
『「日本文化論」はどう創られてきたか 戦時下のモンタージュ』(集英社)著者:大塚 英志
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ひとつの言葉が一世を風靡(ふうび)して、さまざまな事象がその言葉に結びつけて語られるようになる。1930年代から戦時中にかけて流行したのは「モンタージュ」だった。
ことの始まりはソ連の映画監督、エイゼンシュテイン。日本文化はモンタージュだと彼が言うと、それに飛びつく人びとがいた。モンタージュというのは映画の用語で、異なる視点のカットとカットをつなぐと新たな意味が生まれるというもの。
エイゼンシュテインはべつに「だから日本文化はスゴイ!」と言ったわけじゃない。日本文化だけがモンタージュだと言ったわけでもない。だけど世界的映画監督からお墨付きを与えられた気分になったからか、以降、いろんなところでモンタージュが使われるようになる。日本文化を海外に宣伝しようというとき、あるいは国民の戦意を高揚させようというとき。なるほど、ひと昔前にも「クールジャパン」なんていささか恥ずかしい官製ブームがあったけれども、ルーツはここにあったのか。
新書としては破格の厚さの全474ページ。同著者による
『大東亜共栄圏のクールジャパン』
と併せて読みたい。
【書き手】
永江 朗
フリーライター。1958(昭和33)年、北海道生れ。法政大学文学部哲学科卒業。西武百貨店系洋書店勤務の後、『宝島』『別冊宝島』の編集に携わる。1993(平成5)年頃よりライター業に専念。「哲学からアダルトビデオまで」を標榜し、コラム、書評、インタビューなど幅広い分野で活躍中。著書に『そうだ、京都に住もう。』『「本が売れない」というけれど』『茶室がほしい。』『いい家は「細部」で決まる』(共著)などがある。
【初出メディア】
毎日新聞 2026年2月7日
【書誌情報】
「日本文化論」はどう創られてきたか 戦時下のモンタージュ
著者:大塚 英志
出版社:集英社
装丁:新書(480ページ)
発売日:2025-09-17
ISBN-10:4087213781
ISBN-13:978-4087213782
