2月9日(月) 21:00
「70代まで働く」を考えるなら、まず60代の就業状況を押さえるとイメージが湧きます。
内閣府の「令和7年度版高齢社会白書」によると、男女別の就業率は60~64歳で男性84.0%・女性65.0%、65~69歳で男性62.8%・女性44.7%となっています。この結果から、60代後半でも一定数の人が仕事を続けていることが分かります。
そのうえで70代を見ると、70~74歳の就業率は男性43.8%、女性27.3%です。75歳以上では男性17.3%、女性8.5%となっています。この結果から、70代前半は、男性は4割強、女性は3割弱が働いており、75歳以上でも男性は2割弱、女性は1割弱が働いていることになります。
ここで大事なのは、「70代で働く=現役と同じ働き方」とはかぎらない点です。70代の働き方は、体力や家庭の事情に合わせて、短時間勤務や定年後の再雇用(継続雇用)に移るケースが多くなりやすいです。フルタイムにこだわらず、負担を調整しながら続ける人が増えるイメージです。
また、制度面でも流れは後押ししています。厚生労働省は、「改正高年齢者雇用安定法」(2021年4月施行)について、70歳までの就業機会確保を事業主の努力義務として位置づけ、定年の引き上げだけでなく、継続雇用や業務委託など複数の選択肢を示しています。
つまり、定年後も同じ会社で再雇用として働く、業務委託や短時間で勤務するなど、働き方を調整して続けるといった選択肢が、以前より取りやすくなっています。
夫婦で長く働く場合、ポイントは「気合」より「設計」です。例えば次の3つは、早めに話しておくほど働き方の見直しや、必要なお金の整理を進めやすくなります。
1つ目は、いつから働き方を軽くするかです。70代まで続けるなら、60代後半でいきなり負担を落とすより、「週5→週3」「責任の重い役割→サポート役」など、段階的に変えるほうが続きやすいです。
2つ目は、家計で「いくら必要か」「何に使いたいか」を決めておくことです。数字が曖昧だと、夫婦のどちらかが無理をしてしまう傾向にあります。「生活費は毎月いくら必要か」「貯蓄はいくら確保したいか」「旅行などの楽しみにいくら回すか」を共有すると、必要な働き方が決まりやすくなるでしょう。
3つ目は、どちらかが先に働けなくなったときの想定です。病気や介護は、誰にでも起こり得ます。働けない期間が出ても生活費をまかなえるように、固定費を上げすぎないことや家計を年1回見直すことなど、小さな習慣が支えになります。
不安をゼロにするのは難しくても、「こうなったらこうする」を決めておくと、いざというときにもめにくくなるでしょう。
70代で働く人は珍しくなく、年齢とともに働き方が変わりやすいことが分かります。だからこそ「70代まで働く」を現実的にするには、今の働き方をそのまま続ける前提ではなく、再雇用や短時間勤務なども含めて、自分に合う形を選べるようにしておくことが大切です。
夫婦で続けたいなら、働き方の見直しの時期、家計で「いくら必要か」「何に使いたいか」、そしてどちらかが働けない期間が出た場合の備えを早めに共有しておくと、判断がぶれにくくなります。
体力や環境は変わっていきますが、選択肢と準備があれば、70代まで働くことは無理ではなく、調整しながら続けられる目標になるでしょう。
内閣府 令和7年版高齢社会白書(全体版) 第1章 高齢化の状況(第2節 1) 第2節 高齢期の暮らしの動向(1) 1 就業・所得
厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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