満員電車で顔に「フッ…フッ…」逃げ場のない吐息に襲われ続けた不快な通勤時間

※写真はイメージです

満員電車で顔に「フッ…フッ…」逃げ場のない吐息に襲われ続けた不快な通勤時間

2月12日(木) 15:52

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移動に欠かせない交通手段のひとつである電車。しかし、通勤や通学の時間帯は混雑するため、殺伐とした雰囲気がある。車内では譲り合いの精神を持って、お互い気持ちよく過ごしたいものだ。

今回は、通勤電車の中で抱いた違和感が、思いのほか記憶に残り続けているという2人のエピソードを紹介する。

“笑った理由”が伝わらない…

田中悠斗さん(仮名・20代)が今も忘れられない出来事に遭遇したのは、数年前の会社帰りだった。JR山手線の5両目に乗っていた。

「乗っていた時間は15分くらいで、いつも通り立っていました」

吊り革につかまり、イヤホンで芸人のラジオを聴きながらスマートフォンを操作していた。そして、“思わず噴き出してしまう場面”があったという。

「我慢ができなくて、つい声を出してしまったんです」

すると、田中さんの前に座っていた大学生くらいの男性から声をかけられた。

「おい!」

最初は“自分”だと分からなかったそうだ。

電車を降りて5回以上説明を繰り返した

二度目の呼びかけで気づき、イヤホンを外して話を聞いた。男性は、田中さんの笑い方が“自分をバカにしている”ように感じたという。

「フッっていう笑い方が、自分に向けられたと思ったみたいでした」

「ラジオがおもしろくて笑っただけだ」と説明したのだが、相手は納得しなかったようだ。結局、最寄り駅の二つ手間で一緒に下車することになった。

「正直、なんでここまで……と思いました」

駅のホームのベンチに座り、改めて説明した。“笑った”のは相手に向けたものではないことを、繰り返し伝えた。

「5回以上は同じ説明をしたと思います」

電車を降りて風に当たったことで、相手も少し落ち着いた様子だった。やがて、「もういいよ」と言われ、田中さんは頭を軽くはたかれたそうだ。

「ムカつきましたけど、表に出すのはやめました」

田中さんは礼を言い、再び電車に乗った。相手の男性は、その駅が目的地だったようで、改札へ向かったようだ。

「電車を降りてから30分は、ずっと謝っていた気がします。本当に“最低な一日”でした」

その日以来、田中さんは電車でラジオを聴くことはやめたという。

「フッ…フッ…」顔に吹きかかる吐息

上岡麻衣さん(仮名・30代)は、平日の朝、いつも通り通勤電車に乗っていた。車内は混んでおり、身動きがほとんど取れない状態だったという。

「肩や腕がずっと触れ合っていて、体を少し動かすだけでも誰かに当たるような混み具合でした」

次の駅でさらに人が乗り込み、上岡さんのすぐ隣に一人の男性が押し込まれるようにして入ってきた。その直後、耳元で呼吸音が聞こえた。

「フッ…フッ…」

息を強く吐く音がはっきりと聞こえたのだ。上岡さんは“偶然”だと思ったが、呼吸が一定のリズムで続き、その吐息が顔や肩に直接当たっていることに気がついた。

「息の嵐が頬やこめかみに当たって、無視できなくなりましたね」

頬に当たる生ぬるい空気に不快感が積み重なった

混雑のため、男性との距離を取ることはできなかった。顔をそむけようとしても、体ごと動かさなければ向きが変えられない状況だったそうだ。

頬に当たる生ぬるい空気が途切れず、不快感が積み重なっていった。周囲の乗客も、ちらりと男性のほうを見る様子はあったが、誰も何も言えなかった。

「周りも気づいている感じはあったんですけど、満員電車だとどうにもできないです」

電車が揺れるたび、男性との距離が微妙に変わり、そのたびに息が当たる角度も変わった。肩に強く息がかかったときは、思わず体をすくめたという。

「不快感が続くと、車内の空気までが重く感じました」

数分後、次の駅で何人かの乗客が降り、わずかにスペースができた。その瞬間、上岡さんは体の向きを変え、男性から距離を取った。

「息が当たらなくなっただけで、気持ちが全然違いました」

短い時間だったが、想像以上に強い不快感が残ったという。

「通勤電車って、こういう逃げ場のない瞬間があるんだなと改めて思いました」

電車では個人のマナーが大いに問われる。だが、不快に感じても声をあげにくい空気があるのは事実だ。自分の何気ない行動が周囲の迷惑になっていないか、あらためて意識する必要があるだろう。

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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