2月13日(金) 4:30
まず前提として、親が子どもと同居する場合に「いくら渡すのが正解」という明確な基準はありません。同居の形は、住宅の広さや光熱費の負担方法、食事を共にする頻度などによって大きく異なります。そのため、生活費の考え方も家庭ごとに変わります。
ただし、話し合いの材料として「一人暮らしの場合、どれくらいの生活費がかかっているのか」を知っておくことは、金額を決めるうえでひとつの目安になります。
総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の1ヶ月あたりの家計収支は、次のようになっています。
実収入は13万4116円で、そのうち社会保障給付が12万1629円を占めています。一方、消費支出は14万9286円、非消費支出は1万2647円となっており、月2万7817円の赤字が生じている計算です。
このデータからは、年金を中心とした収入だけでは、単身高齢者の生活費を賄いきれないケースも多いことがうかがえます。
上記の家計調査の数字をそのまま同居世帯に当てはめることはできませんが、「一人で暮らした場合に必要とされる生活費の水準」を把握する参考にはなります。
例えば、同居によって住居費のような固定費は世帯全体で分け合えるため、1人あたりでは効率化されやすいと考えられます。一方で、食費や光熱費などは日々の生活に直結する支出であり、同居することで一定程度増える点には留意が必要です。
こうした点を踏まえると、生活費として渡す金額は、「一人暮らしを続けた場合に必要だった支出の一部を負担する」という考え方がひとつの目安になります。
年金収入が月10万円程度の場合、その全額を生活費として渡すのは現実的ではありません。医療費や被服費、交際費など、同居していても個人として必要な支出は残るためです。
前述の家計調査における高齢単身無職世帯では、消費支出が月14万9000円程度となっていますが、同居によってこの水準までの負担は求められないケースが多いでしょう。
実際には、食費や光熱費の一部として、月3万円から5万円程度を目安にする家庭もあるようです。ただし、これはあくまで一般的な例であり、家族構成や地域差などによって適切な金額は変わります。
同居時の生活費で重要なのは、金額そのものよりも、考え方を共有することです。「どの費用を親が負担し、どこからは家計全体で賄うのか」「医療費や突発的な支出が出た場合はどうするのか」といった点を、事前に話し合っておくことで、後々のトラブルを防ぎやすくなります。
また、金銭的な負担だけでなく、家事の分担や生活リズムへの配慮といった点も含めて考えることが、同居生活を続けるうえでは欠かせません。
息子夫婦との同居にあたり、生活費としていくら渡すのが妥当かは、一律に決められるものではありません。総務省統計局の家計調査を見ると、一人暮らしの高齢者でも月15万円前後の支出が発生しており、年金月10万円では赤字になるケースも多いことが分かります。
こうしたデータを参考にしつつ、同居によって軽減される費用と個人として必要な支出の両方を踏まえ、無理のない金額を話し合いで決めていくことが現実的といえるでしょう。家庭の状況によっては判断に迷う場面もあるため、必要に応じてファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談しながら進めることもひとつの方法と考えられます。
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支-2024年- (18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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