世界中で一大ブームを巻き起こしたドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」(以下、「GOT」)の新作スピンオフドラマ「ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ」が2026年1月19日からU-NEXTで独占配信がスタート。「GOT」と、その前日譚スピンオフ小説「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」の原作者であるジョージ・R・R・マーティンの「七王国の騎士」をベースに映像化した本作は、「GOT」の約100年前、ターガリエン家の争いが明けたウェスタロスを舞台にした物語だ。
【写真を見る】実は同じオーディション出身!声優の杉田智和×釘宮理恵
若き放浪の騎士ダンクと彼に仕える少年エッグの痛快な冒険の旅が描かれ、ユーモアたっぷりのドラマに新たな注目が集まっている。そして2月23日(月)からは待望の日本語吹替版の配信が始まり、主人公ダンク役を杉田智和、従者となる少年エッグ役を釘宮理恵が務める。MOVIE WAKER PRESSでは、声優として数々の作品で組んで来た2人に、伝説的ドラマシリーズの新たな物語に取り組んだ意気込みや吹替版の魅力について語ってもらった。
■「うれしい!『GOT』を見るいいきっかけになった」(釘宮)
——もともとオリジナルの「GOT」はご存知でしたか?
釘宮「たまに『なにかおもしろいドラマない?』といった会話をする度に、多くの方から『GOT』がおもしろい、という話を伺っていたので、機会があればいつか観たいなと思っていた作品でした」
杉田「僕も話には聞いたことありましたが、本編を観たことはありませんでした」
——今作への出演が決まった時はどう思われましたか?
釘宮「本当ですか?うれしい!と思いました。これは、『GOT』を観るいいきっかけだと思い、年末から毎日少しずつ観ています。まだ途中です」
杉田「本作のスピンオフということでしたし、僕が演じるダンクの立ち位置としても、いい意味で“作品の世界観から浮いていたい”と考えていて。今回は、あえて本編を観ないようにしていました」
——「GOT」の世界観から浮いた存在というのは、具体的にダンクをどんなキャラクターだと捉えていますか?
杉田「ダンクはとにかく体が大きいので、画面のどこにいてもすぐわかるんです。でも、彼はそんな外見や人からどう見られているかということを意識していない。だからと言って、相手のことを思いやれない人間ではなく、なにも意識しなくても、自然と人のことを思いやれる人間なのではないかと感じています。ただ、彼の優しさは彼と接した相手にしかわからない。まだ物語の序盤なので、ダンクが持つ人間性がにじみ出るように演じられたらいいかなと思います」
——朴訥とした人柄というか、淡々としているダンクの姿が浮かびます。
杉田「ダンクって、他人に好かれようと思って動いていませんからね」
——エッグはいかがでしょう?
釘宮「エッグは独特のヘアスタイルで、あの坊主頭のせいか、謎めいたところがあるかと思えば、すごく賢いような雰囲気もある。ダンクになつくかわいらしい一面もあり、不思議なキャラクターです」
——なるほど。
釘宮「先ほど杉田くんが話したように、ダンクが相手のことを考えず話している時に、エッグは少し、世の中を冷静に見ているような空気感がありますが、それでも思ったことをどんどん聞いたり、尋ねたり。そういったことがさらっとできてしまう自然な関係が2人の間にあって、それがどんどん進化していくところがおもしろいと感じています」
——エッグは子どもながら、どこかお坊さんみたいに達観しているように見えますよね。
釘宮「そうなんです!ものすごく達観している。役者さんも子役なのに“僕、悟っています”といった、大人びた表情をすることが多いです。かと思いきや、年相応の幼さや不安がにじみ出るような表情をしている時もあって。彼の気持ちに寄り添って演じていきたいなと思っています」
■「長年培った信頼は、ちょっとやそっとでは揺るがない」(杉田)
——お2人は、いままでいろいろな作品で共演されていますが、今作に関して、始まる前になにかお話されました?
