Untitled Goose Game ~いたずらガチョウがやって来た!?』(PC、Switch、PS4、X-box One/Panic)の配信もこの年でした。
●2020年農業へのこだわりが支持された稲作ゲーム
前年末からのコロナ禍で巣ごもり需要が高まり、ゲーム界に注目が集まったのが2020年。この年3月発売の『あつまれ どうぶつの森』(Switch/任天堂)は全世界販売本数4932万本と驚異的なヒットとなりました。そうしたなか、11月に発売されインディーゲームとして旋風を巻き起こしたのが、ゲーム制作サークル・えーでるわいすが開発した農業アクションRPG『天穂のサクナヒメ』(Switch、PS4、PC/マーベラス)。農業の再現度が高く、「農水省の公式サイトが攻略の参考になる!」とTwitterを賑わせました。2024年にはアニメ化もされています。
また、かわいいパーティーロイヤルゲーム『Fall Guys』(PS4、PS5、PC、Xbox Series X|S、Xbox One、Switch、iOS、Android/Epic Games)や、オープンワールドアクションRPG『原神』(iOS、Android、PS4、PS5、Xbox Series X|S、Xbox One、PC/COGNOSPHERE)が配信されたのも2020年。特に『原神』は、そのリッチな作り込みから中国ゲームのポテンシャルの高さを見せつけました。
●2021年リアルな競馬ファンを増やした覇権タイトル
2021年は、コンシューマでは『モンスターハンターライズ』(Switch、PC、Xbox Series X|S、Xbox One、PS4、PS5/カプコン)が大ヒット。4年ぶりの新作となった『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』(Switch/コナミデジタルエンタテインメント)は前年末から年初以降も売れ続け、予想を超えるブームとなりました。
2020年から2021年にかけては、人狼ゲーム系の『Among Us』(iOS、Android、PC、Switch、PS4、PS5、Xbox Series X|S、Xbox One/InnerSloth)の実況人気が高まった時期。また、2月には競走馬擬人化ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(iOS、Android、PC/Cygames)が長年のリリース延期を経てついに配信スタート。約半年後には1000万ダウンロードを突破しました。昨年は『ウマ娘』のグローバル版が海外でもヒットし「The Game Awards 2025」でベストモバイルゲームを受賞。アメリカやインドネシア、タイの競馬場にコスプレしたファンが出現!? とのニュースもありました。
●2022年猫派が沸いたサイバーパンク猫ゲー
「『ポケットモンスター』シリーズの新たな挑戦」と銘打たれたアクションRPG『ポケモンレジェンズ アルセウス』(Switch/ポケモン)が年初からヒットした2022年。アクションRPG『エルデンリング』(PS4、PS5、Xbox Series X|S、Xbox One、PC、Switch/フロム・ソフトウェア)も、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の原作者ジョージ・R・R・マーティンさんとのコラボによる荒廃した世界観が支持されました。
インディーゲームとしては、猫がサイバーパンク街の裏路地を冒険する『STRAY』(PC、PS5、PS4、Xbox Series X/S、Xbox One、Switch/アンナプルナ・インタラクティブ)が、リアルな猫のかわいさでSNSで大バズり。また、史上初のトロンボーンリズムゲーム『Trombone Champ』(PC、Switch/Holy Wow Studios)や、カジュアルでゴシックホラーなローグライクアクション『Vampire Survivors』(PC、Xbox Series X|S、iOS、Android、Switch、PS5、PS4/poncle)もこの年です。
●2023年シンプルなルールで一気に国民的パズルに
なぜか薩摩藩士が魔法学園に入学するという「薩摩ホグワーツ」という遊びがミーム化した『ホグワーツ・レガシー』(PS4、PS5、Xbox Series X|S、Xbox One、PC、Switch、Switch 2)が、販売本数4000万本超とヒットした2023年。もちろん、この年の顔といえば『スイカゲーム』(Switch、iOS、Android/Aladdin X)でしょう。プロジェクタ付属のミニゲームが発祥ですが、ゲーム実況が火付け役となり、2023年夏ごろから一気にブレイク。10月には移植されたSwitch版が100万本を達成しました。
大手メーカーのタイトルですが、『探偵・癸生川凌介事件譚』のクリエイター・石山貴也さんによるホラーミステリー『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』(Switch、PC、iOS、Android/スクウェア・エニックス)も二転三転するシナリオが口コミで広がり、「日本ゲーム大賞2023」の優秀賞を受賞しています。
一度ミスるとどこまでも落ちていくスリルがたまらない『ONLY UP!』(PC)もゲーム実況者がこぞって挑戦していました。イライラしたり、恐怖したり……、実況者の感情が露わになるタイトルが、ゲーム実況時代のバズりのカギのようです。
●2024年間違い探し×ホラーの好相性で実況界を席巻
2024年はインディースタジオ・ポケットペア開発の『パルワールド』(PC、PS5、Xbox Series X|S、Xbox One/ポケットペア)が、配信1ヶ月で総プレイヤー数2500万人超えと年初から話題をさらいました。ただ、任天堂および株式会社ポケモンによる特許権侵害訴訟の決着はついていません。
前年11月にSteamで配信が始まり、ゲーム実況で大ブレイクしたのが、個人ゲーム開発者のKOTAKE CREATEさんによる『8番出口』(PC、Switch、PS4、PS5、Xbox Series X|S、iOS、Android/PLAYISM)。怖いけど注意深く観察しなくてはいけない、相反するゲーム性が緊迫感を高めています。昨年には二宮和也さん主演の映画にもなり、興行収入は国内で51.7億円と並み居る強豪相手に7位を記録しました。拡散力の強いホラージャンルは、インディーゲームの花形と言えるでしょう。
●2025年いつの時代も都市伝説は人を惹きつける
2025年は、ゲーム開発チーム・墓場文庫が開発したミステリーアドベンチャー『都市伝説解体センター』(Switch、PS5、PC/集英社ゲームズ)が3ヶ月で30万本超えとスマッシュヒット。生々しいSNS×都市伝説、目を引くピクセルアート、ラストの衝撃展開が口コミで広まりました。
また、フランスの少人数スタジオSandfall Interactive制作の『Clair Obscur: Expedition 33(エクスペディション33)』(PC、PS5、Xbox Series X|S/Kepler Interactive)は、美しいグラフィックとJRPGへのリスペクトを感じる凝ったシステムが評価され、「The Game Awards 2025」のゲーム・オブ・ザ・イヤーに輝いています。日本人には馴染みにくいタイトルゆえか、「なんとか33」の愛称で親しまれています。
以上、2019年から2025年までの7年間のスマッシュヒット作をざっくり振り返ってきました。果たして2026年はどんなタイトルが飛び出してくるのでしょうか?
<文/卯月鮎>
【卯月鮎】
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も
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