アニメ放送20周年記念「銀魂」は「新劇場版」で復活できるか?【コラム/細野真宏の試写室日記】

「新劇場版銀魂吉原大炎上」

アニメ放送20周年記念「銀魂」は「新劇場版」で復活できるか?【コラム/細野真宏の試写室日記】

2月13日(金) 7:30

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映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。

また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。

更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)

今週末2月13日(金)から「新劇場版銀魂吉原大炎上」が公開されます。

と言っても、「あれ、アニメ版の銀魂は2021年に『銀魂 THE FINAL』を公開していなかったっけ?」と思う人もいるでしょう。

実は私もその1人でした。原作マンガが完結し、同じタイミングで「銀魂関連の映画化も終わってしまうのか」と「銀魂THE FINAL」の際には思っていました。

ただ、そもそも、アニメ版の映画は「銀魂THE FINAL」が第3弾でしたが、その前の第2弾のタイトルは「劇場版 銀魂完結篇万事屋よ永遠なれ」(2013年)と、ここでも“完結篇”となっているので、もはや「終わる終わる◯◯」のような芸風なのでしょう。

見る側からすると、どのような建て付けであっても「作品が面白ければOK」なので、あくまで、見た結果から論評&考察します。

今回の作品は、原作にある「吉原炎上篇」をベースにアニメ化しているのですが、これまでと違うのは、テレビ版で既にアニメ化しているエピソードを、“完全新規”で劇場アニメ化している点です。

具体的には、アニメ版の映画第1弾「劇場版 銀魂新訳紅桜篇」(2010年)の時には、「紅桜篇」に“新訳”を付けることで、「テレビアニメ版をベースにした再編集版」となっていました。

次に「週刊少年ジャンプ創刊45周年記念作品」と位置付けられた第2弾「劇場版 銀魂完結篇万事屋よ永遠なれ」は完全オリジナル新作でした。

そして、第3弾の「銀魂THE FINAL」では原作マンガのラストをアニメ化しています。

今回「新劇場版」と打ち出すのは、新たな決意のようなものだと理解しています。

というのも、「銀魂」という作品の大きな流れは第3弾の時点で本当にファイナルとなったので、ここからは新たな局面に入るわけです。

しかも、アニメーションの世界では技術革新のスピードが凄まじく速くなってきているので、もはや“新訳”のような形だと納得してもらいにくくなってきているため手間をかけてでも新規に作り直すのが望ましいのでしょう。

実際に今回は全シーンが新規に作られていて、物語にも新たなエピソードを加えるなどして深みを与えています。

以上が本作の大きな建て付けとなっていますが、この「新劇場版」がどこまで成功するのかは、結局のところ「制作費」次第なのかもしれません。

というのも、このところのアニメーション映画の技術革新が、本当にリアルに体感できるほど進んでいるからです。

直近では「劇場版『鬼滅の刃』無限城編第一章猗窩座再来」「機動戦士ガンダム閃光のハサウェイキルケーの魔女」あたりが象徴的ですが、段違いのクオリティーの作品が登場し続けているのです。

見る側は、自然と目が肥えていくので、作画のクオリティーを上げることが求められていきます。

その意味で言うと、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」のブームの最中に「銀魂THE FINAL」が公開されていたため、どうしても比較対象が「鬼滅の刃」となっていて、「せっかくのファイナルなら、もう少し作画のクオリティーが上がらないのかなぁ」と、個人的に課題感を抱いた作品でした。

本作は、「新劇場版」と打ち出しているだけあって、確かに「銀魂THE FINAL」と比べると作画のクオリティーは高くなっていると思います。

ただ、今回の舞台が「遊郭」なので、どうしても観客が自然に「『鬼滅の刃』遊郭編」と比べてしまうことになるのは仕方ないのでしょう。

このような環境の変化が本作の難しい立ち位置を形成しているのですが、次のように考えると意外とスッキリするのかもしれません。

まず、「鬼滅の刃」シリーズは現在のアニメーションの到達点における最高水準であることは疑う余地はなく、個人的には今回の本場のアカデミー賞において「劇場版『鬼滅の刃』無限城編第一章猗窩座再来」が長編アニメーション部門でノミネートされていないことには納得がいっていません(やはりシリーズ物のハードルが高いのでしょう)。

そのため、この世界最高峰のレベルの作品と比べるのはハードルが高すぎるので、あくまで「銀魂」対比で見て判断する必要があります。

第1弾「劇場版 銀魂新訳紅桜篇」における原画で注目すべき点は、「鬼滅の刃」シリーズの外崎春雄監督がトップクレジットされているほど主力となって活躍していた部分です。

つまり、「鬼滅の刃」級に“のびしろ”のある作画を見つけるような感覚で見ると、意外と本作には新たな発見があります。

例えば、本作の中盤における神楽の戦闘シーンは、将来の「鬼滅の刃」につながりそうなセンスを感じる作画となっています。

これは、終盤の戦闘シーンについても同様です。

個人的には、物語&作画の両面から「銀魂THE FINAL」よりも推せる作品でした。

さて、本作の興行収入はどのくらいまでいけるのでしょうか?

本作の最大のハードルは前作「銀魂THE FINAL」超えができるのかどうかが最大の焦点だと思われます。

それは、第1~3弾と、興行収入は、10.7億円、17億円、19億円と着実に伸びていっているのですが、前作は話題性がピークとなっていた点に注意が必要です。

というのも、前作は、原作の終わりと共に「ファイナル」の引きと、週末動員ランキング1位を記録し続けていた「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」に宣伝段階から思いっきり乗っかる異例な手法が取られました。

おそらく前作以上の効果的な方法は難しく、あの“宣伝フルスイング展開”であっても興行収入20億円を突破できなかったことを踏まえると、アニメ「銀魂」のコア層の規模感が見えてきます。

そのため、本作は20億円にどこまで近づけるのかが大きな目標となります。

2006年からアニメ「銀魂」が放送されて今年は「20周年」となりますが、そんなアニバーサリーイヤーに興行収入も20億円を記録できるのか。

初速は割と高めに出ると思いますが、どこまで口コミが広がり、新たな「銀魂」シリーズの誕生となるのか注目したいと思います。

【作品情報】
新劇場版銀魂吉原大炎上

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(C)空知英秋/劇場版銀魂製作委員会
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