F1界のトップとの貴重すぎる対談が実現!新レギュレーションでどんなレースになるのか?F1の未来はどんな方向に進んでいくのか?堂本光一が直撃した!!
連載【堂本光一 コンマ一秒の恍惚Web】RACE43
近年、F1の人気が急上昇している。ブラッド・ピット主演の映画『F1/エフワン』が大ヒットし、世界的なブランドであるルイ・ヴィトンやディズニーもF1とコラボレーションをスタートさせているのだ。日本でも、今年3月に鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催される日本GPのチケットが販売開始直後にほぼ完売するなど、大きな注目を集めている。
「今、F1は黄金時代に突入している」と語るのは、2021年からF1のCEO(最高経営責任者)を務めるステファノ・ドメニカリ氏だ。
ホンダとアストンマーティンの「ニューパートナーシップ始動発表会」に出席するために来日したドメニカリ氏に、日本のファンを代表して堂本光一がインタビューを行ない、その模様を週刊プレイボーイ本誌(7号)で掲載した。今回の連載では、誌面で掲載できなかったドメニカリ氏とのエピソードを含め、特別編としてフルバージョンをお届けする!
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【ドライバーの普段の姿を知ってほしい】
堂本光一(以下、堂本)
ドメニカリさんは「家族が食事をするときにF1が話題になるのが夢」とお話されています。残念ながら日本ではそういう状況にはありませんが、どうしたら幅広い人たちにF1が浸透すると考えていますか?
ステファノ・ドメニカリ(以下、ドメニカリ)
F1にとってコアなモータースポーツのファンは大事ですが、若い世代に訴求させていきたいと考えています。それはサーキットだけでなく、テレビ、映画、音楽などのエンターテイメントの世界、SNSなど、さまざまな分野で若い人たちにアピールしていくことが大事だと思っています。
ドメニカリ氏のインタビューに先立って行なわれた「2026 Honda × Aston Martin Aramco F1 Teamニューパートナーシップ始動発表会」。ホンダの三部敏宏社長(右からふたり目)、F1のステファノ・ドメニカリCEO(中央)、アストンマーティンのローレンス・ストロール氏(左からふたり目)などが登壇した
堂本
僕がF1を見始めたのは1987年でした。それからF1は時代と共に大きく進化していきました。昔からF1を見ていた古いファンと今のファンの両方を満足させるのは難しいと思いますが、どのようにバランスをとっているのですか?
ドメニカリ
私は1968年からF1を見ていますが、当時のレーシングカーは安全性も低く、ドライバーはとても勇敢な存在でした。今はマシンも安全になり、進化していますが、常に危険はつきまといます。
それでもドライバーは、どんなコンディションでも少しでも速く走るために情熱を持ってマシンをドライビングしています。そこをファンの方は見たいはずですし、F1というスポーツの常に中心であるべきだと私は考えています。
ただ、コース上のことだけを取り上げるだけでなく、ドライバーの普段の生活にもフォーカスしてもいいのではないかと考えています。F1ドライバーは世界中でたった22人しかいません。彼らは真のプロフェッショナルであり、スーパースターなんです。
ファンがドライバーたちのリアルな日常に触れられるようになれば、F1はもっと盛り上がっていくと思っています。
【プレッシャーのある人生は美しい】
堂本
ドメニカリさんはF1のCEO(最高経営責任者)になる前は、フェラーリでチーム代表を長く務めていました(2008 年~2014年)。どちらも大きなプレッシャーがかかる仕事ですが、どういう気持ちで仕事に向き合っているのですか?
ドメニカリ
私の生活は常にプレッシャーと共にあります。それが美しいですし、素晴らしいことだと前向きにとらえています。プレッシャーはモチベーションになります。私はプレッシャーをコントロールしながら常にベストを引き出すようにしています。
プレッシャーに押しつぶされてしまうようでは、そもそも組織のトップに立ち、重責を背負うことはできません。いまF1の世界で毎日起きていることは当たり前ではないんです。プレッシャーの中でも常に決断をし、責任をとっていかなければなりません。
現在はF1のトップとして、いろんな国や文化の違いなどを見ながら、このスポーツがもっと盛り上がるためにどんな可能性があるのかを日々さぐっています。
そして同時に、どうすればF1や参戦するチーム、そこで働いている人たちに利益をもたらすことができるのか、ということを幅広い視野で検討し、F1という組織の中で仕事に取り組んでいます。
堂本
F1に参戦するチームやドライバーがしたいことと、ファンが求めていることは相反することがしばしばあります。
これまでフェラーリの代表やF1のCEOという重責を担ってきたドメニカリ氏は「プレッシャーは自分にとってモチベーションになる」とインタビューで語った。それを聞いた光一は「すごく共感しましたね」と話す
例えばタイヤは、チームやドライバーは安定した性能のタイヤを求めますが、ファンはレースが面白くなるために摩耗しやすいタイヤを求めます。その間をうまくとり、F1の方向性を決めていくのは大変ではないですか?