杉田「特にしていないですね。僕は、基本的に作品へ特別な思い入れを持って取り組まないよう心掛けています。大作であろうとそうでなかろうと、主人公であっても、脇役で一言しか話さない役であっても、役を演じる仕事としてのモチベーションは変わらないからです。よく『一番思い入れのある役は?』と聞かれることがありますが、それに答えてしまうと、それ以外の役を蔑ろにしたように僕は感じてしまう。だから、常にフラットな気持ちで臨んでいます」
釘宮「話し合いなどはしませんね」
杉田「長年培った信頼は、ちょっとやそっとでは揺るぎません。僕たち声優は、皆さんが考えている以上に“絆が強い”とそれぞれが勝手に思っているんです。僕たちは皆さんが代表作だと思っている作品よりも前に、『学園戦記ムリョウ』というアニメで共演しています。それから20数年ぐらいの付き合いになります。もっと言うと、デビュー前、同じオーディション出身です」
——本当に長いお付き合いですね!
杉田「釘宮さんのことはこの世界に入る前から知っていて、もうすでに先を走っているすごい人というイメージでした」
釘宮「私は、杉田くんが目の前に現れた瞬間から、尋常ならざる雰囲気がある人という印象でした」
杉田「同じころにデビューした人たちは、いまでも会う人ばかりなので、改めて昔話はしないんですが(笑)、いまでも一緒というのがうれしくて」
釘宮「そうですよね、淘汰されていく世界ですから…」
杉田「自分の始まりを知っている人が近くにいるって、こんなにも安心するんだなと思います」
■「現場には達人がたくさんいらっしゃって、勉強になります」(釘宮)
——みなさん、同じスタジオで一緒にアフレコされているんですか?
釘宮「はい、現場には達人がたくさんいらっしゃいます。例えば、プラマー役の声を演じている青山穣さんは経験豊富な方で、演じられる俳優さんの声に近いことが多いです。そして、声の表現が多彩。椅子に腰掛けていて、さらに深く腰掛け直した際の細かな表現や、立ち上がる時のちょっとした息遣いなどです。吹替現場はものすごく勉強になります。そこをなんとか取り込みたいと思って見ていますが…」
杉田「本当に、その場にいるだけで楽しくて勉強になります」
釘宮「吹替現場での私たち声優の仕事は、元の俳優さんが話しているかのごとく吹替えて、さらに肉付きをよくしていく。アニメの収録も同じ“声優”という肩書きではありますが、吹替現場にいると、日々すごいことが行われていることを実感します」
——「GOT」シリーズの世界観は、ほかの歴史ファンタジーと違うところがあるので、日本語吹替だとどう表現されているのか気になりますね。釘宮さん、そのあたりいかがですか?
釘宮「エッグの存在自体が謎めいているところがあり、いまは詳しくは述べられませんが、冒険の道々で明かされていくので、物語の中で楽しんでいただければと思います。それから、この『GOT』シリーズをご覧になってきた方は、いままでにない平和な治世が続いている時代が描かれているのが、見どころかなと。例えば『GOT』では重々しく聴こえてくるテーマソングも、今回はほっこりしています。こんなの、『GOT』じゃなかった!と思える、心和む音楽が流れるんです。セリフにも温かみがあります。『GOT』という壮大なシリーズのなかでもこういった時代があったのだと、捉えて観ていただけるとうれしいです。ユーモアあふれるシーンもあり、シリーズ未見の方でも入りやすい作品になっていると思います」
杉田「『GOT』を観なくても、出演している人間もここにいます(笑)。それに、こちらの物語を先に観てから、『GOT』本編に行くという楽しみ方もあると思います。時間を逆戻りしながら楽しむというのもいいんじゃないでしょうか。新鮮かもしれません」
■「耳で物語を追う味わい方もおもしろい」(杉田)
——最後になりますが、吹替版のここを楽しんで欲しいというところを教えてください。
杉田「字幕を目で追っていくのと違って、耳で物語を追うという味わい方もおもしろいと思います。だから、音源を字幕、日本語吹替と切り替えて観てもいい。サブスクだと繰り返し観られるので、どんなふうに言っているのか。見比べる、聞き比べるのも楽しいんじゃないでしょうか。吹替って、一部では蔑ろにされたり、邪道だと思われたりすることもあるんですが、吹替文化も大切にして欲しいと思っています」
釘宮「そうですね。吹替ならではの魅力を感じてもらえるとうれしいです」
取材・文/前田かおり
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