2月8日(日) 0:00
配偶者には「配偶者の税額の軽減」という制度があります。配偶者が実際に取得した正味の遺産額が、1億6千万円と法定相続分相当額のどちらか多い金額までなら、配偶者に相続税はかからない仕組みです。
たとえば、子どもがいる家庭で遺産が1億円なら、配偶者が全部相続しても制度の範囲内になりやすく、税額がほぼゼロになる可能性があります。
ただし、この制度は「申告期限までに分割が確定していること」が重要です。分割が決まっていない財産は対象外になり得ます。配偶者が相続するから安心と考えて放置すると、期限に間に合わず、軽減が使えないリスクもあります。一次相続では、税金だけでなく手続きの段取りも大切です。
一次相続で配偶者が多く相続すると、残った財産は配偶者の名義になります。その後、配偶者が亡くなる二次相続では、その財産が子どもへ移ることになり、そこで相続税が発生しやすくなります。増えやすい理由は主に二つです。
一つ目は基礎控除の縮小です。相続税は、遺産総額が基礎控除を超えると課税対象になります。基礎控除は法定相続人の数で増減します。
一般的に一次相続は相続人が配偶者と子どもで人数が多くなりがちですが、二次相続では配偶者がいない分だけ相続人が減り、基礎控除が小さくなりやすいです。基礎控除が小さくなると、同じ財産額でも課税される部分が増えます。
二つ目は税率の上がりやすさです。相続税は、財産が大きいほど税率が上がる仕組みです。一次相続で配偶者が多く取得して税金を抑えた結果、二次相続で子どもがまとめて大きな額を受け取る形になると、税率が上がり、税負担が重くなることがあります。
一次相続だけを見ると得に見えても、二次相続まで通算すると負担が増えるケースがあるのはこのためです。
では、配偶者に全部相続させない方がよいのかというと、必ずしもそうではありません。配偶者の生活費や介護費、住まいの確保など、まずは生活の安定が優先です。
配偶者が自宅に住み続けるために、家を配偶者名義にしたいという事情もよくあります。税金を下げるために配偶者の取り分を小さくしすぎると、生活に支障が出てしまいます。
一方で、二次相続の負担を見据えるなら、一次相続の段階で子どもにも一定の財産を渡しておく考え方は有効です。たとえば、預金など換金しやすい財産を子どもへ、住まいの持分は配偶者へといった分け方にすると、配偶者の生活と将来の納税資金の両方を意識できます。
未分割のままだと軽減が使えないおそれがあるため、早めに分割を固め、必要なら税理士に試算を依頼すると安心です。
また、二次相続で困りやすいのは納税資金です。土地や自宅が財産の中心だと、税金は出るのに現金が少ない状態になります。一次相続の分け方を考えるときに、二次相続の納税資金まで含めて現金をどこに残すかも意識すると、後で慌てにくくなります。
配偶者の税額軽減により、一次相続の相続税は小さくなりやすい一方、二次相続では相続人が減って基礎控除が小さくなり、税率も上がりやすいため、合計の税負担が増えることがあります。
だからこそ、配偶者の生活を守りつつ、二次相続の税額と納税資金を事前に試算して分け方を決めることが大切です。二世代で見た設計をしておくと、家族の納得感も高まり、手続きも進めやすくなります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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