父は年金受給者ですが、給与収入が「80万円」あります。「申告不要」のままで問題ないですか?

父は年金受給者ですが、給与収入が「80万円」あります。「申告不要」のままで問題ないですか?

2月9日(月) 4:30

公的年金を受給している人の中には、「年金だけなら確定申告は不要」と聞いたことがある人も多いかもしれません。 一方で、年金に加えてパートやアルバイトなどで給与収入がある場合、「このまま申告しなくても問題ないのか」と不安になるケースもあるでしょう。特に、年金受給者には「確定申告不要制度」と呼ばれる特例的な仕組みがあるため、要件を正しく理解していないと判断を誤る可能性があります。 本記事では、年金受給者の確定申告不要制度の概要を整理したうえで、給与収入が80万円ある場合に申告が必要になるのかを確認します。

年金受給者の「確定申告不要制度」とは

年金受給者の確定申告不要制度とは、一定の要件を満たす場合に、所得税および復興特別所得税(以下所得税等)の確定申告をしなくてもよいとされる制度です。政府広報オンラインによれば、確定申告不要制度で確定申告が不要となる人は以下のいずれにも該当する人です。


・公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象
・公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下

ここでいう「公的年金等」とは、老齢基礎年金や老齢厚生年金などを指します。また、「公的年金等に係る雑所得以外の所得」には、給与所得や事業所得、不動産所得のほか、個人年金や生命保険の満期返戻金なども含まれます。
 
つまり、年金以外に収入がある場合でも、その所得金額が20万円以下であれば、確定申告不要制度の対象となる可能性があります。
 
ただし、この制度は「申告しなくてもよい」という扱いであり、「申告してはいけない」というものではありません。医療費控除などを適用して所得税の還付を受けたい場合などには、確定申告を行うこともできます。
 

給与収入80万円は「申告不要」の範囲か

今回のケースでは、父親が年金を受給しつつ、給与収入が80万円あるという前提です。ここで注意したいのは、確定申告不要制度の判定に使うのは「給与収入」そのものではなく、「給与所得」である点です。
 
給与所得は、給与収入(源泉徴収前の金額)から給与所得控除を差し引いて計算されます。国税庁によれば、令和7年分以降の給与所得控除額は、給与等の収入金額が190万円までの場合65万円となっています。
 
このため、給与収入が80万円では給与所得は15万円となり、ほかに不動産所得や満期返戻金などがなければ、「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額」は20万円以下に収まる計算です。他の要件も満たしていれば、確定申告不要制度の対象となる可能性があるでしょう。
 

申告不要でも注意したいポイント

確定申告不要制度の対象となる場合でも、いくつか注意点があります。
 
まず、住民税については、所得税等とは別に申告が必要になるケースがあります。所得税等の確定申告をしない場合でも、市区町村から住民税の申告を求められることがあるため、自治体の案内を確認することが重要です。
 
また、社会保険料控除や医療費控除などを適用することで税金が戻る可能性がある場合には、確定申告を行ったほうが有利になることもあります。申告不要制度は「義務を免除する制度」であり、「申告しないほうが必ず得になる制度」ではない点には注意が必要です。
 

まとめ

年金受給者には、公的年金等の収入が合計400万円以下かつ全部が源泉徴収対象で、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であれば、確定申告をしなくてもよいとされる「確定申告不要制度」があります。
 
給与収入が80万円ある場合でも、給与所得控除の仕組みにより、給与所得が20万円以下となれば、この要件を満たす可能性があります。
 
ただし、住民税の扱いや、還付申告の要否などは別途検討が必要です。制度を踏まえると、年金と給与の両方がある場合には、収入の金額だけで判断するのではなく、所得区分や控除の仕組みを確認したうえで、申告の要否を整理することが重要といえるでしょう。
 

出典

政府広報オンライン ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1410 給与所得控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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