2月9日(月) 22:40
多くの会社が通勤経路について最安ルートを求める背景には、通勤手当が会社のコストであるという事情があります。通勤手当は法律で支給が義務付けられているものではなく、あくまで福利厚生の一環として会社が任意で支給しているケースが一般的です。
厚生労働省が行った調査によると、諸手当を支給している企業のうち「通勤手当」を支給している企業は90.2%と、任意であるもののほとんどの企業が通勤手当を支給しています。
全社員に公平な基準として「合理的かつ経済的な経路」として最安ルートを基準に定め、支給額にばらつきが出ないようにする狙いもあります。会社側としては、コスト管理と公平性の両立が大きな理由といえるでしょう。
結論から言うと、会社の通勤手当規定が「最安ルート分のみ支給」と定めている場合、差額は自己負担になる可能性が高いです。労働基準法などの法律では、通勤手当の支給額や算定方法についての明確な義務は定められていません。そのため、どのルートを基準にするかは会社の裁量に委ねられています。
ただし、「最安」だけでなく「合理的な経路」といった表現を用いている会社もあり、時間短縮や身体的負担の軽減が合理的と判断されれば、必ずしも最安ルートに限定されない場合もあります。まずは自社の通勤手当規定を確認することが重要です。
どうしても乗り換えの少ないルートを利用したい場合は、会社と相談する余地があります。例えば、最安ルートと希望ルートの時間差や混雑状況、体調への影響などを具体的に説明することで、合理性を理解してもらえる可能性があります。
また、業務効率や健康管理の観点から、結果的に会社にとってもメリットがあると伝えるのがポイントです。会社によっては、一定額までを上限として実費支給しているケースや、例外的に別ルートを認めている場合もあります。頭ごなしに諦めず、規定と実情の両面から冷静に話し合う姿勢が大切です。
なお、通勤手当は一定額まで非課税となる一方、支給額が非課税限度額を超えると給与として課税対象になります。そのため会社が最安ルートを基準にするのは、税務処理をシンプルにする目的もあります。
高額なルートを選択した場合、たとえ会社が一部を認めても、課税リスクが生じる点には注意が必要です。通勤の快適さだけでなく、税金面も含めて総合的に判断することが大切でしょう。
通勤経路を最安ルートに限定するかどうかは、法律ではなく会社の通勤手当規定によって決まります。そのため、乗り換えの少ないルートを選んだ場合、原則として差額が自己負担になるケースは少なくありません。
ただし、「合理的な経路」という解釈次第では、会社に相談する余地もあります。まずは自社規定を正しく理解し、通勤の負担や業務への影響を整理したうえで話し合うことが、納得のいく通勤環境を整える近道といえるでしょう。
厚生労働省令和7(2025)年就労条件総合調査の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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