日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『ブゴニア』をレビュー!

印象的なタイトル『ブゴニア』は、死んだ牛からハチが生まれたという古代ギリシア信仰に由来する

日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『ブゴニア』をレビュー!

2月13日(金) 18:00

提供:
日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。エマ・ストーン主演、前代未聞の誘拐サスペンス!***

『ブゴニア』 評点:★4.5点(5点満点) ©2025 FOCUS FEATURES LLC.

©2025 FOCUS FEATURES LLC.



不条理や不幸を前に陰謀論は加速する人間は物事を理屈で理解するように進化してきた。

ところが、不条理や不幸といったものは突発的でランダムな上に感情を直撃するので、一般的な意味での「理屈」でそれを「理解」することはできない。

陰謀論や宗教が哀れを誘うのは、病的でねじくれた「ロジック」に頼ってでも不条理や不幸を「理解」し乗り越えたい、という人間ならではの情動がその根底にあるからだ。本作の主人公はまさにその典型である。

耐え難い不幸と不条理の連続、それにより自分が世界から完全に切り離されてしまった、という強い感覚が彼をとてつもない陰謀論へと走らせる。

地球のミツバチを絶滅させ(主人公は養蜂家でもある)、人々のコミュニティを破壊し、人類を蒙昧で無感動・無関心な状態にとめ置いているのは、これはもうアンドロメダ星雲からやってきた宇宙人の仕業に違いないのである。

YouTubeやインターネットを頼りに独自の研究を重ねた結果、彼はそう確信した。

「人から笑われてきた陰謀論者が本当は正しかった」という描写は映画でも頻繁に目にするが、本作はその痛切さと皮肉、ブラックユーモアが際立っており、我々は絶望し涙を流しながら笑い続けるしかなくなるのである。



STORY:世界的な製薬会社のカリスマ経営者ミシェルが、何者かに誘拐される。犯人は、ミシェルが地球を侵略する宇宙人だと固く信じる陰謀論者のテディと、彼を慕ういとこのドン。ふたりは彼女を監禁し、地球から手を引くよう要求する



監督:ヨルゴス・ランティモス

出演:エマ・ストーンほか

上映時間:118分



全国公開中





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