2月9日(月) 0:10
内閣府の高齢社会白書では、健康寿命は令和4年時点で男性72.57年、女性75.45年と示されています。平均寿命はこれより長く、健康寿命と平均寿命の間には「日常生活に制限が出やすい期間」が生まれ得ます。
ここで必要になるのは、旅行や趣味の費用より、医療費、介護費、住まいの改修費、移動手段の確保などの「生活を守る支出」です。長生きの想定を上げるほど、この守りの費用の重要性が増えます。
年齢を一つに決めるより、たとえば85歳、90歳、95歳のように複数で試算し、どこで赤字が出るかを見ると判断しやすいです。
赤字が出るなら、対策は大きく三つです。支出を下げる、収入を増やす、資産の取り崩しを遅らせるです。収入を増やすのは難しく見えますが、定年後に短時間でも働けると、取り崩し開始を遅らせられます。取り崩し開始が遅いほど、長生きしても資金が持ちやすくなります。
また、年金の繰下げ受給は、受給開始を遅らせる代わりに年金額を増やす仕組みで、増額は生涯続きます。長生きするほど有利になり、65歳からの資金繰りに余裕がある人は検討する価値があります。
老後資金が足りないと分かったら、まずは固定費の見直しが効きます。住居費、通信費、保険、車関連などです。
次に、住まいの方針を決めます。持ち家を維持するなら修繕費を積み立てる、住み替えるなら売却や賃貸の選択肢を具体化する、という形です。支出を「小さくする」だけでなく、将来の大きな出費を前倒しで準備する考え方が重要です。医療介護は起きてからでは動きにくいので、早めに予備費として枠を作っておくと安心が増します。
何歳まで生きる想定にするかの正解はありませんが、平均寿命と健康寿命の差を意識すると、守りの資金の必要性が見えてきます。
90歳で足りないなら、試算年齢を伸ばすだけでなく、固定費の圧縮、就労の余地、繰下げ受給などを組み合わせて、長生きしても破綻しにくい家計に寄せるのが現実的です。複数シナリオで試算し、赤字が出るポイントを早めに潰していけば、将来への不安は小さくできます。
内閣府令和7年版高齢社会白書 2 健康・福祉
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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