サッカー日本代表のMF陣に割って入るかオランダでプレー中の22歳が評価急上昇中

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サッカー日本代表のMF陣に割って入るかオランダでプレー中の22歳が評価急上昇中

2月10日(火) 6:45

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西部謙司が考察サッカースターのセオリー

第86回佐野航大

日々進化する現代サッカーの厳しさのなかで、トップクラスの選手たちはどのように生き抜いているのか。サッカー戦術、プレー分析の第一人者、ライターの西部謙司氏が考察します。

今回は今冬の欧州サッカー移籍市場で話題となった、NECナイメヘンのMF佐野航大を取り上げます。日本人選手の典型的な特徴を持つ佐野の評価は、なぜ高まっているのでしょうか。

【2000万ユーロのオファー】 NECナイメヘン所属の佐野航大にはオファーが相次いでいたようだ。最も高額だったのがノッティンガム・フォレストの2000万ユーロ(約36億円)。しかしNECはこれを拒絶。アヤックスは佐野とほぼ合意していたが、これもNECが拒否した。

オランダNECナイメヘンで活躍中の佐野航大photo by Getty Images

オランダNECナイメヘンで活躍中の佐野航大photo by Getty Images



アヤックスOBの「これほど高額のオファーを蹴るのはもはや犯罪だ」というコメントが話題になっていたが、NECがここまで佐野の残留に固執したのは来季チャンピオンズリーグ(CL)出場の可能性があるからだ。

第22節時点でNECはオランダリーグ3位。首位はPSVが独走状態だが、2位フェイエノールトとは1ポイント差につけている。リーグ2位ならストレートイン、3位でもプレーオフの出場権を得られる。CL出場による収入アップを考えれば、ここで2000万ユーロを手にするよりも、シーズン終了後に1500万ユーロ(NECの設定額)で売却したほうが、クラブとしてははるかに得だという計算である。

NECのCL出場権獲得のために、佐野は欠かせない戦力になっている。

CB、アンカー、トップ下、FWのどこでもこなせるユーティリティプレーヤーだが、現在はボランチに定着している。攻守に傑出したプレーを見せていて、NECはこのタイミングで佐野を失えば大きな戦力ダウンは避けられない。

AZにアウェーで勝利(3-1)した第21節、佐野はボール奪取からのパスで2点目をアシスト。さらにダイレクトのミドルで3点目を決めている。クリアボールを直接蹴り込んだシュートは左足のアウトでボールをカットし、大きくカーブさせたゴール。利き足でない左足での巧妙な一撃は、さらに市場価値を上げたかもしれない。

【日本人選手の典型。欧州サッカーの需要に合う】 兄の佐野海舟は日本代表でも不可欠のボランチになりつつある。足腰の強さは兄弟の共通点だ。佐野航大は俊敏で運動量抜群、技術も高く判断が速い。足技のうまさ、得点力では兄をしのぐ。

NECではダルコ・ネヤシュミッチとボランチを組むが、ネヤシュミッチは3バックの前に残るタイプで、佐野はより攻撃的で攻守をリンクする8番の役割。複数のポジションをこなせるが、ここが一番活躍できるのではないか。動きが速くてしかも前後に大きく動ける。守備も攻撃もできる。縦横無尽に働ける能力を発揮しやすい。

全試合に先発出場というタフネス、22歳の若さも魅力だ。現在の好調を維持するなら、夏には多くのクラブからオファーがあるに違いない。

佐野はある意味、日本人選手の典型だと思う。

技術がしっかりしている。俊敏で献身的に動ける。判断が的確でコレクティブなプレーができる。これらはまさに日本人選手の特徴と言える。近年、欧州で活躍する日本人選手が急増しているのは日本人選手のレベルが上がったこともあるが、欧州側の需要も高まっているからだ。

まず、ハードワークが求められている。テクニックが抜群でも走れない選手は使いにくくなった。

フランス代表のディディエ・デシャン監督はキリアン・エムバペについて、「11キロ走ることを要求すべき選手ではない」と話していて、エムバペの決定力や突破力には1試合に11キロ走るのとは別の価値があると認めている。ただ、エムバペのような選手ばかりではチームは立ち行かないのだ。

エムバペとヴィニシウス・ジュニオールを擁しているレアル・マドリードは壁に突き当たっている。およそ特例はひとりだけで、フィールドプレーヤー9人のハードワークは必須なのだ。そうでなければボールは相手に支配され、優勢に試合を進めることが難しくなる。

しかし、走れるだけでは足りない。ちゃんとボールを扱えて攻撃でも貢献できる選手が求められている。とくにビルドアップの原則を理解していて、さらに奪ったボールを無駄なく前進させられる技術とビジョンがあること。1秒を無駄にするかどうかでカウンターの成否が決まってくるからだ。

【日本人選手へのニーズは高まっている】 ハードワークと技術の質。この両方を高いレベルで兼ね備えている9人を揃えて、はじめてエムバペのような特別な才能が生きてくる。これが現代のスタンダードになった。

その点で日本人選手へのニーズは高まっている。エムバペのようなタイプにはものすごい金額の移籍金が設定されるが、ひとつのチームにこのタイプは何人もいらないし、獲得もできない。逆に攻守に高品質な選手なら何人でもほしい。少なくとも席は9つあるわけだ。佐野の場合、複数のポジションをこなせるのでさらに需要は高いと考えられる。

日本代表には攻守にハイレベルなMFが多くいる。佐野海舟、遠藤航、鎌田大地、守田英正、田中碧、藤田譲瑠チマなど層は厚い。だが、ここに佐野航大が割って入る可能性は十分にある。日本が日本らしいプレーをするためには最適な人材かもしれない。

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