作家、画家、音楽家、建築家など、多岐にわたる活動で知られる坂口恭平の生活と創作を追うドキュメンタリー映画「TRUE KYOHEI SAKAGUCHI SHOW 坂口恭平生活」が3月28日からポレポレ東中野で公開される。ポスタービジュアル、場面写真、予告編(https://www.youtube.com/watch?v=W1Jsg-3gyVQ)が披露された。
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【フォトギャラリー】「TRUE KYOHEI SAKAGUCHI SHOW 坂口恭平生活」場面写真
1978年、熊本県生まれの坂口は、路上生活者の家を撮影した写真集「0円ハウス」(2008年)や、政府や国家のあり方を問い直した「独立国家のつくりかた」(2012年)など、数多くの著書で知られる。東日本大震災での政府の対応に不信感を覚えた坂口は故郷・熊本に戻り、“新政府”樹立を宣言。新政府初代内閣総理大臣を名乗り、拠点“ゼロセンター”にて避難者の受け入れなどを実施した。2012年より自身の電話番号(090-8106-4666)を公開し、希死念慮を持つ人々からの電話相談“いのっちの電話”を続けている。また、躁鬱病の当事者であることを公言し、時に深い鬱に潜って自らと向き合う。
作家、画家、音楽家、建築家、新政府初代内閣総理大臣、“いのっちの電話”相談員、そして躁鬱人。偶然の巡り合わせから坂口恭平に密着することになって間もない2023年夏、坂口は深い鬱に落ち、連絡が取れなくなる。半年後の2024年春、長い鬱が明けた坂口のアトリエを再び訪ねると、彼は幼年期以前の根源的な“さびしさ”と向き合っていたと語り出す。それは現実なのか、小説なのか? “さびしさ”の正体とは? 坂口が鬱の中で向き合い続けた内的世界から、言葉や絵、音楽が新たに生まれ落ちていく。坂口恭平の生活の記録が再開した。
本作は、監督の小宮雄貴が坂口恭平の個展を訪れ、一観客としてライブの撮影をしたことをきっかけに始まった長期密着の記録。熊本での日常生活や各地での展示、イベント活動を収めた映像は、ほぼ編集なしでYouTubeにて公開されてきた。これらの映像の編集版は各地の自主上映会で反響を呼び、上映オファーが続く中、この度の劇場公開が決定。YouTube 版とはまったく異なる、監督自らによる編集を経た【劇場公開版】として、147分の映画作品が完成した。
途中、深い鬱による撮影中断も経て完成された本作には、坂口が幼年期以前から抱える根源的な“さびしさ”と向き合い、新たな言葉を生み出す創造のプロセスが克明に捉えられている。坂口の生活は小説のようでもあり、我々が目を逸らしがちな現実社会のリアルを直視させる。本作は、図らずもそのリアルに触れてしまった新人監督の悪戦苦闘の記録でもある。3月28日からポレポレ東中野にて公開。
■小宮雄貴監督コメント
ドキュメンタリーを志したばかりの自分が、初めて向き合った被写体が坂口恭平さんでした。思いのままに歌を歌い、パステル画を描き、死にたい人々に生きのびるための言葉を投げかける。そんな坂口さんの生活に、無我夢中にカメラを向け続け、やがて鬱が訪れると、また会える日が来るのを祈るように待ちました。坂口恭平を撮るのは自分でいいのか、なぜ坂口恭平を撮っているのか。自問自答は未だに尽きませんが、図らずも坂口さんが根源的な”さびしさ”と初めて向き合う過程を記録させていただきました。そして、坂口さんにとっての創作活動は、彼自身、そして現代社会を生きる我々の”さびしさ”とも切り離せないものでもあるということを少しずつ知っていきました。時に深い鬱に潜り、死にたい気持ちに耐えながら、変化を恐れず自らと向き合い続ける坂口恭平の生活は、今ここで生きているという忘れがちな奇跡を思い出させてくれます。
【作品情報】
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TRUE KYOHEI SAKAGUCHI SHOW 坂口恭平生活
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