ドメニカリ
ファン、ステークホルダー、パートナー、チーム、それぞれがそれぞれの立場でF1を見ています。彼らはF1をさらに発展させるためのアイデアを持っています。
私の仕事は、さまざまな可能性を考慮し、正しいことをやっていくことです。その結果として、このスポーツを発展させ、F1に関わる人たちを満足させることがミッションです。
ただ、正解はひとつではないと思っています。大事なことは多くの人の声に耳を傾けることです。その声を聞いた上で、最終的にどの方向に進むのかを決定しなければなりません。その結果、大きな成功をすることもありますが、うまくいかないケースもあります。
F1の社長兼最高経営責任者(CEO)を務めるステファノ・ドメニカリ氏。イタリア出身の61歳。2008年から14年までフェラーリのチームの代表を務める、その後、アウディ、ランボルギーニを経て2021年から現職に就く
そこで重要なことは、正しくないと感じたことはすぐに対処することです。とてもシンプルなことですが、それも成果を上げるためには欠かせないことだと考えています。
【ミッキーマウスは日本GPに登場する?】
堂本
2025年シーズンはレギュレーションの最終年で各チームのマシンの性能差が小さく、毎戦接戦が見られました。しかし今年は大きなレギュレーション変更があり、マシンが大きく変わります。3月8日の開幕戦オーストラリアGPが迫っていますが、どんなレースになると思いますか?
ドメニカリ
大きなレギュレーション変更があるときは、いつもチームやパワーユニット(PU)メーカーのエンジニアにとって新しいチャレンジになると同時に、新たなチャンスを生み出すことにもなります。F1に参加する技術者たちは、新しいレギュレーションの下で最大の成果を出すために全力を尽くすことになります。
もしかしたら新しいレギュレーションに対する解釈やアプローチが異なり、最初のレースではチーム間に大きな差が生じるかもしれませんが、F1には世界最高のエンジニアが集まっています。
彼らはその差を埋めるためにすぐに反応していくと確信しています。私たちの前にはエキサイティングな日々が待っているはずです。
堂本
今年からディズニーとF1のコラボレーションがスタートし、日本のファンも注目しています。ミッキーマウスやディズニーのキャラクターが3月に鈴鹿サーキットで開催される日本GPに登場するのでしょうか?
ドメニカリ
ディズニーが私たちの新しいファミリーになりました。ミッキーマウスとその仲間のキャラクターたちがサーキットに来るのは大歓迎です。若いジェネレーションの人がF1に興味を持って、将来的にサーキットに来てくれるのに大きく役立つと思っています。
ディズニーは特別な世界をF1に持ち込んでくれると思っています。さまざまなグッズやイベントなどが展開されていくことになりますが、ディズニーは若い人たちと私のような世代をつなぐという意味でもすごく大事だと思っています。
しかし残念ながら日本GPにミッキーマウスは来ません。そこは来年以降を楽しみにしてほしいですね。おそらく2027年は皆さんの期待に応えられると思います。
【F1はこれからどこに向かっていくのか】
堂本
最後にF1の未来について聞かせて下さい。F1は伝統と革新が隣り合わせのスポーツです。特に技術面では新しいものをどんどん取り入れていく一方で、伝統を守る難しさもあると思いますが、これからどういう方向に進んでいくのがベストだと考えていますか?
ドメニカリ
大事なことはすごくシンプルです。最初にも話しましたが、F1というスポーツの中心にあるのは常に人だということです。技術を発達させるのも、エンターテイメントを生み出すのも人なのです。常に人をこのスポーツの真ん中に据えていくことが大事だと思っています。
F1ファン視点の堂本光一の質問に、丁寧に答えるドメニカリCEO
【対談を終えて】インタビューの際に61歳になると話されていたドメニカリさん。すごく若々しかったですし、誰に対してもフランクに接してくれたのが印象的でした。僕にも「今年の日本GPには来るのかい?」などと気さくに声をかけてくました。
今、F1は若者を中心に世界中で人気が集まっています。インタビューの話題に出てきたディズニーとのコラボもそうですが、従来の枠にとらわれず、積極的に新たな可能性を求め、F1をさらに世界に広げていこうとしている姿勢は、まさに彼の人柄があらわれているように感じました。
ドメニカリさんがF1をさらに盛り上げるために、どんな手腕を発揮してくれるのか。これからも注目していきたいです。
☆取材こぼれ話☆堂本光一と井上芳雄氏のプライベートふたり旅に密着するHuluオリジナル番組『堂本光一×井上芳雄INTERMISSION(インターミッション)』の収録のために1月上旬に、光一は渡英。その際、イギリスGPが開催されるシルバーストン・サーキットに併設されているシルバーストン・ミュージアムに足を運んだという。
「シルバーストンは1950年に第1回のF1世界選手権が開催された伝統のサーキットなので、F1に特化した博物館だと思っていたのですが、意外とそうでもなかった。F1以外のレーシングカーもいっぱいあって、モータースポーツの歴史を学べる博物館でしたね。
そういえば博物館を訪れた日、すごいものを見ました。今年からF1に新規参戦するキャデラックのトランスポーターがサーキットに入っていくのを目撃したんです。『おお、キャデラックが秘密裏にシルバーストンで何かやっている!』とかなりテンションが上がりました。
あとでいろいろ調べてみたら、翌日からキャデラックが2026年仕様のニューマシンのシェイクダウン(試走)をしていたんです。見たかったですね!」
スタイリング/渡邊奈央(Creative GUILD)ヘア&メイク/大平真輝衣装協力/tk.TAKEO KIKUCHITHE BOLDMAN/株式会社シビア
構成/川原田 剛撮影/樋口 涼(堂本氏)
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