兄弟の中で私だけが親の介護をしており、「その分多く相続してほしい」と親が言ってくれます。遺言書に書いてもらえば本当にその通りになるのでしょうか?

兄弟の中で私だけが親の介護をしており、「その分多く相続してほしい」と親が言ってくれます。遺言書に書いてもらえば本当にその通りになるのでしょうか?

2月7日(土) 0:10

遺言書は有効な手段となります。ただし、必ずその通りになるとは限りません。理由は、他の相続人には遺留分という最低限の取り分を主張できる権利があり、遺言の内容によっては金銭の請求が起きる可能性があるためです。さらに、介護の貢献は遺言だけでなく、寄与分の主張や手続きの選び方でも結果が変わります。

遺言書で多めに相続させることはできるが、遺留分が壁になることがある

遺言書があれば、誰にどの財産を渡すかを親が指定できます。介護をしてくれた子に多めに、という希望を形にしやすいのは確かです。
 
一方で、遺留分権利者が遺留分を受け取れない場合、遺留分侵害額として金銭の支払いを請求できる仕組みがあります。遺言どおりに財産をもらっても、後から兄弟から金銭請求を受ける可能性がある、というイメージです。
 
ここで大切なのは、遺言を書けば終わりではなく、遺留分を踏まえて分け方を設計することです。たとえば、介護を担った人には自宅を相続させ、他の相続人には預金などを一定程度残すなど、請求が起きにくい形に寄せる工夫が考えられます。
 

介護の貢献は寄与分として調整できるが、主張には準備がいる

遺言がない場合でも、相続人の中に特別に寄与した人がいれば、寄与分として法定相続分に上乗せできる仕組みがあります。ただし、寄与分は自動で認められるものではなく、相続人同士の協議でまとまらなければ、家庭裁判所の調停や審判の手続を利用することになります。
 
寄与分で大事なのは、どれだけ介護したかを言葉だけでなく、状況が分かる形で残しておくことです。
 
通院の付き添い記録、介護サービスの利用状況、費用の負担、仕事を調整した事情など、後から説明できる材料があるほど話し合いが進みやすくなります。親が元気なうちから、介護の分担や費用の考え方を家族で共有しておくと、相続時の火種が減ります。
 

遺言を書くなら、形式の安心と見つかる仕組みまでセットにする

遺言は内容も大切ですが、形式が不備だと無効になり得ます。また、せっかく書いても見つからないと意味が薄れます。法務省の自筆証書遺言書保管制度を使うと、遺言書を法務局で保管でき、紛失や改ざんのリスクを下げやすくなります。親の希望を確実に残すには、こうした仕組みの活用も現実的です。
 
さらに、遺言の中で遺言執行者を指定しておくと、手続きが進みやすくなります。介護を担った人が相続人でも、手続きの負担が集中しやすいので、誰が実務を担うかまで決めておくと揉めにくくなります。
 

まとめ遺言は有効だが、遺留分と寄与分を踏まえた設計が成功の鍵

介護をした分を多く相続したいという親の希望は、遺言書で反映しやすいです。ただし、他の相続人が遺留分を請求できる可能性があり、遺言どおりに進まない場面もあります。
 
遺言の作成は、遺留分を踏まえた財産配分、介護の記録の整理、保管制度の活用までをセットで考えるのが安心です。早めに形にしておけば、親の気持ちも伝わり、家族の納得感も作りやすくなります。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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